昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

大長編恋愛小説 【ふたまわり】(二)の6

2011-03-03 20:05:42 | 小説
「五平よ。
どう口説いてくるんだ?
後学の為に、
教えてくれ。」
「タケさん、
いゃ社長。
何も特別のことはありません。
話を聞いてやるだけです。
でね、
一緒に泣くんです。
真剣に、
泣くんです。
嘘泣きじゃ、
だめです。
女ってのは、
鋭いですよ。
女衒を生業にしていたお陰で、
女心というものが、
他の人よりは分かりますからね。
それにね、
あたしは社長のように二枚目じゃありませんから。
女もね、
腹の内を話し易いんですなぁ。
一通り話を聞いてやって、
泣き疲れた頃に言うんですよ。
『親孝行しなくっちゃな!』と。
これで、
大抵の女は戻ります。
中には居ますがね、
通じない女も。
そんな女には、
『一年、
辛抱しな!
大金が残るぜ。』と、
言ってやるんです。」
「おい、おい。
それで良いのかい?」
「そんなもの、
良いんですよ。
一年も続けりゃ、
もう後はずるずるですよ。
贅沢に慣れた女は、
元に戻れません。
へへ・・」
「そりゃぁ、
そうだろうな。」
「しかしね、
社長。
最近、
アメリカさんのご希望が変わってきました。
『言葉が通じなくてもいいから、
グラマラスな女にしろ!』ってね。
どうしたって、
今の日本でグラマーな女というのは、
少ないですからねえ。
待ってるだけじやなく、
打って出ようかと思うんですが。」
「と言うと?」
「でね、
社長の出番なんです。
どうもねえ。
このあたしじゃ、
声をかけても逃げられそうで。
お願いしますよ、
社長。
社長と一緒なら、
女も話に乗ってくる筈ですから。」


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