散歩 ◆新潟市のあたり

日々綴り 新潟市のあたりから

ゆき (3)

2012-12-24 08:33:11 | Story 5
(病室)(点滴)(ベット)
「ごめんね」
(お腹をゆっくりさする)「子供を抱かせてあげられなくて」
「・・・」「いたじゃないか あのクリスマスに」
「・・・」
「あ 雪」
(フォーカスアウト)



(フォーカスイン)
(明るい部屋)(若いふたり)
「(お腹をゆっくりさすりながら)名前どうする?」
「名前決めている 女の子なら ゆき」
「私と同じ名前?」
「字は冬の空からのおくりもので『雪』」
「(微笑み)」
(フォーカスアウト)

ゆき (2)

2012-12-23 22:21:20 | Story 5
「パパ 起きて」
(フェードイン)「朝ご飯だよ」
(目の前に女の子の顔)「(飛び起きて)え!?」

「朝ご飯食べるわよ」
「なんだぁ? パパって呼んだぞ」
「そう、私のことママって呼ばせてるの」
「あと二日預かるんだから、その間だけ」

「いただきまーす」



とても大人びた感じの「雪」だったけれど
彼女が昨夜の寝言で思いついたらしい。

僕たちには子供がいない
僕にはどうすれば良いかわからなかったけれど、
なぜか彼女は活き活きしてどんどん「雪」と進めていく。
それに合わせているうちに楽しい時間が過ぎていっていった。

クリスマスだし「親子」で食事に行こうとなった。
三人だし何処でも入れるさと気楽だったのだけれど
小さな子供連れだと、入れないお店があるなんてその時はじめて知った。
ちょっと歩き回って見つけることになってしまった。



(ファミレスにて)
(三人のテーブル)
(「雪」の世話を取り合うふたり)
(親子に見えるよね(微笑))

(まちはイルミネーションに彩られ
そこをゆっくりと歩く)
(背中に「雪」)
「寝ちゃったね」「うん」

ゆき (1)

2012-12-22 21:20:54 | Story 5
(病院の入口)
女(出てきて暗い顔。ひと呼吸おいて冬の空を見上げる)



(家の入口。声が聞こえたので)
男「はい」(ドアを開けるとそこにおばあさんと小さな子が)
「どちらさまで」
「福島のババの顔を忘れたか!」
「あ・え?」
「これから用事で出かけなきゃならなくなったから 3日間 雪をあずかってくれ」
「え ? えぇ???」(ジロッ)「・はい」



(寝ている子供の傍らで)
「この子 誰?」「あなたに似ているけれど、まさか子供が出来ないからって外に」
「え! 福島のおばあさんから3日間預かった」
「誰」「福島の・」「?」
「なんだかはじめて会った頃のお前に似ているように思ったから そうなのかなと」
「え?」
・・・(寝言)「ママぁ」

「両親はいなくて、
おばあさん グランマと呼んでいるらしいんだけれど ふたりでくらしているんだって」