桂木嶺のGO TO THE THEATER!~Life is beautiful!~

歌舞伎中心とした演劇・クラシック音楽・美術展・映画など芸術全般のレビューを書きます。優れた芸術は応援します!

神との出会いにひざまずく人々~「レ・ミゼラブル」30周年の成果

2017-05-28 01:40:43 | 芝居のエッセイ

超満員にわく、帝劇の「レ・ミゼラブル」を見てまいりました!

東京公演は全席完売という、30周年をむかえても相変わらずの人気ぶりに

わたしもおもわずニッコリ 

 

今回は「おけぴ!」の貸し切り公演ということで、かなり演劇通なお客様が多く、

みなさん興奮さめやらぬ様子です。

 

今宵のキャストは

ジャン・バルジャン・・・ヤン・ジュンモさん

ジャベール・・・・吉原光夫さん

マリウス・・・海宝直人さん

コゼット・・・生田絵梨花さん

エポニーヌ・・・唯月ふうかさん

ファンティーヌ・・・和音美桜さん

テナルディエ・・・橋本じゅんさん

マダム・テナルディエ・・・鈴木ほのかさん

アンジョルラス・・・上山竜治さん

という顔ぶれで、期待もわきます。

 

 

今回のキャストはみなさんすばらしく、初演以来観ている私も、これは歴代の中でも

1、2を争う出来栄えなのではないかと思えるほどでした!

こと、バルジャン役のヤン・ジュンモさんは序盤からの圧倒的な力強さと野卑、

そしてバルジャンが信仰にめざめ、

善への道を歩み始める姿を清冽な魅力とスケールの大きさで演じ切り、

満場の拍手を浴びました。

晩年のバルジャンの演技の緻密さも、大変新鮮ですばらしい解釈。

ブロードウェイでも通用しそうです。

きけばかれは、日本と韓国、どちらの国の言葉でもバルジャンを演じたとか。

すばらしい才能の誕生ですね!


吉原さんのジャベールも見事な役作りで、神に近づこうと職務を遂行しながら、

やがて神を捨て、自死をえらぶ複雑な人間像を熱演されました。

かれのバルジャンもぜひ見てみたいですね!


驚いたのが、海宝さんのマリウスと、アンジョルラスの上山さんです。

ミュージカル界の次代を担うのはまさにこのお二人なのではないでしょうか。

若々しく、はつらつと革命に燃える若者たちを演じられました。


またまさにスター誕生なのが、生田絵梨花さんと唯月ふうかさん。

「レ・ミゼ」の奇跡はまだまだとまりません。

圧倒的な歌唱力と可憐さで魅了します。


そしてあわれなファンティーヌを和音さんが毅然と演じ、

紅涙を絞ります。


歴史を感じたのが、マダム・テナルディエの鈴木ほのかさん。

コゼット・ファンティーヌときてマダム・テナルディエ!

まさに「レ・ミゼラブル」の日本公演の証人として奮闘されておられました。


台詞をはっきりすみずみにまで語り、力強さも感じさせたのが

橋本じゅんさんのテナルディエ。猥雑さと庶民のしたたかさを強烈な個性で演じ、

こちらも大きく場内をわかせました。

このキャストの充実と、壮大な舞台装置と映像を駆使した新演出に

あらためて、名作の可能性を思いました。


このミュージカルによって、商業演劇が大きく変容し、スターシステムから

オーディションによる公演への転換をし、

より実力伯仲のキャスティングが実現し、次々とあたらしいスターを送り出しており、

日本のミュージカル史においても、画期的かつ重要な作品といえます。



※こちらは30周年のキャストのスチールでコラージュされた場内特大パネル。必見です!


おもえば、わたしが、19年在籍したこの会社の社内報で最後にたてた企画が

「レ・ミゼラブル」の20周年、という内容でした。

もうあれから10年たつのですね・・・・。

師匠の渡辺保先生はじめ、お世話になった「にぃにぃ」、

また諸先輩・同期・お仲間・後輩たちのすばらしい財産が、

こういう形で継承され、さらに発展していくことはまことにうれしい限りです

間接的にですが、この作品に携われたことを、

本当に誇りに思いますし、いつでも帰ってこれる「ホーム」として大事にしたいと思います。


ビバ!「レ・ミゼラブル」!!

おめでとう!30周年!

 

これからも、50周年、100周年に向けて

ミュージカル界の良心・財産として輝き続けていただきたいものです!

 





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