すでにご存じの方も多いとおもいますが
猿之助さんが、「ワンピース」きのうの公演中に負傷され、左腕骨折という重傷を負われました。
現在、治療されている模様です。くれぐれもお大事になさり、一日も早い回復をお祈りいたします。
代役等の詳細は、こちらの「歌舞伎美人」HPにでましたので、
ご覧ください。
http://www.kabuki-bito.jp/sp/news/4331
さて、ここからは、Twitterで私がつぶやいた内容を転載いたします。
いろいろご意見もみなさまあろうかと思いますが、
私のこころからの警句と思っていただければ幸いです。
「猿之助丈の、一日も早い回復をお祈りします。正直申し上げると、恐れていたことが現実になり、ちょっとショックです。スーパー歌舞伎は確かに娯楽性豊かですが、演出面では大変危険が伴うので、批評する際も実は褒める時に気を付けなくてはと思っていました。演出がエスカレートするのを止める為です。
丈の命に別状がなくて、本当に万が一の事態にならずにすんで、それだけが救いです。それでも「ショー・マスト・ゴー・オン」とならなくてはならないのでしょうが、演出面も含めて徹底的に安全管理を求めたいものです。劇評家としての私が丈に対してできるのは、ここまでです。
渡辺保先生が決してケレンや宙乗りをあまりほめない理由は、それが邪道だ、というのではなくて、実はこうした安全管理面を先生なりに危惧されておっしゃっているのではないかと思うことが多々あります。歌舞伎は現在こうしたケレン・宙乗りなどが盛んですが、一考を要したいです。
すべての歌舞伎役者さんに私がいいたい。観客にウケることだけを望んではいけない。観客がしぜんとあなたに対して畏敬の念を持つよう、泰然自若としてほしい。もちろんケレン・宙乗りなどで観客を喜ばせるのも大事でしょう。でも、もっと大事なものが歌舞伎にはあるのです。
あなたの命が次に紡がれ、次の世代にその芸がバトンとなって渡され、あなたの芸が永遠に語り伝えられることが歌舞伎にとって大事なことなのです。猿之助丈だけではなく、若手のみなさん、ベテランのみなさん、そのためには、自分の限界もちゃんとしっておくことが大事なのです。
「舞台の上で死ねれば役者は本望」といいますが、実際にそれを見てショックを受けるのは観客です。観客に心の傷をあたえてはいけない。歌舞伎役者であるあなたのために、熱烈な愛情を注いでいるたくさんのファンのひとたちを絶望させるようなことはしないでほしいと思います。
私はよく、猿之助丈などの芝居に冷たい人間だといわれます。しかしそれは、こういう事態がおきることを私が予見していたからです。私は女で、相手は男の人たちです。こういう事態にならないと、女のいうことを聞かない人たちでもあるのです。なんともやりきれない思いでこのニュースを聞きました。」
もちろん、それでも「ショー・マスト・ゴー・オン!」なのです。それがショービジネスの厳しい現実です。
でも、どうかご自分たちのことは、ご自分たちで守れるように、しっかり配慮してほしいですし、興行側にも配慮を求めたいと思います。
明日からの公演、がんばっていただきたいですね!くれぐれも気を付けて!
そして、猿之助丈、お大事に!