坂本竜馬 佐々木高行あての手紙（慶応３年９月初旬・中旬）

                    
                     　　　 佐々木高行

慶応三年九月初旬　佐々木高行あて　

坂本龍馬　

唯今長府の尼将軍、監軍熊野直助及二人、わらはお供し押来りて、吾右軍と戦ハんとす。
かぶらやの音おびた（夥）しく、既ニ二階の手すりにおしかゝりたり。
別ニ戦を期せし女軍未_レ来（いまだきたらず）。
思ふニ是ハ我ガをこたるを待つて虚を突かんとの謀ならんか。
先ヅ吾レ先の先を以て此方より使ヲはせ、或は自ら兵に将としておそふて、
とりことし来らんかとも思へり。
将軍勇あり義あらバ、早く来りて一戦志（し）、共にこゝ路（ろ）よきお致さん。
先は卒報如_レ此。謹言。
　　　唯今　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　龍　
　佐々木大将軍　陳下（ママ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　 楳拝首

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慶応三年九月初旬　佐々木高行あて

坂本龍馬　

今日の挙や、あへて私しおいとなむニ非ざるなり。則天地神明の知る所なり。
唯大人の病苦をなぐさめん事を欲して也。

相会する面々は、女隊ニては西川の○此段尤密ナリ二女及胡弓妓外一人、
是又有名の一妓、其外下関の老婆、
今日相会し次第（但四時迄の心積なれども、九つ時ニも相成んか。）使者さし出申候間、
唯今より駕を命じ、且左右調度など御とりしらべ可_レ被_レ成。

弊館ニは弾薬大小の砲銃取りそろへ在_レ之、一度令レイし候得ば、諸将雲の如ニ相会、
百万の兵馬唯意の如くと奉_レ存候。

誠恐百拝。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　龍　

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慶応三年九月初旬　佐々木高行あて

坂本龍馬 

参上仕候よし被_二仰聞_一（おほせきかされ）候。
然ニ私方にも唯今長府馬関在番其赤馬関奉行余両人計参居申候。
（但シ昨夜出崎仕候由也。）
商会に取組の（こと）共次第此度は取定度との事なり。
何か御かまい無_レ之事なれバ、御手書たまハり度、先上件申上候。謹言。
　　　則報
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　龍 
佐々木先生 
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　楳拝
　　　　　　　　左右　


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慶応三年九月六日　佐々木高行あて

坂本龍馬
　
御書拝見仕候。
明日西役所え云云の由、早参上の筈ニ候得ども、
蒸気船借入且手銃千廷（挺）取入申候て早出帆と決心仕候ニ付、
通弁者其外、人数をそろへ異館へ参候所ナリ。

今宵彼方より帰次第御旅宿まで参上仕候。謹言。　

　　六日　
　佐々木先生　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　楳拝　
　　　　　　　　左右　　

　
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慶応三年九月十日　佐々木高行あて　

坂本龍馬　

只今戦争相すみ候処、然るに岩弥（岩崎弥太郎）、佐栄（佐々木栄）兼て御案内の通りに、
兵機も無_レ之候へば無_二余儀_一敗走に及び候。

独り菅（菅野覚兵衛）、渡辺（剛八）の陣、敵軍あへて近寄り能はず、
唯今一とかけ合はせは仕り候。

当る所ひらき申候。竊（ひそか）に思ふ、富国強兵、且雄将のはたらき、
東夷皆イウタンを落し申さんと奉_レ存候。　
　　　　卯九月　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　梅拝　
　　　佐々木先生

 

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慶応三年九月十八日　佐々木高行あて　

坂本龍馬　

御目にかけ置候、木圭より私に参り候手紙、長文の方、此者に御つかはし奉_レ願候。謹言。

　　　　九月十八日　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　龍　拝首　
　　　佐々木三四郎様　　　　　　左右