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お賽銭って?~仏教随話(4)

 以前に、テレホン相談の誌上質問コーナーで、「お賽銭について」の回答を担当し、汗をかきながら苦心したことがありました。読み返しても冷や汗が出そうです。

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お寺や神社にお参りに行きますと、必ず賽銭箱があります。お賽銭にはどういう意味があって、いくらくらい入れたらいいのでしょうか。そのお金はどのように使われるのでしょうか。
 また、寄付や布施は「喜捨」とも呼んで見返りを求めないものとも聞いたことがあります。お守りや、お札などをいただいたり、お賽銭を入れたりして、その恩恵を求めてはいけないのでしようか。ご利益を期待してはいけないのでしょうか。(38才、女性)

お賽銭は、日常の生活に溶け込んでいる慣習の一つですが、確かに気になることがらかと思います。困った時の神頼み、ほとけにすがる思いというものは、誰にも経験のあることと思います。

 本来の「賽」という意味は、神や仏から受けた福に感謝することとされています。感謝の気持ちとしてのお金が賽銭という訳ですから、それこそ「お気持ち」を金額に表してお上げするのが適切な考え方です。あるいは、福を受ける前から感謝の先行投資?の意味あいも多いかも知れません。どちらにしましても、他からどう思われるということは関係なく、自身に納得のいく気持ちこそが大切と言えましょう。
 さて、使われ方ですが、一般には他の布施、冥加料と同様に、宗教活動に有効利用されていると考えられます。時には、特定の建物の修理や文化財の保護に当てられたり、被災地などへの義援金として活かされたりする例もあるようです。

 このようなお賽銭の行為は、おっしゃるように「喜捨」と呼ばれ、喜んで施すことにより、執着心を取り除いていただくことに特徴があります。仏教語の布施(ダーナ)がこれに当たります。つまり、私心を捨てて見返りを求めないで、一方的な気持ちを施すところに意義がある訳です。
 ・・・とは言っても、交通安全、身体健全、当病平癒、受験合格など、各種の心願成就のご利益の「福」を期待したいことは人情としては当然のことです。しかし、見返りを期待して、これが確実に叶う対価と考えれば、相当高額なものになることでしょうし、布施の精神とは違うものです。
 本来の布施、賽銭の精神から言えば、

「一生懸命に願い事が叶うように努力いたします。この頑張る姿をどうかお見守りください。その感謝の気持ちとして喜捨させていただきます。」

と考え、自身が努力する応援歌として捉えるべきなのです。その精神的な支えこそ、力強いご利益と考え、謙虚に神仏に参詣されることをおすすめします。 

 
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とまあ、こんな具合に回答しましたが、この種の質問は多いのです。実際に当寺で、お賽銭は、本尊供養・法要費の一部と、災害援助寄付金とに支出しています。
 
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
お賽銭の活用 (風月)
2007-01-27 15:50:41
お賽銭をどのように使わせていただいたか、というような張り紙を時々お賽銭箱に張り出す、なんていうのも良いかしら、と考えます。

日本では箱の中に、どのように使われるか分からなくてもお賽銭を上げるということが定着していますが、海外の教会などでは、使い道のはっきりとした寄付のお願いを教会の入り口でしたり、使い道がはっきりしている感じがあります。

お賽銭を上げる意味とはちょっと別な角度からのコメントですが。

意味はtera和尚さんの教えを学ばせて貰います。
 
 
 
→風月さん (tera)
2007-01-29 09:38:41
コメント有難うございます。
日本の賽銭には特有の慣習があって、掘り下げて考えてみるといろいろな見方ができますね。使い方を知って、お金を寄付するというのは確かに合理的でフェアのような気がします。喜捨の精神からすれば、無目的の捨て場としての浄財と考えれば、表示しない方がいいのかも知れませんね。
どちらにしても、管理者との信頼関係のもとに、有効利用されるということが大切なことなのだと思います。
 
 
 
お賽銭は気持ち! (kazu)
2012-01-04 17:03:23
お賽銭に関してさまざまな考えがあると思いますが、わたしの考えでは気持ちです。日本は、神の国であると古来から考えられており、自分は色々な人に守られていますが、しかし、また神様にも守られていると思うのです。神様は見返りを求めません。ですから、感謝の気持ちとして、お宮に参り賽銭を上げます。
 
 
 
→kazuさん (tera)
2012-01-24 21:06:41
同感ですね。神様も仏様も同じように「神仏に祈る」というように、守っていただく対象として大切にしてきた日本の文化だと思います。
 
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