「人身事故」と「線路内立入り」

最近むかつくのは朝夕所構わず電車が遅れることだ。東京駅や空港に行くまでの電車の運行が遅れて、旅行が台無しになることまである。ＩＴ技術の進歩のおかげで乗換案内を用いて分刻みの予定が組めるのはいいが、旅行の最初の段階でアクシデントに遭遇して予定変更を余儀なくされ、電車の中で乗換案内とにらめっこというケースがよくあってどきどきする。まったくもって心臓に良くない。

電車が遅れる原因で、ここのところ多いのが「人身事故」と「線路内立入り」である。これは想像するに「自殺」と「自殺未遂」のことなのだろう。もっとリアルに想像を逞しくすれば、現場には千切れた手足や内臓や脳漿が散乱していて、まさしくそれは修羅場なのかもしれない。現場検証の上で速やかに列車運行を復帰させる仕事、つまり死体を片づける仕事も、まさしく酸鼻極まりなくたいへんなのだろう（こういう仕事には専門業者がいるのだろうか。事故遺体を修復する仕事は随分儲かるらしいことを耳にしたことがある）。

「自殺者」は経済的な事情等で世を恨んでいるから、自殺者心理として自らをこのような境遇に追い込んだこの世に抗議すべく、最期は思う存分迷惑をかけて逝ってやろう。と考えたりするのだろう。しかし電車を利用して「自殺」を行ったりすると、影響で電車が止まり、振替輸送をしたりして電鉄会社が蒙った損害分はみんな自殺者の遺族に請求が行くことを「自殺者」はもっと認識するべきだと思う。経済的な事情で世を儚んで自殺したりすると、遺族に更なる経済的負担を遺し、遺族までが世を儚んで自殺するかもしれないのだ。こういうのは連鎖的自殺とでも呼ぶのだろう。

私ははっきり言って「人身事故」「線路内立入り」という用語自体が良くないと思う。はっきり「自殺」「自殺未遂」と車内放送するべきだ。「現在○○駅で自殺があり、電車のダイヤが乱れています。このような行為は電車をご利用の皆様にたいへん迷惑がかかりますので、おやめくださいますようお願いします」とはっきり言えばよいのだ。そんなことをアナウンスすると、逆効果で自殺が増える。という向きもあろう。ならば「この自殺により、現在振替輸送を実施中で、当社の経済的損害は推定○○万円となります」くらい言えばよい。ついでにマスコミも自殺者実名・損害額報道を行えば少しは抑止力が働くはずだ。新聞には「本日の自殺者」コーナーを設け、週刊誌はたまにタイのように無惨な自殺現場写真を載せてみたらどうだろう(あれはタイの国民性なのだろうか？ 今回は上品な Penanggalan の画像をつけておいた。美女の首から内臓がぶら下がった姿をしたマレー半島の妖怪で、空中浮遊して血を吸いにくるらしい)。

今回はスケジュールを台無しにされて怒り千万の、旅行者の戯言であった。