偏見という、言って見れば善と悪とのボーダーがあいまいな世の中で
だれしもが持つ感情。
そんなとても難しい問題にあらゆる角度から挑もうとした野心作、
のような気がしますが
なにせ、偏見が強かった時代の映画なので
今とは少し捉えかたが違うようです。
どちらもたぶん、以前に観たことがあって
すっかり忘れていた作品。
「フィラデルフィア」は1993年アメリカ映画。
トム・ハンクスのエイズに侵され、死に瀕しながらも偏見と戦いぬく演技がとても話題の作品。
どんどん病状が重くなり、痩せていく姿を熱演。
ゲイとエイズの受ける偏見。
自分をエイズを理由に解雇した事務所と裁判で戦うという物語です。
最後まで彼を支え信じる 恋人と友人、両親、家族の姿が
とても感動的に描かれています。
ああ、一昔前はこんな時代だった・・・と思います。
もしかしたら今でも認識を変えていない人が五万といるのはわかっています。
特に田舎はそうです。
たぶん、この映画を見た若い私は、きっと何もわかっていなかった。
遠い世界の出来事として受け取っていた。
だから観たことさえ忘れていたのでしょう。
そして「フローレス」
1999年アメリカ映画。
ロバート・デニーロ、フィリップ・シーモア・ホフマン主演。
同じアパートに住むドラッグクイーンのラスティと警備員ウォルトの友情を描いた作品。
二人はいつもケンカばかりしていた。
お互いに偏見を持ち、保守的なウォルトはゲイを毛嫌いしていた。
ある時、事件が起こり、ウォルトは脳梗塞で倒れ右半身が不自由になってしまう。
そこに歌でのリハビリを行うラスティに
いやいや頼んでみるのだが・・。
最初はケンカばかり、噛み合わない二人。
でも、一緒にいると
なんだ、同じ人間じゃないかと気づき始める。
手足が不自由になっても「プライド」が邪魔をして人に助けを借りれないウォルト。
ドラッグクイーンというだけで迫害を受けてきて、完全な女になるためにお金が欲しかったラスティ。
そんな二人の心のつながり、心の優しさが感動を生む作品です。
二人の名優、素晴らしいですね。