Graceful Distortion

ゲイの管理人が発信する平々凡々な日々の出来事&映画その他興味のある事

秋の夜長に(5)

2005-11-27 23:04:41 | Weblog
・・・という事で秋の夜長の映画シリーズは終了です!!

もう冬だね・・・。

さて最後は「LA大捜査線/狼たちの街」です。なんか任侠物っぽい
題名ですよね。あまり好きな邦題ではありません。原題は
「To Live And Die In LA(ロスで生き、そして死ぬ)」。

物語は・・・・

シークレットサービスの敏腕捜査官コンビ、チャンスとジミー。
ジミーは定年前に長年追い続けてきたニセ札犯のエリックを
捕まえるべく、無謀にも独自の捜査でエリックを追い詰めて行く。
しかし、エリックの反撃により、ジミーは殉職してしまう。
チャンスは新しいパートナー、エリックと共に復讐を誓う。

・・・まあこんな感じです。

元シークレットサービスのジェラルド・ペティビッチのベストセラー
小説が原作。内容はパラパラと1日程度で読めてしまう三文文学っぽい
話を「フレンチ・コネクション」や「エクソシスト」のフリードキン
監督が見事なフィルム・ノワールに仕上げました。

この作品は大学の脚本研究の授業の題材にも取り上げられました。
それだけこの話はちょっと異色でひねった脚本が特徴です。
まず、チャンスがかなり粗暴なキャラクターで全く共感が
持てないんです。しかし、悪役のエリックはナイーブで繊細な
芸術家崩れで影があり、ちょっとカッコいいんですね。非常に
不思議な感覚の作品です。

以前偽札作りのドキュメンタリーを見た事があるんですが、偽札犯は
自らを「アーチスト」という意識があり、自分の作った偽札が
レジを通る事に快感を覚えるらしいです。金儲けとかはもっと違う
人たちが気にする事らしいです。こういう描写などもこの作品には
丹念に描写されています。

主演の捜査官はウィリアム・ピーターセン。この作品の後は「レッド・
ドラゴン ハンニバル博士の沈黙」など、ちょっとクールな捜査官や
上院議員役などで数本の映画で印象に残る役を演じた後、2001年
からは全米視聴率1位のTVシリーズ「CSI」で主役の科学捜査班の
主任役を演じています。悪役のウィレム・デフォーは「プラトーン」
や「ミシシッピー・バーニング」の善人役から「スピード2」や
「スパイダーマン」の悪役まで様々な映画で現在も活躍中。でも
自分は「ライト・スリーパー」のドラッグディーラーのような
影のある役が好きです。音楽は80年代の洋楽が強い人なら聞いたこと
があるであろう、ワン・チャンが担当。サントラは結構出来が良いです。





秋の夜長に(4)

2005-11-19 01:11:04 | Weblog
秋の夜長シリーズです・・・

飽きてきましたかぁ~?

とりあえずもう少し続きますよ(笑)。ってゲイネタもやらないとね。

さて今回は「インサイダー」です。

物語は・・・

CBSの人気報道番組『60ミニッツ』のプロデューサー、ローウェル・
バーグマンはタバコ産業のある極秘資料を入手。彼は全米第3位の
企業ブラウン&ウィリアム(B&W)社の元研究開発部門副社長
ジェフリー・ワイガンドと接触する。彼はB&W社が利潤追求のため
タバコに不正な手段で人体に有害な物質を加えているという秘密を
握っていたが、病気の娘の医療手当をはじめ家族の生活を守るため、
B&W社の終身守秘契約に同意していた。しかし、ローウェルからの
「この問題は全世界の人々の健康に関わる問題だ」という説得に
より、法律の隙間を縫って番組のインタビューに応じる事になる。
しかし、B&W社はありとあらゆる手を使って妨害工作に出て彼らは
追い詰められる。果たして彼らのインタビュー素材は放送されるのか?

この『60ミニッツ』はTBS系列で「CBSドキュメント」という名で
放送されています。なので、この話をCBSドキュメントを通して
知ったと言う人はいるんじゃないでしょうか?

派手さは全く無いんですが、とにかく徹底したリアリズムで
ズンズンと心に迫る映画ですね。しかも実名で全て描かれています。
やはりB&W社からは相当の圧力があったそうですが、配給元の
ディズニーが突っぱねたそうです。

ドンパチ以外にもこういう壮絶な戦いに着目して、地味な話を
ドラマチックに描いた監督と役者に拍手!!!

秋の夜長に(3)

2005-11-16 00:00:14 | Weblog
秋の夜長に第三弾です。

今日は小品ながら豪華キャストが共演した、「摩天楼を夢見て」です。

物語は・・・・

雨が降る夕方、下請けの不動産会社リオ・ランチョ社に、本社から、
年収97万ドルを誇るスーパー営業マン・ブレイクがやってきた。
彼は成績不振のやる気の無い営業マンを前に「今夜中に契約書に
サインをもらってこい!1位の者には高級車、2位にはナイフセット、
3位以下はクビだ!」と檄を飛ばされる。しかも彼らに渡された
顧客リストは全くあてにならない物ばかり。初老の元敏腕営業マンの
レビーンは病気の娘がいるため、必死に電話を顧客に掛けてあの手
この手で契約を取ろうと躍起になる。しかし、全く契約を取れない
彼は「ある手」に出て勝負に出るが・・・・。

さて、主演の初老の営業マンはジャック・レモン。現営業成績1位の
口の上手い営業マンにアル・パチーノ。文句ばかり言って仕事を
しない営業マンにエド・ハリス。自信を失った営業マンにアラン・
アーキン。彼らを取り仕切る冷酷な上司にケビン・スペイシー。
激を飛ばす本社の営業マンにアレック・ボールドウィンという
超豪華なな顔合わせ。

この物語は、ピューリッツァー賞を受賞したデビッド・マメットの
序曲をクールな犯罪映画を得意するジェームズ・フォーリーが
監督。全編に流れるウェイン・ショーターのサックスも印象的。

さて何と言ってもジャック・レモンの演技につきます。電話の口調と
仲間内での口調のオン・オフの使い分けの鮮やかさ。必死であり且つ
惨めな営業マンの悲哀などをちょっとした仕草などの細かい部分まで
見事に演じています。不確かですがこの作品が彼の遺作になったのでは
ないでしょうか??

ちなみにですが、デビッド・マメットは今現在最高の劇作家の一人と
言われ、俳優なら誰もが彼の書いたセリフを喋りたいと思うほど尊敬
されています。その昔はポール・ニューマン主演の「評決」や
「ハンニバル」や「アンタッチャブル」などの脚本も書いています。
最近は自らメガフォンを取る事もあり、代表的な作品は傑作ポリス・
スリラーの「殺人課」、あっという逆転劇が楽しい「スパニッシュ・
プリズナー」、騙し騙される犯罪映画の「ザ・プロフェッショナル」
などがあります。

彼の作品の多くは女性の影が無く、結構骨太な男が描かれています。

秋の夜長に(2)

2005-11-15 00:07:07 | Weblog
では第2弾の「ペレ」です。

サッカー映画ではありません・・・ってベタな前置きは置いといて・・・。

物語は・・・

今から100年ほど前、スウェーデンからの移民の人々をのせた船が、
デンマークのボーンホルム島に到着した。「パンにはバターを塗り、
酒は飲み放題で、子供達は一日中遊んでいられる」という事を
信じてやってきた年老いたラッセとその9歳の子供ペレもその中に
入っていた。しかし現実は甘くない。老人と子供という事で、
どこの農園も雇ってくれないのだ。ようやく雇ってくれた「石の
農園」に拾われ、牛小屋で過ごす事になった2人。散々な扱いを
受けるが、ラッセは口だけで何も出来ない。そんな中ペレはアメリカへ
移住する事を夢見る使用人エリックと仲良くなる。やがて小学校へ
通うようになり、そこでも虐めを受けるが、同じ境遇のルズという
友達も出来た。しかし、ペレらの環境は日に日に悪くなる一方。
周りのみんなは一人、また一人と夢を求め農場を離れていく・・・。

この物語はネクセの「征服者ペレ」前四部の内の第一部をクローズアップ
しています。

良くアメリカの移民の話や、日本での在日韓国人一世の話などは何となく
知っていましたが、北欧の移民の話というのがあまり知らなかったので、
どの国にもこういう話ってあるんだな、と単純に思いました。あと
海を含めた水がとても印象的です。この北欧の荒海というのが、この
地域の人々の力強さという物を感じさせてくれます。出演者も皆
魅力的です。主演はマックス・フォン・シドー。最近はトム・クルーズの
「マイノリティ・リポート」や古くは「エクソシスト」の神父役などが
印象的な北欧が生んだ大俳優。監督はビレ・アウグスト。


秋の夜長に(1)

2005-11-13 00:30:55 | Weblog
秋の夜長にオススメ映画です。長い夜にじっくり映画を観たい人は
参考にしてみてください~。

まず第一弾は1972年の「惑星ソラリス」当時ソ連の巨匠アンドレイ・
タルコフスキー監督の大傑作SF映画です。

物語は・・・

宇宙の遥か彼方に存在する惑星“ソラリス”。その惑星はプラズマ状の
有機体で形成された「海」によって覆われていた。ソラリスの軌道上に
ある観測ステーションには様々な科学者たちが研究の為送り込まれたが、
その科学者たちは皆精神に異常をきたしてしまう。精神科医のクリスは
原因究明の為観測ステーションへ送り込まれる。その観測ステーションで
クリスの目の前に10年前に自殺した妻が現れる。クリスの妻はソラリスの
海が作った幻だった。ソラリスは人の心の闇に触れ、その恐怖を実体化する
能力を持っていた。科学者としての使命感、また夫として妻を自殺に
追いやった後悔の念の中でクリスは悶え苦しむ・・・・。

この映画西の「2001年宇宙の旅」東の「惑星ソラリス」と言われる程の
SF映画の金字塔。当時(1971年作品)はソ連映画の興行が困難な時期
でしたが岩波ホールが買い付けてきて公開に踏み切りました。黒澤明も
絶賛したこの映画は話題を呼び、岩波ホールの他、日比谷映画でも
2ヶ月間上映されました。

映像詩人のタルコフスキーが描く(地球の緑と水、暗黒の宇宙空間と青く
光るプラズマの海、人間の心の闇とその人間が作り出した科学、
未知の存在と地球の自分達・・・)惑星ソラリスの世界は観終わった後に
一冊の哲学書を読んだかのような気持ちにさせられます。

タルコフスキーですが、その後「鏡」(これも分かり難い)や
「ストーカー」(・・・といっても今でいうストーカーではないです)、
や西側に亡命後「ノスタルジア」や「サクリファイス」などを
制作しています。どれも光・水・風・火という自然の力の描き方、
効果の付け方がとても印象的です。

数年前「ソラリス」という名前でソダーバーグがリメイクしましたが、
とても俗っぽかったです。まあ「惑星ソラリス」が「ホーキング宇宙を
語る」だとしたら、「ソラリス」はその解説本という感じですかね。


史上最強のオヤジ

2005-11-12 21:24:29 | Weblog
お久しぶりでございます!!

関東では木枯らし1号が吹きましたね。これからは冬本番です。
最近は5時過ぎると外は暗くなり、やや寂しさを感じます。
まあそれが冬の季節感ではありますが・・・。こういう季節に
なると外に出たく無くなりますよねぇ~。ジムに行くのも
一苦労です。そんな時に思い出す人がいます・・・。

その人は・・・

プロレスの世界で「世界最強のオヤジ」と言われている
天龍源一郎選手。

多分僕らから上の世代の人でその昔テレビのゴールデンタイム
でプロレスを見ていた人なら「あの人まだやっていたの?」
って思う人が多いのでは?

そうなんです、まだバリバリやっています。今年55歳ですが、
バリバリの現役で、今でも名前でお客さんを呼べるレスラー
です。さすがに50前後を境に、力強さはやや落ちてきました
が、それでも物凄い馬力は健在で、親子程離れた若い選手を
バッタバッタ倒しています。

かつてはジャンボ鶴田や長州力の好敵手、アントニオ猪木と
ジャイアント馬場をピンフォール勝ちした唯一の日本人選手、
プロレスと一線を画していた現役時代の前田日明を唸らせた
容赦ないファイトスタイル、・・・と色々な記録と記憶をファン
に残しています。

でも何といってもこの選手の魅力は溢れんばかりの人間的
温かさかな。

体型とか顔とかそういう部分は抜きで、自分が50代になっても
彼のような力強さを兼ね備えていたいな、と思いながら
体を動かしてきました。誰かモチベーションを高めると
いう人が心のどこかにいると、ジムも頑張れますよね。