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道成寺「宮子姫伝記」

2009-11-27 | Japan 日常生活の冒険
もうひとつの藤原不比等ゆかりの海女伝説は、紀州・日高郡の道成寺に伝わる「宮子姫伝記」で、梅原猛氏が著書「海人と天皇」で取り上げて、TVでも特集されたことで知られている。この伝説にも「玉取姫」と同様にいくつものヴァリエーションがあり、口伝により伝承された話を絵巻にしたものは以下のような内容である。

文武天皇の代に、紀州・日高郡八幡山の麓に九人兄弟の海人が住み、その中に一人、「宮」という名の海女がいた。ある日、海底に光るものが見つかり人々はこれを怪しんで恐れた。彼女は海底深く潜り、それが黄金の千手観音像であることを見つけ、その像を長い髪に包んで持ち帰り祀った。藤原不比等が都で燕の巣となっていた一丈余りの髪を見つけ、文武帝に伝え、この髪の持ち主だった女性を全国に勅使を派遣して求める。日高郡に派遣された粟田真人は、岩屋の祠に観音像を祀っている髪の長い「宮」を見つけて帝の勅旨を伝える。宮は兄弟の了解を得て都へ向かい、不比等の幼女となり「宮子媛」と号して、文武帝の后妃となる。宮子は故郷に残した観音像のことが忘れられず、不比等を通じて帝に伝える。帝は紀道成を召して道成寺を建立させる。


「宮子姫伝記」絵巻 宮の髪がまるで龍のよう

後年、道成寺が作成した「道成寺絵とき本」では「宮子姫伝記」と異なり、神功皇后が三韓征伐の帰途に船を授けられた九人の供が住み着いた「九海士」と呼ばれる村の早鷹・渚の夫婦の娘として「宮」が登場する。宮は生来、髪の毛が生えず、夫婦の悩みの種であったが、その頃、海中に光る物体があり、海女の渚が命を懸けて海中から黄金の仏像を引き上げた。夫婦は仏像のために祠を作って祀るが、ある日、観世音菩薩が渚の夢に現れ、醒めると宮に美しい髪が生えていた。宮は不比等に見出され、養女となり文武天皇の后妃となるという下りは「宮子姫伝記」と同様である。しかし「伝記」の海女が「宮」であったのに対して、「絵とき本」では、海女の娘が「宮」となっている。

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