![]() | 幽霊人命救助隊 (文春文庫)高野 和明文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
イントロが読みにくくて・・・『13階段』や『グレイヴディッカー』と同じ作者だっていうイメージで読み始めても、この本の場合、
・ 主人公が「幽霊」
・「神様」から命令を受けて
・自殺者を救わなければならない
という設定なので、なかなか物語に入り込めずにしばらく放置していた本でした。
が、読み始めたら一気に読んでしまいました。やっぱり面白かった!
自殺者の多い日本の現状・・・うつ病患者、いじめに悩む子ども、借金苦にあえぐ人、いろいろなパターンの「自殺願望を持つ人」が出てきます。それを4人の幽霊達が必死に止めようとするのです。
社会の問題などが厳しく丁寧に、しかし明るい雰囲気でもって、面白く書かれていました。こういう人情話も、いいもんだなあーとしみじみ思える本でした。
徹底的に「どんなことがあっても生きなきゃ! 死んではいけない!」という思想に貫かれた物語です。ぜひ、若い人に読んでほしい!!と思いました。(うちの息子も、今読んでいる『グレイヴディッカー』の次に読むつもりだそうです)
*
さて、日本では自殺者が多いと言われますが、どれくらい多いのでしょうか。
「社会実情データ図録」というサイトがありまして
→ 社会実情データ図録TOP
その中に、自殺者数の国際比較のグラフがありました。
→ 自殺者の国際比較(2009年)
このサイトにあったコメントによれば、
----引用ここから----
「日本は欧米先進国と比較すると確かに世界1の自殺率となっている。さらに範囲を広げた国際比較では、図のように、日本は、ベラルーシ、リトアニア、ロシア、カザフスタン、ハンガリーに次ぐ世界第6位の自殺率の高さとなっている。このように国内の混乱が続く体制移行国に次いで高い自殺率ということから日本の自殺率はやはり異常な値であるといわざるを得ない。」
----引用ここまで----
とのことでした。やはり「日本の自殺率は異常な値」だそうですよ!
先日、映画『オーケストラ!』を見た後、ソビエト連邦の歴史って怖いなー・・・などと思ったのですが、日本のこういう状況を省みれば、そんな、よその国のことを批判している場合じゃないよなーとも思います。
また、このサイトでは、こんなことも書かれています。
----引用ここから----
「WHO精神保健部ホセ・ベルトロテ博士はこう言っている。「日本では、自殺が文化の一部になっているように見える。直接の原因は過労や失業、倒産、いじめなどだが、自殺によって自身の名誉を守る、責任を取る、といった倫理規範として自殺がとらえられている。」
「英エコノミスト誌(2008.5.3)は(中略) 記事で日本の自殺率の高さについて論評している。経済的な要因についてもふれているが、記事の主眼は日本人の文化的な要因、あるいは社会的特性であり、上記の見方と共通している。「日本社会は失敗や破産の恥をさらすことから立ち直ることをめったに許容しない。自殺は運命に直面して逃げない行為として承認されることさえある。」
----引用ここまで----
そういえば。
死刑制度の是非が問われるとき、
「日本では、<死をもって償う>という思想、文化がある。だから死刑は維持する」
という意見を聞くことがあります。(法務大臣の会見とか、アムネスティからの呼びかけに対する外務大臣の回答とか)
そうやって、国や社会が「死をもって償う」という思想を是認する(・・・というより奨励する?) のだとしたら、自殺が多いのも必然という気がします。
しかし、「死をもって償う」の思想は絶対NGだと思いますよ!
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