松田敏子フラワーデザイン・徒然ローズガーデン

予定より長生きしている今を憂いながら、怒りながら、笑いながら楽しむ。

知らぜざる日本画家  渡辺省亭

2021-08-18 11:53:00 | 芸術鑑賞・文学・音楽・映画など
5月9日 NHK 「日曜美術館」で初めて知った日本画家。
日本画家として初めてヨーロッパ パリに渡った人物。

1851年 嘉永4年 神田に生まれる。
1866年 慶応2年 16歳 菊池容斎(歴史画家)に入門
1877年 明治10年 第一回内国勧業博覧会に『群鳩浴水盤ノ図』を出品。
          パリ万国博覧会出品作に選抜される。
1878年 明治11年 パリ万国博覧会
          28歳 パリへ(起立工商会社の一員として)
1918年 大正7年  68歳 死去。
          『春の野邉』を未完成のまま絶筆となる。


菊池容斎に入門 3年間の修行期間はひたすら文字を書く習練に明け暮れたという。
文字の素養は、筆を完璧にコントロールできる技術を身につけることになったとも。


明治30年代以降、美術展覧会、美術団体と距離をおき
弟子も取らず市井の画家として、ひきも切らない注文に応じた製作に専念。


前期後期共に佐野美術館にて鑑賞。













絶筆 「春の野邉」 未完成 蝶々が白抜きのまま。





「群鳩浴水盤ノ図」
アメリカ フリーア美術館所蔵 門外不出作品
パリでマネの弟子のイタリア人画家が購入、筆法を研究したが
その技術の高さに模写はあきらめたという逸話が残る。






「春野鳩ノ図」
枝垂れ桜の花びらが散る様、つくし、たんぽぽ、レンゲ草
ぜんまい、すみれ、3羽の鳩‥‥
美しく静かな佇まいに和み優しい気持ちに💕








「鳥図(枝にとまる鳥)」
印象派の画家エドガー・ドガの旧蔵品
「為ドガース君 省亭席画」とあり、
この作品が省亭から直接ドガに贈られたとわかる貴重な作例。
画家たちの目の前で描き、その筆さばきにみな驚嘆したという。




「雪月花図」




思わず伊藤若冲が思い浮かぶ。
若冲は動❗️ こちらは静❗️を感じる。
十二ヶ月花鳥図
「六月 紫陽花に燕」  「五月 花菖蒲に鯉」





十二ヶ月花鳥図
「十二月 枯蓮に鴨」   「十一月  蘆に千鳥」




十二ヶ月花鳥図
「八月 秋草に鶉」





「鍾馗に鯉」
鍾馗は端午の節句に魔除け・悪疫除けとして掲げられ
一方、鯉は滝を登って龍と化すという登竜門の故事から立身出世の象徴とされる。
本作は一般的な吉祥図像とは違い、鍾馗が蹴り上げているのが
毬のようになった鬼であったり
鯉はアザミの咲く崖の下を悠々と泳いでいたりと
省亭の心憎いウィットが効いている。





「秋の夕ぐれ」
左幅では摘まれた夕顔の花と壊れた扇子が置かれ
蚊遣りのための火鉢からは煙が立ち昇る。
画面の上半分は余白ではなく
煙に燻されて飛ぶ二匹の蚊を描く。
実物に近い数ミリ程度の大きさの蚊は
わずかな筆致のみで見事に表現されている。
驚異的なテクニック駆使しつつも、描かれたのは
あくまでも秋の夕暮れの情緒である。





美術団体と距離をおく姿勢は
田中一村も同様だと‥‥
彼の色使いなど、思いなしか共通点があるような‥‥


美しく静かな佇まいの作品の数々✨
作品だけでなく、省亭の姿勢、生き方に
惹き込まれた。










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