桂木嶺のGO TO THE THEATER!~Life is beautiful!~

歌舞伎中心とした演劇・クラシック音楽・美術展・映画など芸術全般のレビューを書きます。優れた芸術は応援します!

「街道をゆく」を読み始めました。そして、「坂の上の雲」のこぼれ話。

2017-06-27 02:11:06 | 読書

街道をゆく 1 湖西のみち、甲州街道、長州路ほか (朝日文庫)
司馬 遼太郎

朝日新聞出版

いま横浜そごうのそごう美術館では、「司馬遼太郎展」が開催されています。

たまたま昨日は横浜に用事があり、行ってまいりました。

とてもすばらしい展覧会だったので、ぜひたくさんの方にお越しいただければと思います。

嬉しかったのは、私が、(もう書いていいと思いますが)

大河ドラマの仕事をしていたときの、

「坂の上の雲」などの衣裳が展示されていたことですね!


「坂の上の雲」に関していうと、途中までしかかかわっていないのですが、

すべての制作過程が驚くべきスケールで、

時代考証も本当に緻密で、丁寧だったことが印象的です。

私は衣裳のお仕事を手伝っていたのですが、

たとえば、海軍の軍服のボタンがあるとすると、

何十種類ものボタンを集めてきて、

その海軍の階級にあったボタンを探し、

一個一個つけていく作業がとても面白いし、大変だったことを思い出します。


また、水兵さんのシャツを300枚「汚した」ことも

大変でしたが、いまとなっては懐かしい思い出です。

「汚し」というのは、洗い立ての衣裳では、

古さや質感が出ないので、洗濯機で何度も洗い、あえてくしゃくしゃにし、

戦国時代の衣裳などは、合戦などでの場面を想定して、

石油や泥などで、いわゆる「汚し」て質感を出すという作業で、

大変根気のいる作業です。


使われる場面は数カットなのですが、

時代考証を綿密に行い、厳重なチェックの上、場面に登場します。

300人の水兵さんが、私の手掛けたシャツを着てくださったのを

画面でみたときには、うれしくて涙が出たものでした。


というわけで、話がとてもそれてしまいましたが、

日本を代表する作家・司馬遼太郎は、大河ドラマの原作を数多く手掛けており、

その品格あふれる文体と、すぐれた歴史観で、

いまなおたくさんのファンを集めています。

そごう美術館の展覧会では、偉大なる司馬遼太郎の足跡をたどり、

日本の歴史の神髄に迫る構成をとっており、

大変興味深かったですね。


21世紀が迫りくる中、司馬遼太郎が若者に向けて書いた一文が

展示されており、見る者の胸をうつ名文となっていますので、

ぜひこれもご注目いただければと思います。


 

売店でも司馬遼太郎の作品は多々売られていましたが、

 

没後20年を経て、ふたたびもっと脚光をあびるべきだと思います。

 

そこで、この「街道をゆく」1を買いました。

 

これから、丹念に読み進めていきたいと思いますし、

 

これを機会に、あらためて司馬文学と日本人の来し方行く末を考えたいですね。

 



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