天台宗 東明寺 たより

北九州市天台宗東明寺住職のおたより

NHK連続テレビ小説「虎に翼」

2024-06-06 14:30:34 | 日記
 5月28日護摩供法要ではご参詣の皆さまはじめ護摩木を奉納して頂いた皆様の家内安全、病気平癒、息災延命、交通安全、世界平和、疫病退散、等の平穏無事なることを祈念致しました。皆様の思いを祈りとして届け、仏天のご加護がありますことを願っております。

 NHK連続テレビ小説皆さん見ていらっしゃることかと思います。
「虎に翼」とは「鬼に金棒」と同じく強い上にもさらに強さが加わるという意味で、日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ一人の女性の実話に基づく内容です。困難な時代に立ち向かい、道なき道を切り開いてきた法曹たちの情熱あふれる物語、伊藤沙莉が演じる三淵嘉子という日本初の女性弁護士の半生を描いています。

 「はて」と言って疑問を持てば、誰構わず論破していく姿はなるほどと思います。以前は朝見逃すとお昼に週末に再放送を見るものでしたが、今は便利です。インターネットでは一週間はいつでも配信されているので、私はそれをNHKプラスで2倍速で見ています。

 主人公の活躍と共に心揺さぶられるのは昭和20年の時代です。太平洋戦争の戦時下にあって、トラちゃんの兄や夫も出征して行きました。赤紙とよばれる召集令状が来ては、つらいことなのに「おめでとうございます」といわれ、「ありがとうございます」と答えなければならない。先日の放送では兄や夫が戦死しました。

 東大寺の僧侶が「諷誦文」で震災、戦争に祈りを捧げたと新聞記事がありました。

 奈良東大寺二月堂で行われる「修二会」と呼ばれる行事で、お水取りともいわれ、三月初旬にありますのでこれが始まると春を告げるともいわれています。その法要の中で読まれる「諷誦文」があります。神道の祝詞にあたります。

 前半部分では能登半島地震について触れ、突然の地震によって多くの人が亡くなり、家々は倒壊した。「その心情を思うや忍び難きものあり。然れども生きる光を見失わず、明日へのなりわいを求め立ち上がる人々あり」仏の慈悲によって「一日も早く新たなる町々にもとの賑わいのよみがえらんことを」願うと祈った。

 後半では、度重なる戦禍で亡くなった人々への弔いの言葉から始まっています。
 「今もって隣国を侵略する国ありて、営々たる街並みを破壊し、住民を恐怖に陥れ、命を奪うこと重々たり。或いは積年の恨みを晴らさんと暴挙に出たるを奇貨とし、幼子らの命を奪うもやむなしとして、過大なる報復の挙に出たる国あり。」

 「その様を前に葛藤するも、沈黙を貫き目をそらし、悲劇に加担する民、多々あり。ああ人類は永遠に争いをやめぬか、平和の尊き事を思い至らざるか」
 「人類をして心穏やかに、花咲き鳥歌う境地に導き給わんことを」と結ばれます。

 小学生の夏休みには出校日があり戦争に関する平和学習、平和教育があったかと思います。恥ずかしながら当時どんなことを学んだか思い出せません。平和ボケと言われる時代に生き無関心であったからなのでしょう。大切な平和授業だったんだと、今世界に目を向けた時その重要さを改めて痛感することです。

 東大寺の僧侶の言葉には「遠く離れた地での出来事に何ができるのかと思うかもしれない。でも『自分にも関りがある』と思うことで具体的な行動が生まれると」一つ一つの動きは小さくても、それが少しずつ世界を変えるかもしれないと考え、祈りがそのきっかけになるように願うとおっしゃっています。

 ドラマで演じられる戦争の悲惨さ、東大寺僧侶の諷誦文の言葉を胸にこの歳になってからでは恥ずかしいことではありますが、平和への思いを深く刻んでいきたいと思います。

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