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朗報?「生産能力10倍 『石油』つくる藻類、日本で有望株発見」

2010-12-16 21:20:04 | 独り言
石油の成分は、飽和炭化水素でCnH2n+2の化学式で表されるアルカンだ。このアルカン・・・石油由来の物は鉱油、生物由来の物は脂肪油だが、多くの動植物がこれを脂肪酸(CnHmCOOH) から作り出す。例えば、リンゴの表面を覆っていている天然のワックス成分もn=20-30の長鎖アルカンだし、昆虫 のフェロモンにも多くのアルカンが存在する。但し、生物由来のアルカンは一般に鎖長(n)が長く、流動性がない固形になってしまうので燃料には適さない。逆に、古細菌の一種であるメタン菌は燃料にも使える最も単純なアルカンであるメタン(n=1)を作り出すが、メタンは気体なので輸送や補給に都合の良い液体化に手間が掛かる。現在の内燃機関に都合の良い鎖長のアルカンを作り出す藍藻が見つかっている。藍藻と云うか・・・現在の大部分の植物に含まれる葉緑体は・・・
「葉緑体のリボソームRNAの塩基配列は単系統を示し、さらにシアノバクテリアの系統樹の中に含まれる。これは、植物や二次共生藻類のすべての葉緑体の直接の祖先がシアノバクテリアであること、さらに葉緑体を生じた細胞内共生が1回だけ起きたという仮説を支持している。」から、二次共生藻類である藍藻と云うよりもシアノバクテリアとして細菌類の一部だとされている。そのシアノバクテリアの中の数種から米国サンフランシスコのベンチャー企業LS9が、燃料に適する鎖長のアルカンを合成するのに必要な遺伝子を取り出し、大腸菌に入れて、培養に依ってディーゼル燃料を作り出すことに成功したそうだ。この成果はScience7月30日号に発表された。

生産能力10倍 「石油」つくる藻類、日本で有望株発見

アサヒコム(朝日新聞社)2010年12月15日7時0分

藻類に「石油」を作らせる研究で、筑波大のチームが従来より10倍以上も油の生産能力が高いタイプを沖縄の海で発見した。チームは工業利用に向けて特許を申請している。将来は燃料油としての利用が期待され、資源小国の日本にとって朗報となりそうだ。茨城県で開かれた国際会議で14日に発表した。

筑波大の渡邉信教授、彼谷邦光特任教授らの研究チーム。海水や泥の中などにすむ「オーランチオキトリウム」という単細胞の藻類に注目し、東京湾やベトナムの海などで計150株を採った。これらの性質を調べたところ、沖縄の海で採れた株が極めて高い油の生産能力を持つことが分かった。

球形で直径は5~15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。水中の有機物をもとに、化石燃料の重油に相当する炭化水素を作り、細胞内にため込む性質がある。同じ温度条件で培養すると、これまで有望だとされていた藻類のボトリオコッカスに比べて、10~12倍の量の炭化水素を作ることが分かった。

研究チームの試算では、深さ1メートルのプールで培養すれば面積1ヘクタールあたり年間約1万トン作り出せる。「国内の耕作放棄地などを利用して生産施設を約2万ヘクタールにすれば、日本の石油輸入量に匹敵する生産量になる」としている。

炭化水素をつくる藻類は複数の種類が知られているが生産効率の低さが課題だった。

渡邉教授は「大規模なプラントで大量培養すれば、自動車の燃料用に1リットル50円以下で供給できるようになるだろう」と話している。

また、この藻類は水中の有機物を吸収して増殖するため、生活排水などを浄化しながら油を生産するプラントをつくる一石二鳥の構想もある。(山本智之)

 

これが事実なら尖閣諸島周辺海底からの石油が採算ベースになる程に原油価格が高騰する前に、日本独自で汚水処理場から石油を生産が出来る様に成る・・・のカモ知れない。ガソリンで走る車で在っても、その燃料が化石燃料でない場合は・・・循環可能エネルギーとされるのでは無いだろうか?食料や飼料として栽培されていたトウモロコシでアルコール系自動車燃料を作るよりも、生活排水からガソリンが得られるのなら、その方が地球環境に優しい様な気がする。

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2 コメント

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Re: Unknown (軽薄な店主)
2010-12-22 17:04:03
コメント有り難う御座います。

尚、当記事の表題【朗報?「生産能力10倍 『石油』つくる藻類、日本で有望株発見」】の『朗報?』の『?』は、天下の公器朝日新聞の記事を信じないのは申し訳ないケド・・・本当かな~と云う「私の気持ち」が付けています。又、記事引用下の「これが事実なら」も同じ類の「私の気持ち」が書いています。

・・・と云うのは言い訳じみた前置きで・・・

藍藻類を生物「光」発電と云う見地で活用しても普遍的なソーラーパネル程度の効率だそうですが、培養液中の糖や有機物でも発電可能の様です。

http://www.aist.go.jp/NIRE/publica/news-97/97-10-2.htm

電気として取り出すから太陽光エネルギーの変換率は10%程度に成りますが、生体内の変換効率は30%だそうで、それを電気として取り出すのではなく生化学工場として機能させるオーランチキトリウムでは・・・太陽光以上のエネルギーを・・・無から有を産むのではなく・・・有機物からガソリン様アルカンを生合成させる訳です。

従来のポトリオコッカスの10~12倍の効率ならば「1000トン分の太陽エネルギーから、1万トンの石油を作る」事も実験室レベルでは可能の様ですヨ。

大規模汚水処理場で、従来使っていた嫌気バクテリアの代役が務まる訳ではないので、オーランチキトリウムの好む副生成物を産む一時処理バクテリアを見つけられれば商業的に実現するとは思っています。又、生きている生物のメンテナンスに必要なエネルギーの問題も然り。

だから、朗報・・・では在るけれど、少し遠い将来の朗報・・・なのでしょうね。でも、廃棄物埋め立て地から石油製品を発掘して液体燃料にすると云う「アニメ・未来少年コナン」とは違う展開の可能性、メタンハイドレートからのメタンを重合液化した燃料・・・だけではない再生可能エネルギーとしてのガソリン様燃料・・・、今日的な電気一本槍のエコ行政とは違う観点も必要なのでは無いでしょうか?



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Unknown (Unknown)
2010-12-22 15:27:31
 1万トンどころか100トンも怪しいでしょう(本当に効率10倍ならグロスで100トンはあり得る数字ですが)。
 日本の地表面(水平面)が1年間に受ける太陽エネルギーは、晴天率を考慮すると、1平米あたり年間約1200kWhといわれています。これは石油約100kg分に相当します。1haでは1000トン。1000トン分の太陽エネルギーから、1万トンの石油を作るんでしょうか。
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