「そうなの? そうなんだ。
うまく逃げられると良いね。
じゃ僕らの役目は終わったんだ。
帰ろうか、家に。誰かに見つかると、
おおごとになっちゃうからさ」
「何言ってるんだ!
見届けなくちゃ、だめだよ。
ほんとに逃げられたかどうかを。
もし万が一捕まったりでもしたら……」
「うん。捕まったりしたら…(助けるの?)」
喉まで出かかった言葉を、唾と共に飲み込んだ。
「助けるんだ、助けるんだ、何としてでも助けるんだ」
恐ろしい言葉が、やはり友人の口から洩れた。
言って欲しくなかった言葉が、洩れた。
「そうだよね、助けなくちゃね」
私の口からも、信じられない言葉が出てしまった。
そして体がぶるぶると震えだした。
「なんだい、怖いのかい?」
「そういう君だって、震えてるんじゃないのかい」
「怖くて当たり前だと思うよ。
でもここで逃げちゃ駄目だ。
勇気だ、勇気がいるんだ」
しっかりと握られた友人の拳が、その時ほど頼もしく思えたことはなかった。
固く握られた拳にそっと手を添えると「僕にもその勇気を分けてよ」と、力を込めた。
うまく逃げられると良いね。
じゃ僕らの役目は終わったんだ。
帰ろうか、家に。誰かに見つかると、
おおごとになっちゃうからさ」
「何言ってるんだ!
見届けなくちゃ、だめだよ。
ほんとに逃げられたかどうかを。
もし万が一捕まったりでもしたら……」
「うん。捕まったりしたら…(助けるの?)」
喉まで出かかった言葉を、唾と共に飲み込んだ。
「助けるんだ、助けるんだ、何としてでも助けるんだ」
恐ろしい言葉が、やはり友人の口から洩れた。
言って欲しくなかった言葉が、洩れた。
「そうだよね、助けなくちゃね」
私の口からも、信じられない言葉が出てしまった。
そして体がぶるぶると震えだした。
「なんだい、怖いのかい?」
「そういう君だって、震えてるんじゃないのかい」
「怖くて当たり前だと思うよ。
でもここで逃げちゃ駄目だ。
勇気だ、勇気がいるんだ」
しっかりと握られた友人の拳が、その時ほど頼もしく思えたことはなかった。
固く握られた拳にそっと手を添えると「僕にもその勇気を分けてよ」と、力を込めた。
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