どしゃぶりの雨が降っていたけれど
雨に負けて行かないっていう選択肢はないなと思い
やっと「キネマの神様」映画館で観てきました。
この映画だけは映画館で観ないと意味がない。
映画館で観る映画の話でしょう?
果たして、
帰りの車の中では、
「映画っていいなあ、やっぱり映画は映画館で観るに限る」
「今度は何を観ようかなあ」
という気持ちになっておりました。
映画に対する愛情が深い。
山田監督はもちろんのこと、出演されている皆さん、
ただの俳優というより映画俳優というべき方ばかり、
映画に対する深い気持ちが現れておりました。
パンフにも書かれていましたが、昔の映画現場はみんなが近い。
俳優も監督もカメラもみんな近いところにいて
人の熱気もすぐ近くに感じられて
情熱が半端ない。
みんなで作る一体感が半端ないです。
素晴らしいですよね、夢ある若者が走り回ってる姿は
本当に美しい。
それから一転して、現実の世界。
ジュリーの出番、ジュリーと言うのがなんとなく不自然なので
ここは沢田さんということにします。
ダメ親父のダメっぷり。いいですねぇ。
でも、憎めない可愛げのある親父。
だから淑子ちゃんも別れられずに支えてこれたのでしょう。
永野芽郁の「幸せにしてもらおうと思ってない」という言葉には
泣けました。つい自分の若かりし頃を思い出したりして。
でも、あのけなげな恋心をこんなに年取っても持ち続けることが
できるなんてすごいなあ、淑子ちゃんは。
宮本信子さんもすごく可愛かった。
このふたりのキャスティングはこの映画の要だと思いました。
あとは、やっぱり肝は寺島しのぶですね。
やっぱりすごい、この役者は。
もう、絶対沢田さんの娘じゃん、と感情移入しまくりました。
こんな親父をもったのが、原作者のマハさんだと知り、
小説は読んでいないけれど、
この娘の複雑な心境の変化を演じきった寺島しのぶには
賛辞しかありません。
「奇跡」という映画を観たとき主演である前田旺志郎を知りましたが
あのとき観た感動を思い出しました。天才だと思ってました。
今回のこの役もほんと難しかっただろうけど、
沢田さんのゴウの孫でよかったね、という気持ちです。
もう、あとはパンフを見たらわかるとおり、
名だたる俳優が脇を固め、、、いや、幸せしかないです。
さすが松竹映画100周年記念作品。
若い方はわからないかもしれない、
この映画のよさ。深さ。
一言では言い表せないけれど、この映画自体に
やっぱり「神様」がいて奇跡が生まれた、という実感を
作り手も観る側もみんなが感じられる作品だと思います。
志村さんの魂が沢田さんに宿っていたのは確かだし、
かといって、沢田さんのお芝居はまぎれもなく沢田さんだったし
人真似などありえない。
たぶん、この短い上映時間の中で、描ききれなかった部分、
カットされた部分はあると思う。
それはいつの日か、また観たい。
(できるなら、メイキングでもいいですのでDVDになる時は
絶対お願いします)