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散歩 ◆新潟市のあたり

日々綴り 新潟市のあたりから

食堂かたつむり

2010-01-19 21:33:45 | 本、映像・音楽
  食堂かたつむり 小川糸 著

ジュテームスープ・拒食症のウサギ・母の結婚。素敵なエピソード。
出てくる料理のおいそうなこと。
映画にもなるのだそうです。

連続テレビドラマで各話にエピソードをいれながら、各話の伏線を最終回にまとめる。
そんなドラマを見ながら育った世代の作者でしょうか。
エピソードをいつくか思いつき、それに母に馴染めぬ娘の変化の縦糸を絡め、
さらにその縦糸を結べるように、いくつかのエピソードを足していった。
設定の無理や展開の不自然さは、この長さでまとめるために構成中にできた。
そんな本です。

ストーリーや表現の機微を楽しみたい人にはちょっとお勧め出来ませんが、
この本を短編、エッセイと読むことが出来る人ならば楽しめる部分はあると思います。

スナーク狩り

2010-01-16 07:53:45 | 本、映像・音楽
>   スナーク狩り  宮部みゆき 著

関沼慶子は元恋人・国分慎介の結婚式の会場に散弾銃を持って、新郎新婦が雛壇に戻る時を待っていた。
織口邦男は関沼慶子がもつ銃を手に入れるため、マンションの地下駐車場で待っていた。

この小説を読みはじめると映像が次々に見えてきます。
織口邦男はなぜ銃を奪おうとしているのか
銃はどうなるのか、その銃はなにを起こすのか。
別々の夜を過ごしていた人物が絡み
映画を見るような見事なカット割とストーリー展開で進んでいきます。

この本のはじめにルイス・キャロルの『スナーク狩り 八章からなる死闘』の引用ではじまります。
スナークは並の方法では捕らえることの出来ない生物であり、
スナークには様々な異なった種があり、
もしプージャムに会ってしまったならばその者は静かに消え失せてしまう。

さて、この小説の中、スナークはどんなかたちで現れているでしょう。

ハヅキさんのこと

2010-01-16 07:46:50 | 本、映像・音楽
    ハヅキさんのこと  川上弘美 著

「むかしむかし・・・・・・。
ことの発端は、ボールペンだった。」
「愛人になったことが、たった一度ある。
それも、三日間だけ。」
「さっきから数えて五回目のあくびを、咲子はした。つづけて、悦之も。こちらはまだ三回目ほどである。」
「叱られるかな、と思いながらバスに乗っていた。
M市の病院に入院しているハヅキさんの見舞いに行くためである。」
最後のものが表題の「ハヅキさんのこと」の書き出し。
その前にいくつか抜き出したものがこの短編集の書き出し。
日常、男女のすれ違いやふれ合いなど
10ページに満たない短編でその空気感が伝わってきます。
全25編。好いですよ。

鉄道員(ぽっぽや)

2009-12-29 22:00:52 | 本、映像・音楽
鉄道員(ぽっぽや)

「あなたにも起こる、やさしい奇蹟」
北海道のローカル線の終着駅で、長年生真面目に務めてきた初老の男。
娘を亡くした日、妻を亡くした日も仕事一筋で生きてきた男。
そんな彼に
死での日を知らせるものが起こした やさしい計らい。
雪の廃線間近な駅の風景に印象的なラスト。



この映画は
父と亡き母が映画館で見た最後のもの。
たぶん映画館で映画を一緒に見たのは何十年かぶりだったことでしょう。
母はもしかすると父の生き方と重ねていたのかもしれません。
父の顔を覗き込んで嬉しそうにしていました。
母が亡くなったのはこの映画を見てから程経たない頃でした。
父は今もこの映画を再び見ようとはしません。

サンタクロースっているんでしょうか

2009-12-24 21:31:52 | 本、映像・音楽
サンタクロースっているんでしょうか

Dear Editor:
I am 8 years old and Some of my little friends
say there is no Santa Claus.
Papa says "If you see it in The Sun it's so"
Please tell me the truth, is there a Santa Claus?
                   Virginia O'Hallon

・・・Yes, VIRGINIA, there is a Santa Claus.・・・の一節のある記事で応えたのが
サン新聞のベテラン記者、フランシス・P・チャーチ氏


この時期に取り上げられることの多い本。
読んだことのないひとは是非一度。
読んだことのあるひとはもう一度この時期に読みなおしてみる。
きっと胸のあたりにあたたかなものがよみがえるはず。

webでもこの題名で検索するとその内容にふれることが出来ます。

午前零時 -P.S.昨日の私へ

2009-12-09 21:26:04 | 本、映像・音楽
   午前零時 -P.S.昨日の私へ

様々なタイプの話が載っています。
掲載されているのは
ハンター/鈴木光司
冷めたい手/坂東眞砂子
夜、飛ぶもの/朱川湊人
卒業/恩田陸
分相応/貫井徳郎
ゼロ/高野和明
死神に名を贈られる午前零時/岩井志麻子
箱の部屋/近藤史恵
午前零時のサラ/馳星周
悪魔の背中/浅暮三文
1、2、3、悠久!/桜庭一樹
ラッキーストリング/仁木英之
真夜中の一秒後/石田衣良

例えば
元恋人に復讐するために悪魔を捕まえようとする 午前零時の合わせ鏡・・・「悪魔の背中」
占いで28歳の11月1日、その日、最初にあった人と結婚すると云われた彼女。午前零時に会ったのは・・・「真夜中の一秒後」
封印できた部屋の中の少女たち、封印の隙から襲う爪。午前零時まで耐えられれば「卒業」
記憶喪失の男は時間を旅する装置の実験者となる未来へいくことになっていたのだが・・・「ゼロ」
小学三年生の女の子、はじめて午前零時、今日が昨日になる時をはじめて見た「夜、飛ぶもの」

なにかと忙しい、師走。
こんなときには短編集も好いものです。

ちんぷんかん

2009-12-04 05:22:33 | 本、映像・音楽
   ちんぷんかん 畠中恵 著

おなじみ「しゃばけ」シリーズの文庫化新刊
表題の「ちんぷんかん」を含む五つの短編集です。
賽の河原へ行って、相談で行った広徳寺では妖との算術合戦があって、
兄の松之助の縁談話とそれにまつわる話がこの本には多く載っています。
そして、最後に載っているのが「はるがいくよ」。
先日の火事で生き残った桜の古木が長崎屋の中庭に植え替えられ、
花の時を迎えて、桜の花びらが部屋に遊びにやってきたお話。
これがとても好いのです。

ごきげんな裏階段

2009-11-25 21:20:46 | 本、映像・音楽
  ごきげんな裏階段   佐藤多佳子 著

みつばコーポラスの裏階段、
そこには奇妙な生き物たち、
タマネギ好きの猫(タマネギねこ)、
幸、不幸の二つの笛を持つクモ(ラッキー・メロディー)、
ダストシュートに閉じ込められていた煙男(モクーのひっこし)がいた。
子供たちはそれを見逃さず、友達になろうとする。

こう書くとありがちなファンタジーととられるかもしれませんが
これら奇妙な生き物を見て相手をするのは子供たちだけでなくその両親もなのです。
子供たちだけが見られるとか、魔法の国へご招待、なんてことはありません。
極日常風景の中に自然に奇妙な生き物はとけ込み、
モクーにいたっては手品の相手までさせられます。
この「ごきげんな裏階段」はユーモアのある楽しい物語たちなんです。

ブラバン

2009-11-11 21:00:41 | 本、映像・音楽
  ブラバン 津原泰水 著

1980年、高校入学、吹奏楽部に入ってコントラバスを弾き、仲間たちと過ごした。
高校を卒業し、四半世紀が経過たある日、再結成の話が持ち上がる。
かつての仲間たちに声をかけると、
その仲間たちとのエピソードとともに集まってきてくれる。
死んでしまったもの、行方がわからぬものも かつて同じ時を過ごした仲間。

境遇は随分変わって、色々だけれど
集まってみれば、あの時のことが昨日のことのようによみがえる。

これを読んで感じることができるのは、
仲間たちと一生懸命過ごした経験をもつひとかな、
とくに高校大学などを卒業して時間が経った、そう四半世紀くらいたったひとかも。
一生懸命進んできて、ふと振り返ったときにその長さに気付いたとき。
そんなひとは是非これをめくってみてください。

シネマ食堂

2009-10-14 05:05:12 | 本、映像・音楽
  シネマ食堂 飯島奈美
アエラの連載コラムシネマ食堂の本。

フードスタイリスト飯島奈美さんが映画に登場する料理を再現。
70レシピとフードスタイリストの仕事現場の密着ルポなど。
「かもめ食堂」「のりちゃんのり弁」「カフーを待ちわびて」「めがね」などの映画から。
素朴でおいしそう、つくっても楽しそうなものばかり。
料理の写真は食卓の風景。
いわゆる料理、レシピ本との違いから、雰囲気、映画を思い描けそうです。