Tomotubby’s Travel Blog

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エミリー・ウングワレー展 素晴らしかった

2008-07-17 | 海は広いな Oceania /Big Island, Hawaii


わざわざ足を運ぶ気にならない展覧会の多いなか、久々に観に行かずにはいられない展覧会で、行ってみると期待を裏切らない展覧会でした。エミリー・ウングワレー展。

エミリー・カーメ・ウングワレーは、80歳を目前にして初めてカンバスに向かい、生を終えるまでのわずか8年間という短い期間に3千枚を超える作品を残したアボリジニの女性画家です。創作場所は現代美術とは縁遠い辺境の地、通例ならハンディになり得る条件をものともせず、老成した画家にありがちなスタイルの固守はなく、若い画家のようにスタイルを変えつつも、オーストラリアの大地に根ざした独自の絵画世界を展開しました。現代美術と隔絶された彼女の創作における変貌は、すべて、何ものからも影響を受けないオリジナルのものです。ついつい、モーリス・ルイス、ウィリアム・デクーニング、ヘレン・フランケンサーラー、アーシル・ゴーキーなどアメリカの抽象画、はたまた日本画との共通点などを探してしまう浅ましい自分が厭になりました。

面白いのは彼女の絵の描き方です。カンバスを壁に立てかけることなく、地べたに敷いて、四方から、或いは画面の中に座して描き進めるのです。そのため絵には明確な天地はなく、美術館の壁に架けられた作品の天地の決定は、いずれもキュレーターの判断に委ねられているのです。横長の絵を、体を横にして縦長と見做して眺めていると、そこには別の絵が存在しているように思え、中には違う角度で架けられた方が見栄えがよいように思えるものも幾つかありました。倒立した像を、カンバスを反転することなくそのまま描いたゲオルグ・バゼリッツの作品を初めて見たときに抱いた奇妙な感覚が別の形で甦ったように思え、とても新鮮な体験でした。


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