(一)
「武蔵、武蔵。どうして、どうしてなの?
あたしがお姉さんと呼ぶ人は、どうして死んじゃうの?
あたし、ひょっとして死神なの?
あたしが慕う人は、みんな死んじゃうの?
武蔵、武蔵は大丈夫よね?
あたしを残して死んじゃうなんて、そんなことしないよね?
いやよ、いやよ、そんなの。
あたし、もう、耐えられない!」
激しく泣きじゃくる小夜子をしっかりと抱きしめながら
「大丈夫、大丈夫だぞ。俺は大丈夫だ。
小夜子を淋しがらせることはない。
小夜子を幸せにするために、俺はこの世に生まれてきたんだから。
前世からの約束事なんだよ。心配するな」
と、そっと耳元で囁いた。
“我ながら名文句じゃないか。
恋する男は詩人になるというけれど、ほんとうかもな”
己の言葉に酔う武蔵だったが、小夜子もまたその言葉に酔った。
「そうよね、そうよね。
武蔵はあたしを幸せにするために生まれたのよね。
そうだわ、きっと。
前世からの約束事なのよ。
きっと、前世では結ばれなかった二人なのよ。
哀しい恋の物語りだったんだわ。
神様が憐憫の情でもって、あたしに武蔵を引き合わせたのよね」
武蔵の胸の中で、母親にあやされる幼子のように、安らぐ小夜子だった。
「武蔵、武蔵。どうして、どうしてなの?
あたしがお姉さんと呼ぶ人は、どうして死んじゃうの?
あたし、ひょっとして死神なの?
あたしが慕う人は、みんな死んじゃうの?
武蔵、武蔵は大丈夫よね?
あたしを残して死んじゃうなんて、そんなことしないよね?
いやよ、いやよ、そんなの。
あたし、もう、耐えられない!」
激しく泣きじゃくる小夜子をしっかりと抱きしめながら
「大丈夫、大丈夫だぞ。俺は大丈夫だ。
小夜子を淋しがらせることはない。
小夜子を幸せにするために、俺はこの世に生まれてきたんだから。
前世からの約束事なんだよ。心配するな」
と、そっと耳元で囁いた。
“我ながら名文句じゃないか。
恋する男は詩人になるというけれど、ほんとうかもな”
己の言葉に酔う武蔵だったが、小夜子もまたその言葉に酔った。
「そうよね、そうよね。
武蔵はあたしを幸せにするために生まれたのよね。
そうだわ、きっと。
前世からの約束事なのよ。
きっと、前世では結ばれなかった二人なのよ。
哀しい恋の物語りだったんだわ。
神様が憐憫の情でもって、あたしに武蔵を引き合わせたのよね」
武蔵の胸の中で、母親にあやされる幼子のように、安らぐ小夜子だった。
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