昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[ブルーの住人] 蒼い情熱 ~ブルー・れいでい~

2023-07-01 08:00:45 | 物語り

(十八)パシリ

雨の中で、ひとり泣き笑う少年。
今夜のために、この十日のあいだに準備したこと。
物理的なことではなく、シュミレートしたすべてがなんと虚しいことか。
周到にくみたてたことが、
ともすればうずくまってしまう弱い心をふるいたたせたことが、
すくんでしまった足にめいじた脳からの指令が、
それらすべてが……。
いま、もろくも崩れさっていく。

 同世代から‘ニヒリスト’とやゆされても、苦笑いをかえしつづけた少年。
 同世代のわらいのうずに溶けこめない少年。
 パシリにすらされない拒絶、パシリにすら見られないむなしさ。

 十年後、二十年後、同窓会において透明人間化するおそれ。
 同世代とのつながりをもとめる少年、そのすべをもたない。
 雲ひとつないまっ青なそらを絵画にしようとするおりの、
 おのれの無力さを知ったこころー絶望、そしてうまれた虚無のこころ。



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