空から白いものが、チラリホラリと落ちてきた。
「あらっ、雪よ! もう春でしょうに」
「ホントだ、風花だね。〇〇山から下りてきたんだ」
貴子の腕が彼から離れ、その綿帽子のような雪を両手で受け止めた。
「ねえ、ステキね。すぐに溶けちゃうけど。ねえ、見て見て!」
彼が貴子の手の平をのぞき込んだ時、貴子の髪が彼の鼻をくすぐった。
”いい匂いだ!”
思わず貴子を抱きしめたい衝動にかられたが、”ゆっくりよ!”という言葉が彼の耳に届いた。
焦っちゃダメだ、相手の気持ちを思いやることが大切なんだ、と戒めた。
目的もなく歩いている二人だったが、彼は幸せな気分に浸っていた。
時折触れる貴子の手は温かい。
すぐにも手を握りたい衝動に又しても襲われたが、ぐっと堪えていた。
いつしか車が激しく行き交う大通りをそれて、薄暗い裏通りに入った。
「あっ、危ない!」
後方からの車のライトに気が付いた彼は、思わず貴子の肩に手を回し抱き寄せた。
彼の腕の中にスッポリと入り込んだ貴子の体は、彼の胸にピッタリと寄せられた。
彼は思わず腕に力が入り、貴子をしっかりと抱きしめた。
「イヤッ!」
反射的に、貴子は彼の腕から逃れた。
予期せぬ事に、貴子の体は拒否反応を起こした。
「あらっ、雪よ! もう春でしょうに」
「ホントだ、風花だね。〇〇山から下りてきたんだ」
貴子の腕が彼から離れ、その綿帽子のような雪を両手で受け止めた。
「ねえ、ステキね。すぐに溶けちゃうけど。ねえ、見て見て!」
彼が貴子の手の平をのぞき込んだ時、貴子の髪が彼の鼻をくすぐった。
”いい匂いだ!”
思わず貴子を抱きしめたい衝動にかられたが、”ゆっくりよ!”という言葉が彼の耳に届いた。
焦っちゃダメだ、相手の気持ちを思いやることが大切なんだ、と戒めた。
目的もなく歩いている二人だったが、彼は幸せな気分に浸っていた。
時折触れる貴子の手は温かい。
すぐにも手を握りたい衝動に又しても襲われたが、ぐっと堪えていた。
いつしか車が激しく行き交う大通りをそれて、薄暗い裏通りに入った。
「あっ、危ない!」
後方からの車のライトに気が付いた彼は、思わず貴子の肩に手を回し抱き寄せた。
彼の腕の中にスッポリと入り込んだ貴子の体は、彼の胸にピッタリと寄せられた。
彼は思わず腕に力が入り、貴子をしっかりと抱きしめた。
「イヤッ!」
反射的に、貴子は彼の腕から逃れた。
予期せぬ事に、貴子の体は拒否反応を起こした。
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