家出より、締め切り

よし、だいぶ元気になってきた。3日、郵便を出しにいくと言いながら家に帰りたくなかった私は、追いかけてきた娘とそのまま遊びに出かけた。そこで、家にいたくないという話になり、家出をする計画を練る。翌日、朝6時半に起きて姉の暮らす田舎へ逃げるのだ。
私と娘は、ワクワクしながら眠った。

翌朝、私は「締め切りが5日だよ～」という現実と、家出にノリノリの娘とのハザマで揺れる。いくらパソコンを持っていったって、落ち着いて仕事できないよね・・・。5日の夕方までに、50件以上の操作チェック＆コメント入り、これってできるものだろうか？
「明日にしない？」
娘に言ってみたが、猛反対された。

そんな私に、その朝、振ってわいた夫の言葉。
「月に20万家に入れるって言ったのはお前だろ。それができないから借金が増えてるんだ！」
最悪ー。こんな男と一緒に暮らせるもんか！ここにいたら気が狂う～！
娘に「別れるのはさびしいけど」とか言い出した夫。
まったくもって馬鹿らしくなった私は、締め切りはとりあえず忘れて田舎に逃げることにした。こっちからおさらばだ！

娘はノリノリ。着替えをいっぱい袋に詰め込んで、楽しそう。
私は、これからどうしていこうかと真剣に考えながらパソコンと操作チェック用の8センチはある分厚い操作解説書をかばんに詰め込み、かなり腹立たしい思いで家を出た。

混雑した電車。仕方なくデッキにもたれ、疲れきって田舎に着いた。娘はいとことニコニコしながら遊んでいる。私は、ヤケ酒。でも頭の隅で明日の締め切りが忘れられない。
「インターネットに接続して、ファイルをダウンロードしなくちゃ作業にかかれない・・・」

インターネットの接続設定を試した。
午後の3時半から作業を開始、夜中の2時。何度やってもISDNモデムのドライバが私のパソコンに設定できない。寝なくちゃ・・・。せっかく家を出てきたのに・・・。このままじゃ、締め切りが・・・。
「5日の17時までに、操作チェックの仕事を上げる」その壁は大きく私の前に立ちはだかった。田舎じゃ仕事にならないらしい。あきらめた。

ということで、今朝、娘を姉に預けひとり新幹線に乗り昼前には帰宅。そこから死んだつもりで集中して仕事にかかる。締め切りには間に合った。私ってすごい！ホッ。

家出も締め切りには勝てなかった。