天台宗 東明寺 たより

北九州市天台宗東明寺住職のおたより

今日から7月

2015-07-01 22:07:37 | 日記
今日から7月。今年も半分が終わったわけですね。

皆様今年を半分振り返っての感想はいかがですか。充実した日々をお過ごしでしたか?

今年これからの後半も元気に充実した毎日を過ごしたいものです。

  6月28日 不動講法話からちょっといい話

 法事の後には、家族親戚一同お集まりのところでお食事をされることは多いかと思います。久しぶりに皆が揃うところで色々な話も出てきます。そんな中時折「和尚さん」もご一緒にと会食のお誘いを頂くことがございます。時間の許す限りご同席させて頂き、その時にお聞きし経験したことの一つです。

 100歳で亡くなられたご長寿のお母様の法要がありました。法要の後会食となり10名ほどいらっしゃいました。

 つい最近まではご在宅で元気に過ごしていらっしゃったのですが、体調を悪くされてからは介護施設へ入居されておられましたので、ここしばらくはお会いすることがありませんでした。施設へはご家族が日替わりで覗いていらっしゃったそうです。

 その時にいつもそのお母様は、「私は子供や孫に恵まれてとても幸せ」とおっしゃっていたそうです。いつ誰が覗いてもそのようにおっしゃっていたというお話でした。見舞いに伺われたどなたもがお聞きになられたそうです。

 年齢的には認知症が進んでいて、会話がうまくつながらなかったそうですが、その言葉だけはいつもおっしゃっていたそうです。ご家族はその言葉を聴いて、「母はいい人生を送ることが出来たんだね」と誰もが改めてお母様の存在と幸せを感じていらっしゃいました。

 認知症ですから日常の言葉や意思を上手に表現コントロールできなくなりますが、その分繕わない本当の自分自身の姿が現れるのかもしれません。この方は普段からきっと「私はこんな素晴らしい子供や孫に恵まれて本当に幸せだわ」という気持ちでお過ごしになられていたことでしょう。
 
 又こんなお話を聞くことがありました。この方はかなり認知症を患っていらっしゃるのですが、何をしても何を聞いても「有難う」とお答えになるんだそうです。時に変な受け答えになりますが、いつも「有難う」とお答えになります。

 おはよう → 有難う
 どこか痛い所は無い? → 有難う
 今日もいい天気ね → 有難う

 おかしな会話になり、ご家族は苦笑される時もあったそうですが、「有難う」と聞いて嫌な気分にはならないそうです。

 きっとこの方も普段お元気な頃からいつも「有難う」とまず初めにおっしゃっていらっしゃったことだろうと思われます。だから認知症になってもその言葉が一番に出てきてるんだと思います。普段いつも有難うと感謝の気持ちでお過ごしになられた毎日が描かれます。
 
 その一方で執着心・欲深く生きる日々は晩年、物に以上に執着してしまったり、疑い深くなってしまうかもしれません。

 仏教では、自らの生前の行いで来世が決まります。そして輪廻転生は六道輪廻であり、自らの行いによって六つの世界を廻ります。

 地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の六つです。感謝する豊な人生を歩めば、人・天に近く生まれ変わり、不平不満の人生を過ごせば地獄・餓鬼に近く生れ変わるかも知れません。
 
 日々の行いがこれからの人生を決めることでもありますので、幸せな人生で終われるよう努めたいことです。
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