桂木嶺のGO TO THE THEATER!~Life is beautiful!~

歌舞伎中心とした演劇・クラシック音楽・美術展・映画など芸術全般のレビューを書きます。優れた芸術は応援します!

亡き父方の祖母の想い出。「瞼の母」を彼女にささげます。

2017-12-06 08:27:48 | 芝居のエッセイ

「瞼の母」の絶賛コメントがあいついでいますが、私もかなり涙があふれて止まりません。

個人的な体験も含めてとても思うところの多い作品になりました。

まぁ、このブログは両親や親戚も見ておりますので、書くのをためらったのですが、泣いた理由を説明します。

...

私は、小さい頃に父方の祖父母と両親と住んでおりました。しかし、いろいろな事情があり、母は私をつれて家をでました。私としては、母を一人にするわけにはいかないだろうと思ったのです。

ところが、実家を出るその朝、祖母がわたしにこう言い放ったのです。

「ともこ・・・おまえはお前はもう今日から他人だよ!うちには戻ってこないでおくれ!」

そういうと、くるり、と背を向けてしまいました。

私はショックでしたが、ようよう、「・・・他人のわたしを、今まで一緒に住んでくれてありがとうございました」といって、家をでました。私が9歳のときの話です。

それから、本当に私はずっと、調布のおおもとの実家には戻りませんでした。祖母はその後脳梗塞二度起こし、言葉がうまく話せなくなってしまいましたが、90歳すぎても元気で生きておりました。

彼女が96歳になったとき、私は意を決して祖母に会いにいくことにしました。なんというか、虫のしらせだったんだと思います。

なつかしいおおもとの実家に帰ってきました。祖母に私が「かえってきたよ、おばあちゃん」と申しましたら、口のきけない祖母は、わぁわぁと子供のように泣き出しまし
そして、私の手をぎゅっと握りしめ、「ともこ、ともこ」とようやくいいました。私もわぁわぁ泣きました。

祖母がどんな思いで、私をまっていてくれたか、よくわかりました。「他人だよ」と突き放したように見えて、実は、とてもかなしくてやりきれなくてしかたなかったのだと思います。ほんとうにうれしい再会でした。

その翌年、祖母は静かに息を引き取りました。

おはまが「私はなんでおまえ(梅枝)しかかわいいとおもえないんだろうね・・・」と号泣する場面がありますが、
祖母もきっとほかの孫たちのとのことも思いながら葛藤をしていたのだろうと思いました。

私の心の澱が取れていくようでした。

「瞼の母」の玉三郎さんをみて、祖母の姿が重ね合わされ、ずっと涙しております。

祖母が天国で、祖父や父の早くに亡くなった弟たちと、たのしく暮らしていることを祈ります。

きょうはとてもすがすがしい気分でいっぱいです!


【急報!】12月歌舞伎座、大当り!\(^o^)/ 

2017-12-06 05:06:38 | 芝居のエッセイ

きのうは歌舞伎座の1部から3部まで通しで行ってきました!

いや~どれもこれも実に傑作ぞろい!すばらしいです!

ことに「実盛物語」の愛之助以下のアンサンブルのみごとなこと!

「らくだ」の抱腹絶倒の面白さ!

そして、「蘭平物狂」の松緑の奮戦!

「瞼の母」は紅涙しぼりっぱなしの名舞台!

・・・・と筆舌尽くしがたいほどの名品がそろいました。

「瞼の母」にいたっては、

こんな私もわぁわぁと子供のように大泣きしてしまうほど

中車さんと玉三郎さんが名演を繰り広げています。

この暮れ、必見の名舞台、見逃すなかれ!!!

 

・・・とりあえずの第一報でした。

詳細レポは、今週末までには書きますね!\(^o^)/

(まだ目が赤くて・・・💦💦)

 


スーパー歌舞伎Ⅱ 「ワンピース」は、奇跡のエンターテインメント!猿之助さん、ゆずの北川さんがカーテンコールに登場!

2017-11-25 09:21:11 | 芝居のエッセイ

 

きょうもやってきました、スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)「ワンピース」!

千穐楽の前の日とあって、大変な盛況ぶりです!

お子さん連れのお母さまや、たのしく会社のお仲間で見に来た皆さんもいらしたり、

もう「実は10回見ました」「16回見ました!千穐楽もみます!」

という大変熱心なファンの方々がいらして、

私はもうビックリ!



猿之助さんのポスターがみなさまをお出迎え♪


きょうはなんと、こんなすごい席でしっかりチェック!

というか、戻りでチケットWEB松竹で買ったのですが、ここしか空いていなかったのです!

ところがこの席だったので、大変幸せな体験をすることに・・!!!

ルフィの等身大フィギュアと、

マーガレットさん・スイトピーさんのたのしい「スーパータンバリン」CMが笑わせてくれます!


そして始まりました、第一幕!

尾上右近さんのルフィは、もうルフィを自家薬籠のものにしており、

大舞台せましと大活躍!きびきびとした動きも、右近さんのすばらしい舞踊と歌舞伎の実力があればこそ。

本当に体当たりで演じています!

ルフィの海賊仲間たちが登場するのも感動的で、大海原を舞台に大スケールの物語が展開されることを

予感させてくれます。

しかし、ちりぢりバラバラになった仲間たち。ふたたび彼らはめぐりあえるのか!?


右近さんは、二役早変わりでハンコックを熱演。大変うつくしいおみ足も披露(笑)

場内のため息をさそっていました。

女だけの国に君臨する女王としての貫禄もみせて秀逸です。

また、笑三郎さんのニョン婆、笑也さんのマリーゴールド、新悟さんのサンダーソニアの姉妹が

りりしく美しい。まるでタカラヅカのショーをみているような華やかさ!

そして右近さん扮するハンコックが天上にのぼっていく、一幕最後の華麗なシーンは、まさに白眉です!

 


第2幕の幕間。こんな度肝を抜く定式幕が現れました!

尾田栄一郎先生が描くところの「ワンピース」の仲間たちです!

こんな定式幕が登場しても、歌舞伎として立派に成立するから不思議ですね!


第2幕は、平岳大さんの存在感が圧倒的!なんという色気ただようエースでしょう!

大劇場の空間を圧するカリスマ性に場内陶然です。

猿弥さんのジンベエ、男女蔵さんのマゼラン、新悟さんのサディちゃんらも

すばらしい演技です!


大いにわらって、大いにハラハラさせる展開で、

なんと隼人くんのイナズマ、巳之助さんのボン・クレーが見事な演技。

隼人くんにいたっては、抜群の身体能力で、本水の大立ち回りを熱演です!

またボン・クレーの巳之助さんは、一幕のロロノア・ゾロのカッコよさとまた打って変わった

最高の奇天烈だけど一途で純情なキャラクターを怪演!

下の三津五郎さんもビックリされるであろう大変な名演をみせてくれました。


そして、右近さんの感動的な「ファーファ―タイム」の宙乗りは、

場内を興奮のるつぼに!

ゆずの主題歌が流れるなか、悠然と飛翔していく右近さんのすがたに、

「スーパースター誕生!」とおもったのは、私だけではないはず!

そして、ここまでの演出・構成をリードした、

四代目猿之助さんのすばらしい才能を

感ぜずにはいられません!!

「ワンピース」は、従来の歌舞伎とはまったく違いますが、

むしろプロジェクトとしては、ディズニーの「美女と野獣」「ライオンキング」に匹敵する

スーパープロジェクトだと感じました。

世界戦略も十分狙える巨大コンテンツだと思いますし、

まさに日本の演劇史の革命的な作品だと思います!

何十回も見た人が現れるなど、まさに「ロングラン歌舞伎」にふさわしい

奇跡のエンターテインメントです!



ファーファ―タイムが終わって、みんな大興奮!

右近さんのお父様・延寿太夫さんもお見えになっておられました。

寺島しのぶさん、まほろちゃんも鑑賞するなど、かなり歌舞伎関係者が多くいらっしゃいました。



ちょっとピンボケでみにくいですが、「To be continued」とでています!

音楽がまた実に壮大です!(藤原道山作曲)


第3幕は、なんといっても、プロジェクションマッピングを駆使した

はでな大立ち回りの数々!!

このむずかしい映像の展開と、歌舞伎役者さんたちの鍛錬された動きが

ピタリとあって、すばらしいアクションシーンが誕生しました!


そして、なんといっても平岳大さん!

とにかくかっこよくてしびれました~!!!

炎のフラッグをもって大立ち回りを演じるのですが、

神々しいくらいに素敵です!

 

そして、場内大興奮におちいったのはカーテンコール!

なんと猿之助さんと、主題歌のゆずの北川さんが、

花道から登場!!!

猿之助さんは大変ゴキゲン、顔色もよく、け

がをされた左手にはしっかりスーパータンバリンが握りしめられていて、

それをひらひらとふりながら、超満員の観客の熱狂にこたえました!

北川さんも笑顔、笑顔!

そして、右近さんはもう顔がくしゃくしゃ!

みんなで「ワンピース」の成功をお祝いしました!!!

 

帰りもなんだか去りがたくて、劇場を出てみると、

なんと楽屋口は黒山のひとだかり!!!

出待ちをみなさんされているのでした!

最近、すっかり出まちづいている私、

おしかりを受けそうですが、とうとう、役者さんたちのサインをいただいてしまいました!!

(すみません、劇場スタッフ、役者さんのみなさま・・・

じつは劇評を書く人間としてはやってはいけないんですが、

あまりに感動したので、どうしてもその感動をお伝えしたかったのですね!)

 

で、いただけたのが、この方々のサイン!

猿弥さんは、まさに「神対応」ですばらしい方でした!

サービス精神も旺盛で、私が夢中になって感想を話すのを

しっかり聞いてくださって、ユーモアあふれる対応で、みんな大感激!

(猿弥さん、すみません、「ちこ」って私のあだ名なんです・・・)



そして、今回大活躍の男女蔵さん。大変な存在感で場内を沸かせました。

(ちょっとそろそろ意休もできるのではないかしら?)

オフの姿は、いたって「気は優しくて力持ち」な素敵な紳士でした。



そして、期待の星・蔦之助(つたのすけ)さん!

前から大好きな方で注目している方ですが、

実に折り目正しく、すばらしい青年でした!

これからますます人気者になりそうですね!


最後にすみません、きょう千穐楽に行かれる方へ。

うちの夫の会社が、実は「ワンピース」のガチャガチャをつくっております。

ぜひお子さんのお土産に、観劇の記念に、お買い求めくださいませ(^^)

 

次回はぜひ猿之助ルフィを拝見したいし、

大阪・名古屋公演も体験したいですね!

 

とにかく、演劇・映画・テレビ・コミックと、

メディアの枠を超えて成功させた

巨大プロジェクト「ワンピース」!

このムーブメントを日本中へ!

そしていつか世界へ発信していただきたいです!!


生まれて初めてみた演劇~帝国劇場「風と共に去りぬ・第一部」の思い出。

2017-11-19 17:18:03 | 芝居のエッセイ

Facebookでオフィシャルページを作りました。もしよかったらアカウントをお持ちのみなさま、遊びにいらしてください!

https://www.facebook.com/katsuragiryo/

そこで、自己紹介がてら、生まれて初めて見た演劇のご紹介を。それは、1974年の帝劇「風と共に去りぬ・第一部」です。私が6歳のころになります。ちょうど、「モスラ対ゴジラ」がテレビで放送され、主演の宝田明さんのファンになった私が、新聞広告でたまたま「風と共に去りぬ」の宣伝がでていたので、親にたのんで、連れて行ってもらったのがきっかけです。

このときの配役は、上月晃さんのスカーレット、宝田さんのレット・バトラー、横内正さんのアシュレイ、淀かほるさんのメラニー、三國連太郎さんのジェラルド・オハラ、益田喜頓さんのミード博士、京塚昌子さんのマミー、真木洋子さんのベル・ワトリングでした。

菊田一夫さんの畢生の大作でもあり、マーガレット・ミッチェルの名前も知った大変な名作ですが、忘れられないのが、帝劇の舞台に、南北戦争の映像がながれて、本物の馬が登場して、宝田さんと上月さんが命からがら逃げていく場面は、子供心に鮮烈な印象を残しました。...
またこの時の三國連太郎さんが名演で、「本当にこの人は気が狂ったんじゃないだろうか?!」と幼心にビックリしたほど、彼の演技が迫真に満ちていたことを思い出します。

上月さんの白いパラソル姿と、喪服でバトラーと踊る場面もワクワクしたものです。

第2部は上演されませんでしたが、やはり私の中では、スカーレットといえば、上月晃さんだし、バトラーといえば、宝田明さんなんですね!

すばらしい観劇はじめ。観劇に際し、連れて行ってくれたいまは亡き祖母と、一生懸命チケットをとってくれた母、夜遅くの終演時間にも関わらず、帝劇まで車で迎えに来てくれた父に感謝します。

またプログラムの冒頭には、現・松岡功東宝名誉会長が序文を寄せておられて、今でも私の宝物です。

ご縁があって、東宝に入って、そして、いまは退職しましたが、演劇・映画を語る人間として、みなさまにこうしてお話できるのも、この「風と共に去りぬ」体験があったればこそです。

こんな私ですが、どうぞよろしくお願いいたします!


森光子さんと、ほうじ茶、ジャニーズのみなさんをめぐるお話♪

2017-11-10 10:09:06 | 芝居のエッセイ

きょう、やはり命日ということで、森光子さんと私の、とっておきエピソードをご紹介いたします(^^)

森さんは大変長寿で、やはり最後の最後まで、「放浪記」を演じ続けてこられ、すばらしい女優さんでした。

そして、健康管理にも大変気を配っていたのは、記憶に新しいところです。

森さんは、ひたすら、「ほうじ茶」を召し上がっておられました。

宣伝部で「川の流れのように」という森さんの映画を公開したときに、

わたしは例によって控室係だったのですが、

付き人の方から、お電話がわざわざあり、「お願いします。ぜったいに、森には、ほうじ茶以外は飲ませないでください。

森は、カフェインが入ると、健康管理にさしさわるというので、絶対に、ほうじ茶しかのまないのです」と

何度も何度も念を押されました。

そこで、当日、私はほうじ茶をお出ししました。森さんは大変ゴキゲンで喜んでくださり、

付き人の方もほっとされていました(^^)/

 

そして、もうひとつわすれられないエピソードとして、

当時、森さんに大変心酔しておられたジャニーズ事務所のメリー喜多川さんが、

ジャニーズ事務所のタレントさんをつれて、完成披露試写会の森さんの楽屋にいらっしゃいました。

「川の流れのように」には、滝沢秀明さんも出演されていたので、そのご縁でこられたのでした。

小さな男の子たちがトコトコとやってきました。ワイワイと楽屋の前で大騒ぎしていて、

なんだか微笑ましい光景でした。

 

すると、メリーさんが大きな声で、こう言いました。

「ヒガシ!ちょっとちっちゃい子たちを並ばせてちょうだい!」

なんと、あの少年隊の東山紀之さんが、さっそうと現れて、

「おーい、ちっちゃい子たち、二列に並んで!!廊下だから静かにして!」

と仕切り始めたではありませんか!

 

ジャニーズファンの方からすると

「かつらぎさん、うらやましすぎ!それ、ジャニーズジュニアですよ!!」

と思われるかもしれませんが、

わたしは、ジャニーズのファンでもなんでもなかったので、

「ふぅん、ジャニーズのひとたちってなんだか男子校みたいだなー」とのんびりみていたのでした。

さしずめ、メリーさんが校長先生で、ヒガシさんが、担任の先生といったところでしょうか。

 

ヒガシさんはてきぱきとジュニアのみなさんを二列にならばせ、

森さんの楽屋の前で、

「じゃ、森さんにみんなでご挨拶するよ!せーの!」

と声をかけました。

ジュニアの男の子たちが「森さん、こんにちは~!!!」

と元気よくご挨拶しました。


すると、森さんが白い頬を高揚させて、

「あら、いらっしゃい(^^) みんなよくいらっしゃいましたね(^^)」と

あのとびきりの笑顔でおっしゃいました。

本当に、お母さんの笑顔でした。


ヒガシさんは、ニコニコしながら礼儀ただしく、「おめでとうございます」と森さんにご挨拶。

森さんも「どうもありがとう(^^)」とすっかりご満悦。

わたしも、「そうか・・・ジャニーズって、こんな雰囲気なんだなあ」としばし感心しました。

 

森さんの舞台にかけるストイックな姿勢を、こういう形で、ジャニーズのみなさんのみならず、

若い俳優さんたちにうまく伝えられるといいですね。

森さんも天国で、わたしたちエンタテインメントに携わるひとたちを

温かく見守ってくださるだろうと信じています!

 


名優の面影【特別篇】明日は高倉健さん、森光子さん、森繁久彌さん、うちの祖父の命日です。

2017-11-09 19:09:54 | 芝居のエッセイ

 

11月10日、もうそんなになるんだな・・と思います。

いつもだともっと寒いのですが、ことしはポカポカ陽気でよかったですね(^^)

 

さて、明日の御命日を前にして、高倉健さんの思い出のつづきをお話したいと思います。

健さんが、「四十七人の刺客」という作品で、大石内蔵助を演じられまして、

そのときの完成披露試写会の様子は、以前お話したと思います。

そのとき、まだ宣伝部にきてまもなかった私に、いろいろ励ましてくださったこともお話しました。


これにはもうひとつ、続きがありまして、雑談ではいろいろなかたにお話していますが、

健さんというひとが、いかにすばらしいひとだったか、あらためてお話して、

故人をしのびたいと思います。

 

健さんはわたしに「キミは、『四十七人の刺客』の初日は、俳優控室の係をやるの?」と、きかれたので、

「わかりませんけれども・・」とドキドキしながらお答えしましたら、

「じゃ、初日、お願いするね(^^)」とニコニコと話してくださったので、感激したかつらぎでした。

 

初日になりました。私はやっぱり控室係になりました。健さんがニコニコとされていました。

わたしは、俳優さんたちにお茶をだしたり、灰皿をすすめたりしながら、映画館のほうに行って、

「いま、お客さんたちがならんでます!」「いま、お客さんたちが映画を見ながら感激しています!」と

俳優さんたちに報告していたのでした。


健さんは、明るくみんなと談笑されながら、「よかったね(^^)」といってくださっていました。

すると、「〇〇君(わたしの本名)、ちょっとお願いがあるんだけど」と申します。

わたしが「ハイ、なんでしょう?」とききましたら、

「ちょっとね、宣伝部長と営業部長を呼んできてくれるかな(^^)」と

おっしゃいます。

下っ端の私にとっては宣伝部長も営業部長も雲の上の人だったのですが、

とにかく健さんのおっしゃることなので、

すっとんでふたりの元へ行きました。


で、もっと驚いたのは、宣伝部長(当時。いまはどうなったかはご本人の名誉もあるのでいいません)と

営業部長(当時。以下同文)が、ふたりとも真っ青になりながら、

健さんのもとにやってきたのでした。

このふたりをしても健さんは「超超超大スター」だということなのでした!!

 

ハラハラしながらわたしがみまもっていたら、

健さんがおもむろにきびしい口調でこうふたりにおっしゃいました。

「きょうの10時の『打ち込み』、全国でいくつだったか、全部報告してごらん!」

 

宣伝部長と営業部長は、もうそれはそれは真っ青になりながら直立不動で、

「日劇東宝で〇〇、渋東シネタワーで〇〇、梅田で〇〇、‥以上です、健さん!」

と報告していて、こんな姿をわたしは初めてみて、「健さんのオーラってすごい!」とおもったのでした。

 

すると、健さんは、しずかにこうおっしゃいました。

「・・・つまり、この映画の配収は(当時は配給収入でした。いまは興行収入です)〇〇億円だね?」

宣伝部長と営業部長は、「その通りです、健さん!」とビックリしていました。

「宣伝費はいくらだった?」と健さんがおっしゃったので、

宣伝部長が「・・・・〇億です」

健さんがはじめてニコニコして、「ふたりともよくがんばったね、お疲れさん(^^)」

とおっしゃったので、宣伝部長も営業部長も、大変ほっとしながら、帰っていきました。

 

わたしは、(´∀`*)ポッカーンとして、その光景を見ていました。というより、呆然としました。

なんで10時の打ち込み(10時に入る全国の劇場の人数と興行収入のことをいいます)だけで、

配収がわかるんだろう?!

わたしは健さんにたずねました。「なんで、10時の打ち込みだけでわかるんですか?!すごすぎです!」

健さんはニコニコと私に応えてくれました。

「ボク、だって、200本映画に出てるんだよ?そのくらいのこと、わからなくちゃダメでしょう!(^^)/」

というのでした。


「でもどうやって調べるんですか?」と私がさらにきくと、

「(´ー`*)ウンウン、じゃキミはまだ宣伝部にきたばかりだから教えてあげるよ。

まず、土曜日の映画の初日には、営業部に行って、全国の劇場の数字を見せてもらいなさい。

それから、前売り券が、全国の劇場でいくら売れたか、それも教えてもらって、

毎週かならずメモを取るんだよ。

そして、どんな年代層のひとが買っていったか、全部調べるんだよ。

それを毎週データをとっていくと、いまみたいに、大体、どの年代のお客さんが全国できていて、

どのくらいの配収になるか、わかるようになる。

それを毎作品続けていったら、君もいつかきょうの宣伝部長や営業部長みたいになれるぞ!

女の子だからといって、遠慮することはない、どんどんこの調子でがんばってね!(^_^)/」

 

わたしは、健さんが、まるで映画の神様みたいに見えました。

ただ、ロケのときに、みんなと一緒に立っていたり、コーヒーを淹れたりするだけではなくて、

映画ビジネスの発展を真剣に考えているんだなと、

大、大、大感激したのでした!!!

もちろん、次の月曜日から、猛然とわたしが、営業の数字をメモし始めたことはいうまでもありません!

 

 

「ありがとうございます!がんばります!」と私がいったら、

「おぅ!・・・でもこのことは、みんなにはナイショだよ(^^)」

と健さんは、ビックリするほどやさしい笑顔で

おっしゃってくださいました。

その当時で65歳。でも、ビックリするほど若々しくて、かっこよすぎる健さんでした。

 

そして、さっそうと、付き人の人たちを従えて、劇場をあとにされました。

わたしはいつまでも見送っていました。

 

・・・あれから、23年。

私は宣伝部長にも営業部長にもなれませんでしたが、

映画や演劇を愛する人間として、なんとか、健さんのすばらしいお話を

こうして、お話できる人間になりました。

健さんが文化勲章を映画人として初めて受賞されたときには

当然だと思いました。

だって、こんなにすばらしい人格の人なんですもの!

(ね?女性週刊誌とか、週刊誌がいかにウソばっかり書いているか、

わかりましたでしょう?超一流のひとは、性格も超一流なんですね!)

 

健さんの一連の対応からまなぶことはたくさんありましたし、

その宣伝部長も営業部長も、大変な栄達を遂げ、出世しました。

そのときの、健さんと宣伝部長と営業部長とわたしのひみつの会話で

それぞれ奮起したのだと思います。

 

日本映画は大変な隆盛をその後とげ、健さんは、きっと満足されたと思います。

「あなたへ」で最晩年も映画人として活躍でき、

本望だったとおもっています。

 

健さんにお子さんはいませんが、「健さんチルドレン」は映画人の中にたくさんいます。

すばらしい健さんの財産を、これからもかたりついでいきたいとおもっています!

 

 

 

 


ネイルサロンで思い出した、SMAPの思い出。

2017-11-09 18:32:11 | 芝居のエッセイ

今日はネイルサロンに行ってきました😄😊🎵💕💖💘

明日は就職活動があるので、ごらんのようにシンプルなデザインにしていただきました。ネイルサロンのたのしいところは、若い女性スタッフといろいろと最近のはやりものについてお話できることです。やはりインスタグラムが主流のようです。

過日話題になった、元SMAPの「72時間ホンネテレビ」を見たかどうか、彼女にたずねてみると、「いや・・・もう私たちの世代は嵐なんで、SMAPにあんまり興味ないです」というお答え。もうかれらが解散するのは自明の理だったのですね。あまりかれらのことで一喜一憂しないことにしました。

...

あなたにとってSMAPってなんですか、とその彼女にきかれたので、
わたしは「ゲンジツでした」と申し上げました。SMAPファンの方々には申し訳ないですけど、正直な実感でしたね。SMAPの方々の主演の映画のポスターや社内報の企画や表紙をつくるたびに、正直胃が痛かったのを思い出します。

でも、実際のSMAPのみなさんにお目にかかってみると、温厚なひとたちだった(テレビ画面の彼らのキャラクターは相当作られたものなのだなと思いますね)ので、「彼らと出会えてよかったな」というのが偽らざる心境です。

かれらももう不惑をとうに超えて、壮年の男性になりました。しっかり足元をみすえてがんばってほしいですし、アイドル時代にはできなかったチャレンジをいろいろがんばってしてもらって、オトナとしての自覚をもって、いい俳優さん、タレントさんになっていただきたいですね。

ネイルサロンで、ひょんなことから思い出した、SMAPの思い出でした。


#元SMAP

#SMAP

#72時間ホンネテレビ



21世紀の傑作&スター誕生!スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」が見事です!【ネタバレあり】

2017-11-08 00:22:28 | 芝居のエッセイ

 

きのうは快晴の中、

話題沸騰中の舞台「スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)~ワンピース~」に行ってまいりました!

新橋演舞場は、すでに大変な熱気でした!

結論から申しましょう!

「ワンピース」は私は初めて見たのですが、

今回の配役を得て、まさに「21世紀の歌舞伎」の傑作が誕生しました!

これも、りっぱな「かぶき」なのだとわたしは痛感します。

とにかく、大感激して帰ってきました!

ぜひ、演舞場のみならず、海外にもこのすばらしいパフォーマンスを輸出させたいですね!

まずは、劇場の中をご案内いたしましょう(^_^)/


開演30分前の3階席から見た風景。舞台には、ルフィがお出迎えです。

この後、キャストのみなさんから、たのしいグッズ(スーパータンバリンやミニトートバッグなど)の

販売のご案内が、映像で流れ、おもわず場内は大爆笑!


これがうわさの「スーパータンバリン」です!

どんな場面で使うかは、見てのお楽しみに!

一個900円しますが、たのしい観劇の記念にもなりますし、

ぜひぜひみなさまおかいもとめくださいませ(^_^)/



今回「ワンピース」が成功しているのは、この演舞場全体が、

すっかり「ワンピース」シアターと化しているところ。

おびただしいグッズコーナーも、熱心な「ワンピース」ファンにとっては

ほとんど「聖地」なのですね!

(こちらは2階のグッズコーナーです。スーパータンバリンもここで買えます)


今回惜しくも休演された、猿之助さんからの直筆メッセージ。

演出・主演とまさに今回の「ワンピース」旋風の立役者です!

彼の才能・才気に、今回すっかり瞠目、感心してしまったかつらぎです!

丈の、一日も早いご回復をお祈りたします!

 


ちょっとお高めですが、1800円の筋書きです。

この筋書きはいろいろな意味で、レジェンドな記念品。

「ワンピース」ワールドをよく知るためのすぐれた手引きになっています!

 

今回、大抜擢にこたえて、一気にスター誕生!

尾上右近さんが海賊王・ルフィと、美しき女王・ハンコックの二役を見事に演じ分け、

拍手喝采をあびました。

(写真は舞台写真を購入しました)

この場面に涙するファンも多いのでは・・・(^^)

とにかく、「ワンピース」の最大のクライマックスで、

今回の白眉ともいうべき場面です!

私はおもわず一緒にタンバリンを使って盛り上がっておりました。

宙乗りをすればいいというわけではなく、

こうして、尾上右近さんのように、演舞場の1階から3階まで、

客席を一体化させて、劇的なカタルシスを生む、その双方向性が

今回の「ワンピース」の最大の成功の要因だと思っています。

まさに21世紀の新世代の歌舞伎にふさわしい名場面です!\(^o^)/





 

こちらも舞台写真から。右近さんはもちろんのこと、こちらもスター誕生の

隼人さん(サンジ・イナズマ・マルコ)、

巳之助さん(ロロノア・ゾロ、ボン・クレー、スクアード)のコンビ。

本水の立ち廻りでも大活躍で、抜群の身体能力を示しました。この二人から今後は目が離せません!

隼人さんはなんと(ネタバレご容赦!)宙乗りもあり、こちらもすばらしい飛翔ぶりです!

 

いろいろ見所満載ですばらしい成果を上げている「ワンピース」ですが、

まずなんといっても見事なのは、「原作の絵から抜け出たような」キャラクターの造型のみごとさ!

(個人的には、新悟さんのサディちゃんが気に入りました^^彼もすばらしい役者さんですね!)

竹田団吾さん(よく劇団新感線の衣裳を担当されていますね)の衣裳のすばらしさ、

センスのよさが随所にひかります。


また、プロジェクトマッピングと歌舞伎を見事に融合させ、

歌舞伎役者のすぐれた演技方法と、プロジェクトマッピングという最新映像技術をコラボさせて、

「ワンピース」のスケールの大きな世界を見事に現出したこと!

(これは大変にむずかしい技術なので、演舞場スタッフの技術の見事さを讃えたいと思います!)

 

そして、「ゴムの手」や「マグマの術」「炎の術」「氷の術」など

原作に登場するさまざまな術を、歌舞伎の手法や、演劇の最新の演出方法、照明などをくふうして、

完璧なまでに再現したこと。


また膨大な原作の中から、もっとも感動的なテーマ「友情」「冒険」「家族」

というシンプルかつ強烈なテーマをきちんと抽出し、

一本の強烈なドラマと太いストーリーに仕上げた、横内謙介の脚本のすばらしさ。

まったく、だれることなく、スーパー歌舞伎のすぐれた点を継承しつつ、

洗練された音楽などで、さらに進化させた猿之助さんの演出の卓抜したセンス!

右團次・笑也・笑三郎・猿弥・弘太郎・寿猿・門之助・・・

といったおなじみの猿之助劇団の重鎮たちの堂々たる演技、

そして、歌舞伎以外のすぐれた資質をもった、平岳大、浅野和之、嘉島典俊といった役者たちの参戦。

ふだんなかなか見る機会のすくない、男女蔵・竹三郎などのユニークかつ強烈な個性あふれる演技。

 

プリズムのような魅力を発揮する「ワンピース」は、まさに今月の「演劇界」で田中聡さんがいみじくも

「ヤマトタケル」に匹敵する作品である、と評されていますが、

ひょっとするとそれ以上のポテンシャルを秘めた、

日本の演劇シーンでも、まさにエポックメーキング的な作品になるだろう、と

いうことが、いえるだろうと思います。

 

主題歌の”ゆず”の声のすばらしさが演舞場に響き渡るのも、

まさにこの「スーパー歌舞伎Ⅱ」にふさわしい清新さですし、

イヤホンガイドも、「ワンピース」を熟知する谷原章介さんといううれしいごちそう。

尾上右近というひとのもつ爽やかな魅力が

主人公ルフィのまっすぐで「根拠のない前向きさ」にもつながって、

みごとな成果をあげています。

 

チケットはまだ手に入るようですので未見の方は、

ぜひぜひこのすぐれたパフォーマンスを見逃しなきよう!

演舞場へ急げ!\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/

 

#ワンピース歌舞伎

#尾上右近

#中村隼人

#坂東巳之助

#市川猿之助

 

あ、補足しますと、チョッパー役の市川右近くんも名演技でしたね!

彼の登場にも要チェックですし、

いったいチョッパーをどうするんだろうとおもっていたので、

まさに膝を打つ好配役でした\(^o^)/

 


歌舞伎座昼の部「鯉つかみ」にハマってしまいそうです!!児太郎さんブームが到来か?!

2017-11-04 06:13:02 | 芝居のエッセイ

吉右衛門さんの文化功労者認定、高麗屋の襲名前の最後の舞台ということで、なにかとにぎやかな話題を提供している今月の歌舞伎座ですが、昼の部2回目を拝見し、私がすっかりハマってしまいそうなのが、なんと昼の部の最初をかざる、「鯉つかみ」です。

その殊勲賞は染五郎さんでもあるのですが、実はとてもたおやかな魅力を放つ、児太郎さんです!染五郎さんの恋人・小桜姫を快演していて、染五郎さんとの顔の小ささと言い、背のバランスといい、そして、品の良い芸風といい、まことにお似合いのゴールデン・コンビ誕生!ということで、私もこの染五郎(ゆくゆく幸四郎ですが)・児太郎コンビでいろいろな作品が見てみたい!と思った次第です。ぜひ、「ワンピース」で歌舞伎の魅力にはまったみなさまは、「鯉つかみ」で歌舞伎座の門をくぐり、「奥州安達原」「直侍」「忠臣蔵 五段目・六段目」「新口村」「大石最後の一日」と重厚な作品にふれていただいて、歌舞伎の神髄にふれていただきたいですね!

まず児太郎さんの魅力はなんといっても、そのたおやかさ。品の良さ。しっかりとした芸にささえられた内から出る美しさにあります。染五郎さん扮する、鯉の精にねらわれてもおかしくないだけの美貌であり、そしてどこかはかなげな風情が、興趣をそそります。染五郎さんの鯉の精を、愛する恋人・志賀之助と信じて疑わない一途さと可憐さがあって、前半の舞台のふたりの絡みがなんともいえず清新かつ嗜虐的なエロティシズムにみちていたのは、児太郎さんのすぐれた資質のたまものでしょう。染五郎さんも鯉(これは「恋」にも通じるのですね)の精と志賀之助の二役をきっぱりと演じ分けて面白く、特に鯉の精でみせる化け物の邪恋ともいうべき執念をみせたのは立派です。(これは秀山祭で「再遇桜清水」の二役を鍛えられたおかげでしょうね^^)ふたりの前半のからみが初日に比べてがぜん面白くなったので、舞台が大変引き締まり、後半の染五郎さん大活躍の外連味たっぷりの立ち廻りが生きました。やはり舞台はドラマを大事にすべきなのだと思います。

後半は染五郎さんの早変わり、本水を使った立ち廻り、宙乗り、影絵の映像などの面白さでぐいぐいと引っ張っていきます。実際のラスベガスでの演出がこうだったのかはわかりませんが、非常にたのしい演出になったことは確かです。吹替の方、鯉の精(ほんとうにシン・ゴジラの第一形態にそっくりで大爆笑しました^^)、立ち廻りの皆さまもお疲れさまでした。そして、大奮闘の廣太郎さん(もうおぼえましたよ!)、すっかりこのところ悪役担当の吉之丞さん(^^)、友右衛門さん、高麗蔵さんと手堅くそろって、最後まで楽しくスッキリとした気分でみることができました。本水をつかっての立ち廻りも、ミストシャワー効果があってよかったですね!あとは、みなさん、どうぞお怪我の内容に、くれぐれも気を付けてくださいね!

昼の部はあともう一回見に行くのですが、幕見で、「鯉つかみ」いこうかどうしようかまよってます(^^)でも、幕見も立ち見がでていたそうなので、がんばるしかないですね!

最後に、児太郎さんが観音菩薩のごとく登場するのですが、それがまた実に現代技術を駆使した登場の仕方で、歌舞伎座もずいぶん大胆なことをするなと思いました(^^) 楽しさいっぱいの「鯉つかみ」みなさんで応援してくださいね(^_^)/!!!

 

 

 


三谷幸喜さんがなんと紫綬褒章に!!!\(^o^)/\(^o^)/

2017-11-02 06:12:19 | 芝居のエッセイ

なんだかこのブログ、すごいことになってきていますが、

脚本家で演出家の三谷幸喜さんが、2日、秋の紫綬褒章を受章することが

発表されました!!!!

(吉右衛門さんは文化功労者になるし、三谷さんは紫綬褒章だし・・

だれか政府の関係者でこのブログ見てるひとがいるんですかね(笑))

三谷さんのご活躍についてはもういうに及ばずですね。

すばらしいドラマ、舞台、映画を数々生み出されています。

これからもますますすばらしい作品を生み出していただきたいと思います!

三谷さんご本人情報としては、きょう夜9時から「アベマTV」という

インターネットテレビ局の、72時間テレビ(稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さん出演)に

ご出演予定ということで、心境をかたっていただけるのかな?と思っています。

なにはともあれ、大変めでたい、褒章受章のニュースでした(^_^)/


来月の観劇予定です♪ そして、11月国立劇場 アフタートークのご案内(^_^)/

2017-10-28 22:45:28 | 芝居のエッセイ

今月は、マカオに行ったり、就職活動をしたりといろいろなにかときぜわしい一か月でした。

来月は、すこしお芝居をみる余裕もでてきたので、みなさまにご案内いたします。

11月3日(祝・金)歌舞伎座昼の部

11月7日(火)  演舞場「ワンピースⅡ」

11月8日(水)  歌舞伎座夜の部

11月14日(火) 国立劇場 「沓掛時次郎」「坂崎出羽守」

※この日、梅玉さんと松緑さんによるアフタートークがあるそうです!!

11月15日(水) 赤坂レッドシアター てがみ座

11月16日(木) 歌舞伎座昼の部(再見)

 

また、N響定期公演の鑑賞は

11月17日(金)  NHKホール

11月23日(祝・木) サントリーホール

 

に伺う予定です。


で、ここでみなさまに告知です。すでにご存じのかたも多いと思いますが、

11月国立劇場のアフタートークイベントとして、中村梅玉丈、尾上松緑丈によるトークショーがあります。7日、14日の終演後にあるそうですので、ぜひたくさんの方のご参加をおまちしております(^_^)/

http://www.ntj.jac.go.jp/topics/kokuritsu/29/1111714.html


では、みなさま、11月はそれぞれの劇場でお会いいたしましょう!

 


渡辺謙さん、ガンバレ!\(^o^)/\(^o^)/

2017-10-26 21:45:57 | 芝居のエッセイ

名優、というにはまったく枯れていなくて、

ますますこれから頑張って行かれる方だと思うのですが、

渡辺謙さんのすばらしいお人柄について、

きょうはお話したいと思います。

実は、謙さんのおかげで、いまの私があるからです。

 

 

謙さんは、もちろん、世界に冠たるハリウッドスターでいらっしゃいますが、その道は大変苦難にみちたもので、決していつも順風満帆ではありませんでした。でも、ご自身の大変あかるい前向きなキャラクターと、誠実なお人柄と(そうなんです!)、大変賢い方でいらっしゃるので、これだけの大スターになられました。

来年はNHK大河ドラマの「西郷どん」に、島津斉彬役で出演されるので、もう私ワクワクしております♡ これで、音楽の指揮をパーヴォがやってくださったら、鬼に金棒ですね♪

謙さんとの出会いは、1987年の「独眼竜政宗」にさかのぼります。ちょうど30年になりますね。本当にすばらしくて、若さと情熱あふれる演技で、一躍謙さんはスターダムに上り詰めました。

ところが1989年、「天と地と」という映画の撮影中に、カナダで急性骨髄性白血病を併発。主役の上杉謙信役を降板され、失意のうちに帰国、入院し、苛烈な闘病生活が始まりました。

どのくらい苛烈だったかは、当時のワイドショーがいろいろ報道していますが、私も大変ショックだったのを思い出します。いちばんショックだったのは、とにかくこの病気は細菌が命取りになるということで、外部との接触を一切遮断します、というものでした。つまりファンレターを書いても、細菌がついていますから、届けられません、ということだったんですね。

で、根がおせっかい焼きの私、なんとか謙さんをなぐさめられないものかといろいろ一計を案じました。それは名付けて「FAX大作戦」!!!

FAXはちょうどこのころで始めのころで、あこがれの家電でもありました。当時3万円くらいしたでしょうか。でも、謙さんはそのFAXを使って、いろいろ俳優仲間と交流を始めました。これなら細菌も入ってこないし、連絡をとりあえるというわけです。

わたしもFAXを買いたかったですが、やはり当時は高くて買えないので、悩んでおりました。そこへすごい朗報が!

ちょうど就職活動中だったのですが、JT(日本たばこ)さんが旭通信社(いまのASATSU-DKの前身)と組んで、学生対象に、50台無償でFAXをくれ、かつ、就職活動を応援してくれたのです。「FAXネットワーク」というグループ名で、私たち学生は集まったのでした。そこで就職活動の情報交換だけでなく、学生たちがもっているそれぞれの得意分野、私だったら映画と演劇ですが、それを紹介するイラスト付きのエッセイをJTのオフィス(当時南青山にありました)に送信し、それをJTのスタッフの方々(米田さんと茅原さんという方だったと記憶しています)が編集し、月に一度送ってきてくださるというなかなか楽しい企画でした。

そのFAXをもらって、私もさっそく記事を送ったのですが、「あっ!せっかくだから、謙さんにお手紙をFAXで送ってみよう!」と思いたち、私の就職活動日記や、最近はやりの映画・演劇情報、FAXネットワークの新聞などなどを、当時謙さんが所属されていた、演劇集団円の事務所のFAXにコツコツと送り始めました。

はじめは円の方もビックリされていましたが、内容を面白い!と思ってくださったみたいで、謙さんにこのFAXを送ってくださるようになりました。(本当に円のみなさまには感謝しております!)そして、最後には、「あ、も渡辺の自宅のFAXにおくってくださって構いません」と言ってくださるようになり、ますます仰天!!

で、おそるおそる謙さんのご自宅のFAXに送らせていただきました。前の奥様がやさしい方で、私が世の中のことを面白おかしく書いたFAXの記事を、嫌な顔ひとつせず、謙さんの病室に送ってくださり、本当にありがたかったです。(前の奥様はファンを大切にする、大変やさしい方でした。ですから、女性週刊誌がいかにいい加減なことを書いているか、わかると思います!)

 

そして、就職活動もご縁があって、映画会社の東宝の内定がとれました。そこで謙さんに早速ご報告をしました。そのころはもう謙さんは退院をなさっていて、ご自宅でわたしのFAXを読んでくださっていました。

すると数日後。母が「チコちゃん、大変、大変!」というのでした。

FAXから、なんとでてきたのは、謙さんの達筆なFAXレター!!!!!!!

謙さんが、わたしに、なんと応援とお礼のメッセージをくださったのでした! 内容はナイショとさせていただきますが、「映画は、これから日本だけでなく、もっと広い視野で作り出す必要があります。がんばって!」とおっしゃってくださったので、私はもう号泣・・・・。

謙さんのすばらしいお人柄がおわかりいただけるかと思いますし、そのころから、ご自分の活躍の場を広くもとめておられたのだと思います。

FAXから、こんなすばらしいご縁ができるなんて、本当にうれしかったですし、謙さんの神対応につくづく感動しました。

その後も、私が初めてテレビドラマのプロデューサーとして番組を担当したときも(「食べる刑事(けいじ)」という作品です。フジテレビジョンの深夜ドラマで、いま取締役の石原隆さんがプロデューサーでした)、いろいろ感想を送ってきてくださったり、本当に励みになりました。

宣伝部に異動したあとも、「絆」という作品で、再会したり、「沈まぬ太陽」でもいい形でご縁が続いていて、本当にありがたいなと思っています。

謙さんは、本当に誠実、真摯、洒脱、そして笑顔をわすれない素晴らしい方なので、今後もますます頑張っていただきたいです!

また、来年2018年はロンドンで、「王様と私」をケリー・オハラさんとふたたび演じますので、ぜひみなさまもロンドンに足を運んでいただいて、謙さんのすばらしい演技を見ていただきたいです!

というわけで、とっても突然でしたが、「渡辺謙さんの思い出」でした。

またいつかおめにかかりたいですね!\(^o^)/\(^o^)/


歌舞伎座昼の部「マハーバーラタ戦記」を見てきました。面白かったです!

2017-10-05 23:07:23 | 芝居のエッセイ

きょうは思い立って、歌舞伎座昼の部「マハーバーラタ戦記」を見てきました。

とても面白かったですが、いかんせん長いですね!一応これからごらんになるみなさんは

この長さを覚悟しておいたほうがいいと思います。

 

すでに渡辺保先生が劇評を発表されておられますが、

冒頭のインドの神々が眠りからさめて登場するくだりは、非常に豪奢かつ華麗ですばらしいですね!

衣裳も大胆ですし、ちょっとスーパー歌舞伎とタカラヅカ風。忠臣蔵の大序のような壮麗さがあります。

しかし、ちょっとドラマのテンポがもうひとつ歯切れの悪いところがあり、

せっかく俳優陣が熱演しているにもかかわらず、ところどころ眠くなってしまったのはなぜでしょうね?

やはり上演時間を2時間半から3時間に抑える可能性はなかったのかどうか?と思います。

ただでさえ、聴き慣れぬインドの神々と人間の名前なので、字幕ガイドでも安くして

見せる努力も必要なのかな、という気がしています。

 

しかし、インドの神話の世界を歌舞伎化する、という着眼点と企画力は高く評価したいと思いますし、

音楽も含めて実際は成功していると思います。

衣装も非常に大胆かつ美しいですし(高橋佳代が担当)、歌舞伎にぴったりの素材というべきでしょう。

 

個々の俳優について。菊之助さんは絵に描いたようなヒーローぶり。(漢字がうまくでないので)

カルナ役を魅力的に演じました。

「どこまでもまっすぐに生きる男」という表現にふさわしい、清冽な魅力を放っていました。

また殊勲賞は、何人もいますが、やはりここは、まるで「ベン・ハー」の名場面を思い起こさせるスケールで

アルジュラ王子を演じ切った松也さんを押したいと思います。押し出しも立派でしたし、堂々とした風姿で

戦への想いに燃えるアルジュラ王子を見事に演じました。

また白眉ともいうべき演技を披露したのは、七之助さんのヅルヨーダ姫。

大変なヒール(悪)役ですが、文字通り氷のような美しさで、「マハーバーラタ戦記」の悲劇を体現しました。

ご本人にとっても新境地だったのではないでしょうか。

 

他にも、彦三郎さん、亀蔵さん(片岡・坂東ともに)、萬太郎さん、種之助さん、梅枝さん、児太郎さんはいうに及ばず、

さすがの貫禄で舞台を締めた、菊五郎さん、左團次さん、鴈治郎さん、時蔵さんも見事でした。

こういうときに、歌舞伎役者の朗誦術の見事さが、インド神話の世界をリアリティあるものにしていると

あらためて思いますね!

 

最後の立ち廻りは、非常にすばらしく、ここだけでも必見の価値があります。

くわしいネタバレは避けますが、

菊之助さんと松也さんの、戦車にのっての闘いぶりは壮絶な死闘であり、

まさに「ベン・ハー」の名シーンを思い起こさせます。

菊五郎劇団の面目躍如です!

 

ぜひたくさんの方にご覧いただいて、応援していただきたい、

今月の歌舞伎座昼の部「マハーバーラタ戦記」でした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


魂の熱唱・平原綾香さんが光る!傑作ミュージカルの誕生「Beautiful」!

2017-08-11 02:14:20 | 芝居のエッセイ

きのうは、ひさびさにお里帰り。古巣の帝劇に行ってまいりまして、

ミュージカル「Beautiful」を東宝時代の友人と見てまいりました。

仲間たちにも会えて、再会を喜びあい、うれしい時間を過ごしました!

 

見る前は、なんとなく「平原綾香さんの歌声って聞いてみたいなぁ」ぐらいの印象だったのですが、

実際に拝見して、もう涙なくしては見られない、まさに熱演・熱唱の3時間でした。

 

「ワン・ファイン・デイ」「YOU'VE GOT A FRIEND」「A NATURAL WOMAN」などの名曲で知られる

キャロル・キングの半生を1960年代から70年代のヒットチャートにのせてつづるミュージカルで、

トニー賞・グラミー賞・オリヴィエ賞をそれぞれ受賞した、今年有数の傑作ミュージカルの誕生です!

ヒロインのキャロルを、水樹奈々さんと平原綾香さんがWキャストで演じていますが、

私が拝見したのは平原さんの回。しかし力強くみずみずしい、圧倒的な歌唱力と、

女優としての傑出した演技力にただただ脱帽しておりました。

こんなすばらしい人が演劇界に登場してくれたなんて!

ぜひぜひ彼女でたくさんのミュージカルも見てみたいですね!

 

また、「ジャージーボーイズ」の快進撃も記憶に新しい、中川晃教さんも

ユーモアをまじえながら、ヒロインの人生に絡むソングライターを熱演。

のびやかな歌声で帝劇の観客を魅了しました。

 

瞠目したのが、伊礼彼方さん。ヒロインの夫役を好演しました。

精神を病んでしまう難役ですが、自然体の演技で演じ切りました。

彼の存在が、物語にすごく現代人の孤独と闇のリアリティを与えていて秀逸です。

涙する観客も多く散見しました。

 

私はおそらく彼女の演技を初めてみたのですが、

ソニンさんもすばらしかったですね!コミカルリリーフではあるのですが、

キャロルと対照的な幸せをつかむソングライター役を、好感度たかく演じました。

ミュージカル女優として大変期待の持てる人だと思っています。頑張っていただきたいですね!

 

そのほか武田真治さん、剣幸さん(私の世代では大変なつかしいタカラヅカのスターです)も

すばらしい演技を披露されており、アンサンブルのみなさんも超絶技巧の歌唱力で魅了しました。

 

このミュージカルを流れる、ハートウォーミングさと上質な音楽、

そして、人を愛することの痛みと悲しみと喜びを高らかに謳いあげた人生賛歌が

全編を覆いつくし、感動をさらに深いものにしています。

 

8月26日(土)までということですので、ぜひたくさんの方にお越しいただいて、

キャロル・キングと日本のカンパニーの優れた舞台をご堪能いただきたいですね!

 

すばらしい一日になりました!


歌昇さん、種之助さん、渾身の大熱演!第3回双蝶会にいってきました(^_^)/

2017-08-06 03:19:05 | 芝居のエッセイ

きのうは夫とともに、国立劇場小劇場の「第3回 双蝶会」に行ってまいりました。

若き播磨屋のホープ・中村歌昇さんと種之助さん兄弟による勉強会ですが、

大変すぐれた成果を上げていました。

吉右衛門さん監修ということで期待も高かったので、大勢のお客様がお見えになり、

吉右衛門さんもふたりを見守っておられました!

また、お父様の又五郎さん、そして歌六さん、東蔵さんもいらっしゃり、

尾上右近さんも駆けつけ、会場はいやが上にももりあがりました。

 

うれしかったのは、種之助さんの「一條大蔵譚」が、「奥殿」だけの上演ながら、

立派に歌舞伎の品格をそなえており、吉右衛門さんのセリフ回しもなぞらえつつ、

どこか、17世勘三郎さんの面影も漂わせたのは立派でした。

これもりっぱにいずれ本役になるよう、精進してほしいと思います。

 

また、「吃又」の歌昇さんは全身で、又平のかなしみと憤りを表現。

暗い情熱をたたえた青年像をみごとに抽出しました。

種之助さんがここでも奮闘し、おとくを熱演していたのですが、

かれのすばらしいところは、どこかかならず工夫があり、

そして、先代の雀右衛門さんが演じたおとくの残影があることでした。

ふたりとも非常に研究熱心なので、これからが楽しみです。

 

若手も奮闘。壱太郎さんの常盤御前は一日の長があり、

米吉さんの修理之助も毅然とした美しさがあってよかったですね。

また「吃又」では、又之助さんが、堂々たる風姿で土佐将監を演じ切り、

すばらしかったですね!彼も脇役としてがんばっていますが、

非常に期待していますので、大事にそだててほしいと思います。

以下、蝶十郎、蝶紫、梅乃なども活躍し、見所の多い二幕となりました。

 

パンフレットには、吉右衛門さんのあたたかいメッセージも添えられ、

大変ふたりを可愛がっている様子がうかがえてうれしくなりました。

来年も8月4日・5日に第4回の開催が決定したそうなので、

夏の風物詩として定着することをいのってやみません!

 

がんばれ、歌昇さん、種之助さん!