<川は流れる>

Reiの好きなこと、ここだけの話

FLIX ③

2010年04月17日 | ジュリーインタビュー
岸部「清順さんっていうのは面白い監督だよね。でも小栗さんの演出方法は好対照っていうか。小栗さんは自分で脚本を書いて、その中にある一つの台詞は、あらゆることを整理した時に残ったというのが書いてあるから、その台詞を発する時に、余分なものがついていたり、それ以下の言葉になってると駄目なのね。
 今までは沢田は歌の世界でも主のところ、何て言うのかヒットの場所みたいなところでずーっと来てるでしょ。僕なんかは芝居をやり始めたとは言いながらも、脇の方でちょちょっと出るやつがあったりとか、主役の人の側にいたりとかっていうふうにずっとやってきたんだけど、『死の棘』で主役をやって、主役の場所というのはこういう場所なのかってその時初めてわかった。相当のエネルギーがいるなと思ったね。全部自分にかえって来るみたいなところがあるね。同じ俳優といいながらも、ポジションの違いによってこうも違うのかって。だから見方まで変わってくるもんね。」


沢田「僕はあまり主役だっていうことを意識したことはないんだけどね。まわりに乗せられるというところがあったから。どっちかというとまな板に乗せられないと頑張らないというところもあって。自分から探して行くっていうタイプじゃないから。それが、まあ結構良かったのかもしれない。楽天的なところはあるよね。」

岸部「う~ん、楽天的なところはあるよね。」

沢田「だから歌の時なんか毎回毎回いろんなこと考えていて大変でしょうとか言われる。いや考えるのは別の人なんですよと言っても、そんなことはないでしょうって。でも実際にはスタッフが考えてくれた中で、これは好きっていってるようなやり方をしてきたから。」

岸部「この前、沢田との共演につてい聞かれて最近いつも思うんだけど、いままで沢田とはタイガースの中であまりにも一緒にいた期間が長いし、それ以降もずっと一緒にいたから、二人が映画の中で並んでいて、二人が一緒だという感じが出るうちはマイナスっていう意識がどっかにあるのね。だからあまりそういうことが全然浮かばないようになれば共演したいよね。沢田の映画にどっかで絡む役で出るっていうのは一つの楽しみであるから。
いつかはやりたいと思ってるけどね。」


沢田「ドラマにしろ映画にしろ最近、男の話っていうのが少ないでしょう。あってもやくざっぽい。喧嘩するとかだから。それ以外でなんかね、共演できればいいなと僕も思ってるけど。」

岸部「沢田の側に長いこといていろんな部分を知ってることがあるでしょ。ちょっとコミカルなおかしさの部分とか、ものすごくいいかげんな部分とか、なんかボサーっとしてるところとか、外側の人が見ているところじゃない自分が思っているところがあるから。そういうのがうまく出せるような話なら照れ臭さがたぶん消えてうまくできそうな気がするけど。だからそういうので誰かうまくキャスティングしてくれたらいいかなーって思ってるけど。でも、いままで映画とか観てて沢田のこういう部分は初めて見たなーというのはないね。」

沢田「やっぱり自分自身にないことは出来ないからね。無理してやっても、あぁやってるなあと思われることやろうし。でも自分ではない人物を演じるわけだから多少は頑張ってはいるんだけど。それにしたって結局演技をするのも自分自身を出すことでしかないから。
サリー(タイガース時代の岸部一徳の愛称)の普段話している時のボソボソっていう感じは、芝居になるとあんまり要求されないことのほうが多いよね。」


岸部「普通にしゃべると“もうちょっと声を張って下さい”とかね。驚くシーンとかでも、“それじゃあ驚いたように見えません。もうちょっと驚いた表情をしてくれないと見ている人にわかりません。”(笑)とか言われる。“ああわかりました”と言いながらも、ちょっとはそういう要求に答えるようなことをしたって、これ以上やるともう恥ずかしくって出来ないという、その範囲で通すということがね、難しい。僕らはどちらかというと無個性を個性にしているところがあるから。できるだけそういった無個性の部分を崩して何かをやっていくというと自滅してしまう、そういう恐れがあるから。」

沢田「僕らは芝居のイロハを習ったわけではないし、まあいろいろ我流で、見よう見まねでやっている人間だから。人にわかりやすい芝居をするようになったら、僕らがやる意味がないもんね。それだったらちゃんとイロハのわかる人がやればいいわけだし。」

岸部「芝居のうまい人はたくさんいるからね。」

沢田「それとね、うまいとされている人が、それはわかり易い。わかり易い以上の何かがありますか、みたいなものがあるよね。芝居は説明であってもいいのだが、もちろんそういう人たちも中にはいないと困るっていうこともあるだろうけれども、全部がそうなっちゃってはね。そういったうまい人たちがいる中で、あえて自分たちが起用されたっていうことは、闘ってないようで闘ってきたんやろうね(笑)。
テレビなんかに出ると本当によく言われるんだわ。“もうちょっと明るく、明るく”って。“ハイ、そうですか”って明るくやっても自分じゃないって。自分で見てても嫌だし。だから視聴率がよくたって嫌なんだよね。もう二度とこういうのはやるまい、もうちょっと暗いのをやろうって思うのよ。僕らのやりようっていうのは、テレビなんかのやり方に合わせるっていうのじゃないもんね。」


岸部「と言いつつもなかなか難しいよね。沢田をいいと思ってる人が十人いると、よくないと思ってる人が十人いるはずなんだ(笑)。」

沢田「そうそう。十人のうち十人から良かったですよと言われたら、まずいって思わなきゃいけないという赤信号だっていうことですよ。」

岸部「そういうところが面白いといえば面白いよなあ。」

沢田「ひょっとしたら僕たちの好みっていうのは近いかもしれない。」

岸部「うん。似ているところは結構あるね。顔が似てるっていうわけじゃないけど。」

沢田「でも表情なんか時々サリーみたいな顔をしているなって思うときあるよ(笑)。」

岸部「そういう時はすごい暗い時だね(笑)。うっかりすると似ている時がある。やっぱりどこか共通しているところがあるんだね。」


      




この対談の7年前、1984年『ときめきに死す』で一度共演しているふたり。
でも、ワンシーンのみで、サリーのゲスト出演といった趣。

そして2006年にはTVドラマ「マチベン」で待望の共演。
もう4年も前になるけれど、見直して次回、感想をアップします~^^v
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2 コメント

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萌えるわ~ (黄身)
2010-04-21 22:37:48
この対談は購入してなかったので、とっても嬉しいです^^。
タイガースの時、ジュリー以外に誰かを選べといわれたら、絶対にサリーだったわ。
この2人がからむカバー曲はブルージイーで最高だったもん。
なのでPYGにはのめりこみました。
2人に共通した誇示しない性格とお互いへの信頼が伝わってきて、萌え萌え~った~
Reiさん、ありがと~!
黄身さん (Rei)
2010-04-22 08:46:49
私もサリーでした^^v
バンド時代のサリーはかっちょよかった~!

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