散歩 ◆新潟市のあたり

日々綴り 新潟市のあたりから

如月

2010-02-02 21:06:11 | Story 2
  立春の前日が「節分」です。古来この日には、季節の変わり目に入り込む邪気を追い払い一年の無病息災を願います。



 気温が一番下がるのは、この如月のはじめの頃。暦の上では立春を迎え 季節を分け これより春。確かに地面では芽出しの時を待つ植物の姿が目につくようになる。
 とはいえ、寒いことに変わりはない、コートの襟を立て 首から風が入り込まないように歩く。自然といつものあそこへ足が向くのは、いつもの心地よさが恋しいから、そして笑顔に会えるから。

 「いつもありがとうございます。」
 「 ! こんにちは」
 「今日は何になさいます。」
 「そう、マンデリンをください。」
 「はい」

笑顔

睦月

2010-01-02 08:46:01 | Story 2
 季節は冬の真ん中。それでも年が改まったということだけで、春へ向かう予感が強くなる頃。



 特に信心深いとも思わないのだが、新しい年には初詣を欠かさない。自分一人の時と会社のお札を納める時と、二回来るようになったのはいつからだろう。苦になったことがないのは、どうとも思っていないからか、それとも自分が思っているより信心深いのか。

境内

 年が改まると、願がかなうとなんて思っていないくせに必ず来てしまう初詣。それでいて来る日が1月1日ではないのは、人混みが苦手なのも理由のひとつだし。・・・だから願がかなわないのかなぁ

「あっ ・・・」

師走

2009-12-02 20:37:51 | Story 2
 色とりどりに街を飾った木々は葉を落とし、遠くの山は白いシルエットをみせています。時にはこの街にも白い便りが来る頃。



 ヘッドライト

 この季節 寒くなるから足早なのか、師走だからか。
 今年はいつもと感じが違う。この季節には夜の街には特に光があふれ、普段の無彩色な街が光を纏う。今まではそんなことにも気をとめなかったのに。

 12月の冷たくなった空気の中、暖色のディスプレーが輝いて、その光に誘われるまま歩いてみる。言葉も交わしたこともないひとのことを思いながら。
 人混みは苦手だけれど、この季節の街なら 少しはいいかな。いつもは眺めることの少ないショーウインドウもキラキラしている。今年は気持ちを明るく 軽くしてくれる感じがする。

 「・・・これ、みせてください。」

霜月

2009-11-02 20:55:31 | Story 2
季節はまだ秋。11月の初めにその日を迎える「立冬」。朝夕の寒さが強くなり、霜も降りるようになります。



窓辺の光

あともう少し布団の暖かさから離れたくない。・・・ずいぶん寒くなったもの。 うぅん もうすこし・・・

毎日いろいろあるから気持ちも落ち込むこともあるけれど、ここで目覚めるだけで元気になれる。

この部屋を選んだのは、東側に窓があったから。朝の光を受けた目覚めが子供の頃からの好きなこと。雲の多い日や雨の日でも夜明けを感じられるし、晴れている日ならそれだけで、うれしく気分も軽やかになるから

さて、そろそろでかけましょ
・・・きょうは あの人 来るかしら。

神無月

2009-10-02 21:51:57 | Story 2
 神無月は日本中の神様が出雲の国に集まる月。このため他の国では神様がお留守になってしまうのでそう呼ばれました。
 神様が集まる出雲では、この月は神在月と呼ばれます。集まった神様はそこで誰と誰を結婚させるかなどを話し合います。



 こちらに来るときには、少し遠回りでも寄る店がある。

 人と会い、その抽象的な「思い」を整理し、具体的なイメージへと構成する。ときにはその「思い」を理解してくれないと怒り出す人もいる。理由は「思い」への強さ故のこと、私の理解力不足のことと いろいろである。

 そんな日々の途中、いつもではないのだけれど、この店にくるとほっとできる。それは 時間を忘れるというものではなく、ここちよい肌触りにも似たもののような気がする。この「店」の空気なのだろう。それはきっとここをつくっている「もの」たちからできていて、そしてときに違う構成になるから「いつも」ではないのだろう。そして、最近になって その構成になる「もの」に気がついた。

「・・・きょうは あの人が来てくれた。」

手紙

2009-09-20 21:24:30 | Story 2
 朝夕風が冷たく感じられるようになってきました。まちの色も変わってきたように感じています。

 先日のお休みに まちのはずれで見つけた小さな喫茶店でランチをいただきました。奥さんがカウンターで、奥で娘さんがランチをつくっていました。窓際にまるテーブルが三つ、七人ほどか座れる台形のテーブルが店の中央、カウンターに四席のお店でした。コーヒーを注文を受けてからドリップで出し、お客さんのイメージに合うようなカップに入れてお出しするスタイルでした。

 こんなこと、ふたりで見て回っていた頃の習慣でしたね。あれからずいぶん経つのにやってしまいました。
 歳をとったのでしょうか、この頃 あの頃のことを思い出す機会が増えてきました。ずっとこんなことはなかったのに・・・。

 やっと気持ちが整理できたようです。あの頃 描いていた夢のひとつ、お店をやろうかと思うのです。すぐにというわけにはいかないですけれど、あの時中断したことを続けることからはじめてみようと思います。一緒ではないのが少し違いますけれど、応援してくださいね。
 では また。
Water Front 在水一方

長月

2009-09-02 20:35:30 | Story 2
 十五夜のお月様。栗名月とも呼ばれる仲秋の名月が過ぎれば、秋も真ん中この頃には暑さは去り、朝夕の虫の声も次第に小さくなっていきます。



 炎暑の夏も過ぎ、朝夕の風もすっかり涼しくなり残暑という言葉も聞かなくなる。空に丸い月が浮かぶ頃、季節が変わったことを実感する。

 夏の喧噪の去った海岸、ひさしぶり。砂浜をひとり歩くには、あの喧噪は少し雰囲気が合わない。この時期まで来ることをやめていた。
 砂浜には砂の城、寄せる波の際、昨日の遊びの痕跡。その場にいなくとも、この痕跡から笑い声が聞こえる。朝の砂浜散策はこれを感じられることがうれしい。
 ここの海岸線は冬は荒れるので、少し沖合に波消しのブロックが設置されています。砂浜がもっていかれないように浜から沖まで伸びているブロックもあり、そこに囲まれた海はとても穏やかです。この時期は特に静かな海で好きです。

2009-08-15 22:11:18 | Story 2


 8月もお盆を過ぎると夜も鳴いていた蝉もそろそろ泣き止むことも出てきて、草むらからの虫の声が聞こえてきます。そんな虫の声を聞きながらこれを書いています。

今年の夏も暑く、海へも何度も行きました。とはいえ水着に着替えることはないのですけれど。こんなことを書くと 水着姿を見にいっているのでしょうと言われてしまいますね。

 あの夏をなぞるようなことをしてしまい、あっと思うこと今もあることを少しおかしく感じるこの頃です。さて、今年も夏が終わります。秋の気分に変えていきますね。

 時に このような届くはずもない手紙をかきますね。振り向いているのではないのです、語りたいことが溜まってしまうのです。
 今宵はここまで、それではまた
 いつも笑顔のあなたへ

葉月

2009-08-02 17:50:14 | Story 2
盂蘭盆会。お盆と云われることの方が多いのです。旧暦の七月十三日から十六日、今は八月十三日から十六日におこなうところも多く、夏の節目ともなっています。



梅雨も明ければ、太陽は容赦なく照りつける。

打ち合わせの予定が、都合で一時間延びた。突然 空いた時間にこの暑さの中、いつものようにその辺りを散策とはいかない。コーヒーを飲んでいこうか。・・・・ そういえば、この街にもスタンド型のコーヒーショップが増えたな。

「いらっしゃいませ」「 こちらがメニューになっています。」
「 お決まりの頃まいります。」


「マンデリンをください。」
「はい」

暑い日が続きます。このあたりでは盂蘭盆会は旧盆でおこなわれます。懐かしい顔もこの時期に見かけることが多くなります。

文月

2009-07-02 21:00:00 | Story 2
 天の川の両岸、牽牛と織女が年に一度の逢瀬の日、七夕。
 新暦になってからは梅雨の中となり、ずっと会えていないのでしょうか。



 休日にはふらっと海まで歩いていける 海が近くにある街に帰ってきた。梅雨の時期だけれど、このあたり梅雨の前半と後半に雨が降る日が多くなるけれど、ちょうど真ん中のこの時期は夏が一足早く顔を出す。海水浴シーズン前の海は気の早い人たちが来ているだけ。
 よく来ていた少女の頃と浜の風景は少し変わったけれど、心地好い風と海はそのままそこにある。青春という言葉は照れくさい歳になってしまったけれど、ここへ来れば気持ちはそのときに戻れる感じ。
  戻ってきてよかった。



 夏の日射しがまぶしくて、街の風景が白く飛んでいる。道路は熱く陽炎のように白いラインを滲んだように見せる。そんな光に目眩を覚え 路地の日陰に飛び込めば、そこには潮の香薫る 風が通り抜けていた。