松田敏子フラワーデザイン・徒然ローズガーデン

予定より長生きしている今を憂いながら、怒りながら、笑いながら楽しむ。

日本の原子力発電事業

2011-03-25 13:08:25 | その他
 
日本の原子力発電事業の特徴は、政府のサポートが、他の国に比べてずっと強いことだ。

所轄官庁と電力業界がほとんど一体になっている。

日本の経済状況がどう変わろうと、原発の基数は一定のペースで伸び続けてきた。

通商産業省(現経済産業省)の強力な指導があったことをうかがわせる。

他の国では、支援することはあっても、政府が事業計画まで細かく介入したりはしない。



原子力安全・保安院は経産省傘下だから、安全行政も経産省が事実上握っている。

特に2001年の中央省庁の再編以来、ますます独占の弊害が強くなった。

それまでは安全行政のかなりの部分を、旧科学技術庁が担っていたが、

中央省庁再編の時に、経産省が推進も規制もするという仕組みができてしまった。


米国では、原子力委員会が推進も規制もやるのは問題だとされ、

規制を分離して原子力規制委員会(NRC)をつくった。

スリーマイル島事故の収拾にはNRCが陣頭指揮をとり、

地方行政当局と連携して解決にあたった。

電力会社と癒着してはいなかった。


日本でNRCにあたるのは内閣府の原子力安全委員会だが、

現場に立ち入って指揮をとるだけの力がない。


保安院と電力会社の関係も問題だ。

今回も、海水注入を決断するまでにかなり時間がかかっているが、

おそらく東京電力が廃炉にすることを渋ったのではないか。

電力会社の意向を聞きながら対策をやっているようでは、

後手後手に回ってしまう。


これだけの被害を出した以上、原子力行政は見直さざるをえない。

まず既存の原発の安全性をひとつひとつ検討し、

特に危険なものについては、廃止も視野に入れるべきだ。

今回のような地震・津波災害にも耐えられるよう、安全対策の抜本的強化も

必要になってくる。

さらに防災計画も、広域的かつ中身の濃いものにすべきだ。


原発は、燃料費こそ火力に比べて安いが、設置コストが高い。

今回の事故でさらに安全対策のコストがかかるし、

その経営リスクはきわめて大きい。


政府が積極的に原子力発電を推進することを止め、

電力会社が自由に経営判断できるようにさえすれば、

おのずと原発から撤退していくはずだ。


現行の原子力損害賠償法では、電力会社に 1200億円までの保険をかけることを義務付け、

それ以上については国会の議決を得れば、政府が出せる仕組みになっている。

だが今回の事故の賠償はすべて東電の責任で支払わせ、政府が援助すべきではない。

「事故があっても政府が守ってくれる。」というのはもう通用しないことを示したほうがいい。


原発は、事故や災害が起きれば多数基が一度にダウンし、

運転再開までに時間がかかるので、電力供給不安定を招きやすい。

その可能性は前々から指摘されてきたのに、原発を作り続けてきた責任は重大だ。

このまま慢性的な電力不足が首都圏で続けば、

日本経済への影響は計り知れない。

天災によるやむをえない面はあるが、本質的にはエネルギー政策の誤りであり、

電力会社の誤りでもある。

      吉岡斉さん(九州大副学長、内閣府原子力委員会専門委員などを歴任)

      朝日新聞・オピニオンから 
コメント (2)
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原発作業員 被曝

2011-03-25 07:36:02 | その他

三人の作業員は前日の作業終了後に測った線量が低かったため、24日は作業前に線量を確認しなかったという。

さらに、三人が身に着けていた線量計が作業開始直後に鳴ったにもかかわらず、

「アラームがこんなに早く鳴るはずがない。」として、誤作動と思い込み、高い放射線量の中、作業を続けたという。

さらにさらに!! 三人のうち二人は長靴ではなく、普通の作業靴をはいていたため、

くるぶしまで放射能汚染された水にぬれてしまい、放射線熱傷に。

こんな一連の流れを安全な場所にいる東電の幹部は黙って見ていたのか?

それとも人任せで誰も注視していなかったのか?

何か、人ごとみたいな報告に聞こえるが!

この作業員という方々は東電の社員ではなく、協力会社の方々だという。



東電はこの期に及んでも、人任せ!!

東電幹部または責任者が先頭にたって危険な場所での作業をするべきところ、協力社員(いわゆる下請け社員のこと!?)

に任せたうえに、後方援護もずさん。(東電社員も現地で作業はされている)

線量計を見ながらの作業は困難を極め、危険なため、付ききりで線量計を見ながら作業を誘導したという

東京消防隊長の話を知らない訳でもないでしょう。

保安院の審議官から「作業のやり方は充分ではなかった。しっかり対応してほしい。」と

東電に改善を求めたというが・・・


なんとも悠長な話! 

この作業員は勿論!ご家族のことを思うと・・・



私達国民も電気なくしては考えられない生活に甘んじてきている。

地震、津波、原発事故と三重苦に襲われた被災地は

もしかしたら自分の地域だったかもしれない。

そう考え、義援金も、そして日常生活のなかでも節電など、緊張感を

もたなくてはと・・・。




東電も慈善事業ではなく、商売として富を得てきたプロとして

いい思いをするだけではなく、こうした事故を起こした時こそ

先頭に立って、責任を全うするべきだ。

と云っても、東電側は「もう限界だ。」と、こともあろうに弱音を。

そして総理大臣は「撤退なんてあり得ない!!東電は100パーセントおしまいですよ!!」

このような話・・・・

世界じゅうのメディアに褒められたあれは、幻想でしかなかったということ・・

まあ それはともかく、憤り、怒り、そして悲しみ・・・

それでも前進するしかないんだ。



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