照明に浮かび上がった歌手。
姿とカメラワーク
そのまま声が聞こえてきた。
一人の部屋で音を流す
静か過ぎることを避けるため
ラジオをつける。
聞いてはいない。
でも
突然音が飛び込んでくることがある
音楽である
流れる音と
流れ込んでくる音
入り込みたい音楽
聞いたのがラジオとのはじめて。
スイッチを切り忘れたラジオから深夜流れてきた音
私の住んでいた所には民放AM局はひとつ。
深夜に聞こえてくる遠くの局の放送に
どうもこのあたりとは違う世界があるのだと知る
それは
テレビから流れてくるものとも違う世界があるのだと。
はじめての徹夜で感じた不思議な気分。
日の出前の時間。
そのとき流れているラジオの音
違う時間の違う住人たち
ちょっとエッチで
ちょっと楽しそうで
それまで知らなかった仲間たちとの付き合い方
私はそれからギターをはじめた。