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散歩 ◆新潟市のあたり

日々綴り 新潟市のあたりから

「朝日のようにさわやかに」

2010-06-23 05:06:07 | 本、映像・音楽
   朝日のようにさわやかに  恩田陸 著

恩田作品の短編集。
「麦の海に沈む果実」の登場人物の物語。
ラジオスタジオと奇妙な置物。
東北の内陸部のどこか、そこで老人が冷凍みかんと一緒に入れていたものに刺激を加えると・・・。

恩田作品に触れたこともあるものならば その空間に遊ぶすべを心得ているような短編
「赤い鞠」「卒業」「深夜の食欲」「いいわけ」など

表題作は最後に載っているもので
ビールについて語り出し、トランぺッターの話とその繋がりを語ったと思うと
突然 心太の話へ跳ぶ。
そして幽霊屋敷のはなしと子供の頃に聞いた音。
次々と語られながら 子供の頃の忘れていた記憶の謎を解く。
この語りと展開を楽しむ。

この短編集にはジャンル多様な恩田作品の色が詰まっています。
これらの短編はいくつかの連載へと繋がっているそうです。

「新潟美少女図鑑」

2010-06-22 21:42:34 | 本、映像・音楽
土曜日に新潟美少女図鑑を入手しました。
6月と12月に本誌、その他の偶数月に別冊の出されるフリーペーパー 新潟美少女図鑑
『「街に美少女を増やそう」という宣言のもとに作られる 街のリアルな写真』とされています。
これとのコラボ
新潟の街を舞台にした短編小説 025storiesと云うものもあります。

数冊前から明確となっていたのですが
今回はさらにはっきりと演出されています。
いくつかはこの数ヵ月に出た写真集からヒントを得ているなかなというものもあります。
フリーペーパーですから
ポートレート集ではなくコマーシャルフォト色をもつのは当然の帰結です。
この中で フォトグラファーはどのように個性をみせるか
コンセプトだけで撮り続けていけるものでもないでしょう。
さて、よりコマーシャル色が強くなる8月の別冊ではどのように展開されますか。

そう
この配布拠点のひとつだった「新潟WITH」の解体が今日 公となりました。

「神様のカルテ」

2010-05-11 21:32:56 | 本、映像・音楽
神様のカルテ  夏川草介 著

舞台は常に医師が不足している信州の小さな病院。
小説の主人公は 栗原一止。専門は消化器内科。
でもここでは専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事。睡眠を取れないことも。
そんな栗原に母校の医局から誘いがくる。
そこに行けば最先端の医療も、休みも増える。
周りは勧めるが・・・

この小説では 地域医療、救急医療、終末期医療が扱われる。
どれも断定的な結論は示されてはいない。
結論は出ないことだろうし、その結論も人によって違うものなのだろう。
ただ、この小説の読後に なにかほっとする気持ちになった。

THE COCA-COLA TVCF CHRONICLES 2

2010-05-08 22:28:00 | 本、映像・音楽

THE COCA-COLA TVCF CHRONICLES 2

1980年代から1980年代のコカコーラのTVCMから構成された第一作
The Coca-Cola TVCF Chronicles
その第二弾がこれ
1979年から1999年までのコカ・コーラのCM から収録
「Coke is it !」「I feel Coke」「Always Coca-Cola」
前作に一部入っていた「Yes Coke Yes」もあります。

これを見て、そして第1弾と続けてみると
このCMは コカコーラのある風景(シーン)でつくられ
時にはビールやカクテルだろうと云うシーンにコーラを入れているものもあり
不自然さもあるのだが、当時はその雰囲気を楽しんでいた気がします。

ただ、この第二弾
途中からCMの色が変わります。
コークのあるシーンの音に 突然コピーが目立ち出すのです。
CMの作り方の変化、ちょうど失われた10年に入るあたりから。
その頃には選択出来るドリンクの種類が増えた時期でもあるのかもしれません。
・・・それまでのCMにくらべるとつまらない。
自らシーンを醸し出す特別な存在を降りた印象でした。

それにしてもここに出てくる松本孝美さんの笑顔・・・それに再び会える
その前半部だけを見て満足してしまうんです。

「LOVE フォト」

2010-04-24 22:14:40 | 本、映像・音楽
   LOVE フォト

ファッション誌に区分されるのでしょうか
春夏ファッションを纏ったタレントをフォトグラファーが撮っていく。
今回の組み合わせは
沢尻エリカ × 蜷川実花 / 広末涼子 × 奥村恵子 / 戸田恵梨香 × 藤原江里奈 /
黒木メイサ × LESLIE KEE / 堀北真希 × ND CHOW / 井上真央 × 藤代冥砂 /
杏 × 市橋織江 / 太田莉菜 × TAKAKI_KUMADA / ICONIQ × 新田桂一
どんな写真かはガジェット通信でうかがえるでしょう
雑誌ページの半分強がこの企画でつくられていて、写真集としても見ることができます。
タレントを撮ったグラビアには
タレントの表現力とフォトグラファーや力タレント事務所の意向などで
首から上が一緒(表情が同じ)のものもありますが、
こちらのものは良い関係を感じさせます。

「こちらの事情」

2010-04-15 20:23:53 | 本、映像・音楽
   こちらの事情 森浩美 著

前作家族の言い訳に続く短編集。
こちらの話も明るいものではないのですが、
明るい方への糸口、そして光が見えるような気がする終わり方をします。

「晴天の万国旗」「葡萄の木」「甘噛み」「短い通知表」
「福は内」「 靴ひもの結び方」「妻のパジャマ」「荷物の順番」
ここから何編かの一節
『葡萄の木』子供と一緒のぶどう狩りのシーン。
同じ木から穫る子供にもっと他の木においしいものもあるんかもよというと
「ほら、みんな同じあの木から伸びてきているんだ」
「この葡萄はさぁ、たぶん家族なんだよ。だから別々にしたら可哀想じゃん」
『短い通知表』突然逝ってしまった妻の引出しに入っていた大学ノート
「明日やること帳」家族でつけ合うことにした通知表。
その査定が書いてあった。「検針に行けと言われる。気遣いあり、+10点」

「家族の言い訳」

2010-04-01 21:26:55 | 本、映像・音楽
   家族の言い訳 森浩美 著

冷たい冬の終り、そろそろ春の気配がする頃。
そんな気分の読後感。

八つの短編からなるこの小説。
疲れた主人公が六歳の息子とともに どこかと遠くへ 行こうとする物語「ホタルの熱」ではじまり
「乾いた声でも」「星空への寄り道」「カレーの匂い」「柿の代わり」
「おかあちゃんの口紅」「イブのクレヨン」「粉雪のキャッチボール」と並びます。
いずれの話も明るいものではないのですが、
明るい方への糸口が見えるような気がする終わり方をします。

寒い季節から芽吹きの季節。
こんな短編集に触れるのに良い頃と思います。
ただひとつ、注意があります。
「おかあちゃんの口紅」は人の沢山いるところでは読まない方が良いと思います。
理由は・・・まあ 読んでください。

中庭の出来事

2010-03-03 21:40:57 | 本、映像・音楽
     中庭の出来事 恩田陸 著

ホテルの中、パーティーの最中に脚本が突然死んだ。
ビルの中、中庭のような場所でリクルート中の女性が突然亡くなった。
古いホテルの中庭のカフェテラス、
向かい合って話していたふたりの女性の一人がグラスを落しその場に倒れた。

中庭にて、旅人たち、「中庭の出来事」の三つの物語。
劇中劇、演劇、舞台。
各々話は、その展開の中でその繋がりを見せていきます。
進むうちにどれが実際に起きた出来事で、どれが劇中の劇の場面なのか
混乱していきます。
複雑で錬り込まれた構成。
この小説はストーリーにのめり込むのではなく
その構成の虚実の中に入って、・・・舞台を見るように。
時には舞台に上がって、演技者の傍らに立つ。
そんな楽しみ方も好いかもしれません。
台本を読むように何度も読み返し、その構成を楽しむのも好いか。

このような小説はきっと賛否様々。
私も
筋立てのはっきりしたお話が好きな方にはお勧めしない一冊ではあります。
ただ、私はこのように惑わされ、複雑に絡みあった構成のものって好きなんです。

小学五年生

2010-01-27 21:43:56 | 本、映像・音楽
  小学五年生  重松清 著

転校。転校先で友達を作りたい気持ち。ほのかな恋心芽生える頃。喧嘩しても一緒に寄り道出来る友達。
四季の中にその時のことを描き出す17の短編集。主役は小学五年生の男の子。

ああ そうだった。
たぶん小学4・5・6年生の時のことが時間の前後が混じり合って思い出されるのだろうが
転校生でもあった私の体験の中にもあった似た情景。
懐かしさと、胸のあたりにわくほのかな感覚。
忘れたふりをしていた それにふれることの出来た一冊。