コトバにはならないけれど・・・

先日、ぶーちゃんは無事６才になりました。
でも、相変わらず意味のある言葉を喋りません。
「あ～ぁ～」とか、「じじじじ・・・」とか、変な音（喃語ともいう）を喋りまくっているだけです。

５才までに意味のある言葉が出なければ、その先喋れるようになるかどうか非常に難しいだろう。
そう小児科の先生に言われたのは２才ぐらいの頃だったけれど、気がつけばあっという間にデッドラインの５才を過ぎてしまった。
は・・・早すぎるぅぅぅ～

まぁ、そんな訳で喋れるようになればいいなぁ～と思う気持ちは変りませんが、気がつけば以前よりは気にならなくなってきました。
それは、多分ぶーちゃんとのコミュニケーションが取りやすくなったからだと思う。

話がちょっと脱線しますが。
自閉症のお子さん向けの療育方法って言うのは、もの凄く多彩なんですよね。
私はあまり詳しくないのですが、ちょっと調べただけでも「PECS」「TEACCH」「ABA」などなど・・・。
ちょっと勉強しただけでは太刀打ちできないほどたくさんあります。
以前のエントリーでも書いた事があるんですが、ぶーちゃんとのコミュニケーションに「カード」を利用してやってみたい・・・と私が言ったのも実は上記の療育方法でよく使われているものだったからなんです。
結果は即刻却下されましたけどね（苦笑）
だって、ぶーちゃんは全然カードに興味を示さないんですもの。
その状態でやっても効果は上がらない・・・って言われたからなんですけどねぇ～。

そんなわけで、私にとっての家庭内療育はとにかく「声をかける」事。
ただこれだけでした。（だってこれしか先生に指導されないんだもの～）

ご飯を食べるときには台所から「こっちに手を洗いに来て」と声をかける。
トイレにはいるときには「電気を付けて」「じゃーして（水を流して）」と声がけする。
極力手を出さない。ひたすら忍の字で待つ。
そして昔は待ちすぎて「むきょーっ！！」っとこっちが切れていたんだけれど、最近は切れる前に諦めて手を貸すようにしている。（その方が精神衛生上良いことに気がついた）
もちろん「○○って言ったらこうやるんだよ～」と教えてはいるけれどね。

無視されることも多いし、やってくれない事ももちろん多い。
それでも最近とみに私の言っていることを理解して行動することが増えてきてくれたように思えるんです。

以前は「お風呂に入ろう」と、「ベッドに行ってきて」などは確実に理解して動いてくれているなぁ～って思ったんだけれど、最近はもっと細かいところまで芸が増えているような気がする。

部屋の電気を消すのもそのうちの一つ。
相方が寝るときに「寝るときはここ（←電気から伸びている紐）を引っ張って電気を消す」と教え込んでいた。
すると、いつしかそれが出来るようになっていた。
そのうち、ぶーちゃんは寝るときに電気を消すだけでなく、暗い部屋に入ると１人で電気を付けて遊ぶようになっていた。

ある夜のこと。
「あっ、あっ、」と何やら私を呼ぶ声が聞こえるのでぶーちゃんの元へ行くと、真っ暗な部屋の中で必至に紐を引っ張って電気を付けようとしていた。
でも、いくらやっても電気がつかない。
それはそのはず。
だって、私が壁にある電気のスイッチをオフにしていたんですもの。
なので、壁にあるスイッチを押してぶーちゃんに教えた。
「紐を引っ張っても電気がつかないときは、ここを押すんだよ」
ぶーちゃんは満足げに電気のついた部屋で遊んでいました。

それから月日は過ぎて・・・気がつくとぶーちゃんは自由自在に紐とボタンを駆使して電気を付けたり消したり出来るようになっていた。
そして最近はリビングにいる私達が「電気を消してきて」と頼むと自分で付けっぱなしにしていたベッドルームの電気を消しに行ったりもするようになった。
（もちろん無視されることも多いけど）

ただひたすらコトバかけ。その行為に気が遠くなることも多いけれど、こうやって一つのコトバが彼女の中に入ってゆっくり浸透していく姿をみると、時間はかかるけれど決して間違っていないんだなぁって思うことが出来る。
特別なことは何一つしていない。
ひたすら言葉を降り注ぐだけ・・・。
でも、その行為のもつ力を私は最近しみじみと感じます。
草花が育つようにじっくり取り組んでいきたい物です。