私は18歳の大学入学のときから東京で1x年ほど一人で暮らしていましたが、都会で一人暮らしをしていると、なかなか近所の人とおつきあいする機会はありません。つきあう人といえば、学校や職場のお友達。友達がたまたま近所に住んでいたということはあったりしますが、同じアパート(マンション)のお隣さんでも、顔も知らずにいたりします。
そういう中で、親しく、というほどではないにしても、顔をあわせれば挨拶する以上のおつきあいが生じたご近所さんはほんの数人。全員、猫関係の方でした。
飼い主がまだ大学生だった昔昔のお話。当時はけっこうあったお風呂無しアパートに住んでいたのですが、夜遅い時間に銭湯からの帰り道で痴漢におそわれて怖~い思いをしました(持ってた傘でなぐって撃退成功しましたが)。で、銭湯通いはもう嫌、とばかりに、「お風呂がついていて安ければいい」という条件で見つけたアパートは、もうすぐ取り壊すからいいや、という大家さんの思いが伝わってくるような古びたアパートで、地震があったら最初につぶれるかも、と心配になるほどでしたが、当時としては珍しく「ペット可」という(一部の人にとっては)とても好条件なものでした。
そういうわけで早速お引越し。そして早速、猫雑誌の里親募集で見つけた子猫ちゃんをいただいてきました。ミッキーマウスみたいな顔をした、白黒できゃしゃなかわいい♂の子。自分の姓がKinoshitaなので、名づけはかなり適当に、とうきちろう君となりました。名付け親は私ではなくて友達ですが。
とうきちろうの短かった1年半の生涯を思うと、ほんとに未熟で自分勝手な飼い主で申し訳なかったと20年過ぎた今も悲しくなりますが、、それはさておき。。
のんびりした地方で生まれ育ち、猫は放し飼い、自由に出入りできるのが猫も幸せ、と疑いもしなかった私は、とうきちろうをけっこう自由に外に出してやっていました。♂の子だし、外に出られれば猫も楽しいらしく、ますます外に出たがります。で、私が学校に出かける時も、外に出たまま戻ってこない、しかたなくそのまま外出し、学校に行けば友達もいるし、若い頃は楽しいお遊びがいっぱいあって、帰宅は遅くなりがちで。。
自分勝手に猫かわいがりする割には、実際のところ放し飼い状態で育てるおこちゃま飼い主のもと、ふと気づくととうきちろうは、帰宅の早いアパートの住人さんのお宅におじゃまする、(あえてよくいえば)人見知りしない猫ちゃんに育っていました。そのアパートは1階に5部屋の2階だて、全部で10世帯ほど住んでいたのですが、私の部屋の1軒おいたお隣さんご夫婦も猫を飼っていて、そちらのお宅のみーにゃんという♀猫ちゃんと仲良しでした。そのお宅の奥さんが昼間家にいることが多かったので、私がいない間、よくかわいがっていただいていたようです。
そういうわけで、私は帰宅してしばらくたってもとうきちろうが帰ってこないと、まずみーにゃんのお家に、とうきちろう、おじゃましてませんか?とお迎えに行きました。たいていそのお宅にいるのですが、今日は来てないけど、さっき階段上ってたわよ、などと返事がくると、とことこと階段を上り、ご在宅の二階の住人さんに、うちの猫うかがってませんか?と聞いてまわります。来てるわよ、と連れてきて渡してくれる場合もあれば、今日はボクも今帰ってきたとこだからわかんないなぁ~などと言われることも。
こうして、予想外にも、このアパートではほとんどの住人さんと、それなりの交流が生じたのでした(というか、私が一方的にお世話になっていたのですが)。特にみーにゃんの飼い主さんご夫婦にはとてもお世話になりました。ご主人はお仕事の時間が不規則だったようで、時々夕方うかがうとご主人が一人で寝ている(たぶん、夜勤明けの日)、その足元に猫が2匹丸かってたりして。。で、玄関からのぞきこんでとうきちろうを呼ぶと、みーにゃんも一緒にうちに来てご飯、夜になると奥さんがみーにゃんをお迎えに来る、といった具合。
今考えると、のどかだったな~と思います。古いアパートだったせいもあるのかもしれませんが、誰一人、あなたの家の猫に家を汚された、とか、迷惑、と苦情をおっしゃる方もいなかったし、私のほうも、ひょっとしてどこかで虐待されるかも、なんて心配はまったく思いつきもしませんでした。ここ数年は、猫の虐待、虐殺などのニュースをみるたびに、あまり人見知りしないのこちゃんには、知らない人についてったらだめよ~などと言わなければいけないし(のこちゃんは理解してないでしょうが)。なんだか、今になって振り返ると、江戸時代の長屋みたいだなあ。社会も、役に立たずに迷惑をかける存在(ヨソの猫とか)を許容する大らかさがあったように思えます。
このような長屋に住んでましたが、とうきちろうは、生まれは原宿。洒落たマンションにお住まいの、洒落たカップルさんからいただいた、都会風でスリムで、黒くて細長い尻尾のハンサム猫でした(もちろん、そう思ってたのは飼い主だけでしょう)。みーにゃんは、お尻もしっぷもまんまるくて、目がくりくりしてかわいいけど、うちのとうきちろうにはもっと美人なGFがいてもいいのに、などと内心思っていたものです。みーにゃんの飼い主さんは、みーにゃんはしっぽが丸くて後姿がとっても可愛いの♪などと言っていたし、とうきちろうの名前も間違って「秀吉さん」などと呼んだりしていたので、内心、かわいいみーにゃんにはもっとしっかりしたBFがいてもいいのに、とか思ってたかもしれません。
とはいえ、そんな飼い主たちの思いにかかわらず、とうきちろう&みーにゃんは仲良しで一緒にいて幸せそうでした。そして、ともすれば同年代の学校の友達だけの世界しか見られなくなりがちな地方出身の大学生の女の子(←昔の私)に、不思議な距離感のご近所の世界を垣間見せてくれたのでした。
そういう中で、親しく、というほどではないにしても、顔をあわせれば挨拶する以上のおつきあいが生じたご近所さんはほんの数人。全員、猫関係の方でした。
飼い主がまだ大学生だった昔昔のお話。当時はけっこうあったお風呂無しアパートに住んでいたのですが、夜遅い時間に銭湯からの帰り道で痴漢におそわれて怖~い思いをしました(持ってた傘でなぐって撃退成功しましたが)。で、銭湯通いはもう嫌、とばかりに、「お風呂がついていて安ければいい」という条件で見つけたアパートは、もうすぐ取り壊すからいいや、という大家さんの思いが伝わってくるような古びたアパートで、地震があったら最初につぶれるかも、と心配になるほどでしたが、当時としては珍しく「ペット可」という(一部の人にとっては)とても好条件なものでした。
そういうわけで早速お引越し。そして早速、猫雑誌の里親募集で見つけた子猫ちゃんをいただいてきました。ミッキーマウスみたいな顔をした、白黒できゃしゃなかわいい♂の子。自分の姓がKinoshitaなので、名づけはかなり適当に、とうきちろう君となりました。名付け親は私ではなくて友達ですが。
とうきちろうの短かった1年半の生涯を思うと、ほんとに未熟で自分勝手な飼い主で申し訳なかったと20年過ぎた今も悲しくなりますが、、それはさておき。。
のんびりした地方で生まれ育ち、猫は放し飼い、自由に出入りできるのが猫も幸せ、と疑いもしなかった私は、とうきちろうをけっこう自由に外に出してやっていました。♂の子だし、外に出られれば猫も楽しいらしく、ますます外に出たがります。で、私が学校に出かける時も、外に出たまま戻ってこない、しかたなくそのまま外出し、学校に行けば友達もいるし、若い頃は楽しいお遊びがいっぱいあって、帰宅は遅くなりがちで。。
自分勝手に猫かわいがりする割には、実際のところ放し飼い状態で育てるおこちゃま飼い主のもと、ふと気づくととうきちろうは、帰宅の早いアパートの住人さんのお宅におじゃまする、(あえてよくいえば)人見知りしない猫ちゃんに育っていました。そのアパートは1階に5部屋の2階だて、全部で10世帯ほど住んでいたのですが、私の部屋の1軒おいたお隣さんご夫婦も猫を飼っていて、そちらのお宅のみーにゃんという♀猫ちゃんと仲良しでした。そのお宅の奥さんが昼間家にいることが多かったので、私がいない間、よくかわいがっていただいていたようです。
そういうわけで、私は帰宅してしばらくたってもとうきちろうが帰ってこないと、まずみーにゃんのお家に、とうきちろう、おじゃましてませんか?とお迎えに行きました。たいていそのお宅にいるのですが、今日は来てないけど、さっき階段上ってたわよ、などと返事がくると、とことこと階段を上り、ご在宅の二階の住人さんに、うちの猫うかがってませんか?と聞いてまわります。来てるわよ、と連れてきて渡してくれる場合もあれば、今日はボクも今帰ってきたとこだからわかんないなぁ~などと言われることも。
こうして、予想外にも、このアパートではほとんどの住人さんと、それなりの交流が生じたのでした(というか、私が一方的にお世話になっていたのですが)。特にみーにゃんの飼い主さんご夫婦にはとてもお世話になりました。ご主人はお仕事の時間が不規則だったようで、時々夕方うかがうとご主人が一人で寝ている(たぶん、夜勤明けの日)、その足元に猫が2匹丸かってたりして。。で、玄関からのぞきこんでとうきちろうを呼ぶと、みーにゃんも一緒にうちに来てご飯、夜になると奥さんがみーにゃんをお迎えに来る、といった具合。
今考えると、のどかだったな~と思います。古いアパートだったせいもあるのかもしれませんが、誰一人、あなたの家の猫に家を汚された、とか、迷惑、と苦情をおっしゃる方もいなかったし、私のほうも、ひょっとしてどこかで虐待されるかも、なんて心配はまったく思いつきもしませんでした。ここ数年は、猫の虐待、虐殺などのニュースをみるたびに、あまり人見知りしないのこちゃんには、知らない人についてったらだめよ~などと言わなければいけないし(のこちゃんは理解してないでしょうが)。なんだか、今になって振り返ると、江戸時代の長屋みたいだなあ。社会も、役に立たずに迷惑をかける存在(ヨソの猫とか)を許容する大らかさがあったように思えます。
このような長屋に住んでましたが、とうきちろうは、生まれは原宿。洒落たマンションにお住まいの、洒落たカップルさんからいただいた、都会風でスリムで、黒くて細長い尻尾のハンサム猫でした(もちろん、そう思ってたのは飼い主だけでしょう)。みーにゃんは、お尻もしっぷもまんまるくて、目がくりくりしてかわいいけど、うちのとうきちろうにはもっと美人なGFがいてもいいのに、などと内心思っていたものです。みーにゃんの飼い主さんは、みーにゃんはしっぽが丸くて後姿がとっても可愛いの♪などと言っていたし、とうきちろうの名前も間違って「秀吉さん」などと呼んだりしていたので、内心、かわいいみーにゃんにはもっとしっかりしたBFがいてもいいのに、とか思ってたかもしれません。
とはいえ、そんな飼い主たちの思いにかかわらず、とうきちろう&みーにゃんは仲良しで一緒にいて幸せそうでした。そして、ともすれば同年代の学校の友達だけの世界しか見られなくなりがちな地方出身の大学生の女の子(←昔の私)に、不思議な距離感のご近所の世界を垣間見せてくれたのでした。