桂木嶺のGO TO THE THEATER!~Life is beautiful!~

歌舞伎中心とした演劇・クラシック音楽・美術展・映画など芸術全般のレビューを書きます。優れた芸術は応援します!

外国人の方のための、9月歌舞伎座のみどころ♪

2017-09-02 11:56:19 | 吉右衛門さん関係
きのうは歌舞伎座で、名優・中村吉右衛門さんの舞台を一日通しで拝見しました。
実に傑作ぞろいの舞台で感動しました!
歌舞伎の場合、一日に5~6本の作品を上演します。
吉右衛門さんはメインの作品を2本出演し、1本は別に演出・脚本も担当されています。
ことにみなさんにおすすめなのが「幡随長兵衛」「逆櫓」という江戸時代の侠客と、
鎌倉時代の武将をそれぞれ主人公にした作品です。
 
In yesterday Kabuki-za Theater, were we saw in one day through the stage's Kichiemon Nakamura.
I was touched by the stage of a masterful work!
In the case of Kabuki, we will perform 5 to 6 works a day.
Kichiemon appeared two main works, and one was responsible for directing and scripting separately.
Especially recommended to you are "BANZUIIN CHOBE" and "SAKARO"
It is a work which made the warlords of the Kamakura period the hero.
 
これらの作品のすばらしいところは、私のブログにも書いているのですが、
まず前者は江戸時代という17世紀から19世紀にかけての、
日本独特の文化の生成に貢献した時代を扱っていること、
いわゆる「世話物」といって、江戸情緒ゆたかな風物詩となっていること、
また、後者は、ひとりの男性の英雄的な生き方を通して、
人間が生死の際に立った時の理想的な死の迎え方と尊厳を描いていること、
台詞がまるで音楽のように際立った美しさで聴かせてくれることなどがあげられます。
 
The wonderful aspects of these works are also written in my blog,
First of all, the former was the Edo period from the 17th century to the 19th century,
It deals with the era that contributed to the creation of unique culture in Japan,
The so-called "SEWAMONO" is said to have become a richly poetic expression of Edo emotion,
In addition, the latter, through a heroic way of living for a man,
It depicts how ideal death welcomes and dignity when man standing in life and death,
You can say that the dialogue makes you listen with distinctive beauty like music.
 
吉右衛門さんはこれらの英雄的な演技に加えて、セリフ術にたけており、
脚本への解釈も実に的確かつ深く斬新で、
まるで、オペラ「ナブッコ」の主人公のように重厚な魅力をもった俳優です。
まさに日本を代表する名優のひとりといえます。
 
In addition to these heroic performances, Mr.Kichiemon has taken advantage of dialogue art,
The interpretation of the script is also quite precise and deeply innovative,
It is an actor with a heavy charm like a hero of an opera "Nabucco".
It is just one of the leading actors in Japan.
 
 
吉右衛門さんは今年73歳になりますが、ますますエネルギッシュに
新作・古典両方の歌舞伎に挑み、歌舞伎界をけん引するカリスマのひとりとして君臨しています。
 
Kichiemon will be 73 years old this year, but increasingly energetic
It challenges both new and classic Kabuki, and reigns as one of the charisma towing the Kabuki world.
 
日本では、歌舞伎などの古典芸能の表現者を保護する意味で、
「人間国宝」という顕彰制度をとっていますが、
彼もその数少ない「人間国宝」の一人です。
しかし、素顔の彼は、まったく偉ぶったところがなく、謙虚で、ユーモアもあり、穏やかな紳士です。
政治的にもリベラルなので、国民的な人気を誇っています。
30年間、私は彼のファンをしていますが、ほんとうにすばらしい俳優です。
 
In Japan, in order to protect the expression of classical performing arts such as kabuki,
We are taking a honor system called "Human National Treasure"
He is one of the few "human national treasures".
However, he is a gentle gentleman who is modest, humorous, gentlemanly without any great achievements.
Politically he is liberal, so he is proud of its national popularity.
For thirty years, I am a fan of him, but indeed it is a wonderful actor.
 
歌舞伎にはいろいろユニークな点がたくさんありますが、
ひとつは演出家と主演俳優が兼任していることが大きな特色として挙げられます。
また、女形とよばれる、男優が女性の役をすべて演じることも、
エリザベス1世時代のシェイクスピア劇のようで面白いですね。
代表的な女形としては、坂東玉三郎さんがあげられますが、
今月の歌舞伎座に登場している、坂田藤十郎さん、尾上菊之助さん、中村雀右衛門さん、中村魁春さんなども
すぐれた女形です。
 
There are many unique points in Kabuki,
One thing is that the director and the leading actor are concurrently concurrently featured as a big feature.
Also, actors playing the role of women, all of which are called female figures,
It seems like a Shakespeare play in Elizabeth I generation, is not it?
As a representative female figure, Mr. Tamasaburo Bando is mentioned,
Mr.Sakata Toujurou,Mr. Onoe Kikunosuke, Mr. Nakamura Jakuemon, Mr. Nakamura Kaishun etc. appearing in the Kabuki-za this month
It is an excellent female figure.
 
音楽的にも、大変ユニークなシステムをとっているのが歌舞伎の大きな特色です。
たとえば、下手にいる「黒御簾音楽」のチームは、効果音・音楽・歌すべてを担当します。
そして、上手には、竹本・清元・長唄といったチームが、
主題のテーマや歌詞を歌い、奏でるオーケストラのような役割をはたします。
 
Musically it is a big feature of Kabuki to have a very unique system.
For example, the team of "Kuromisu music" who is not good is responsible for all sound effects, music and songs.
And, well, teams such as Takemoto, Kiyomoto, Nagauta,
Singing the theme and lyrics of the theme, it plays a role like an orchestra playing.
 
「黒衣」の存在も大変ユニークです。みていただくとわかるのですが、
芝居の進行の補助的な役割をはたし、コロスの役割も演じますが、
舞台では「存在していない」という前提なのです。これもとても面白いと思います。
 
The existence of "Kuroko" is also very unique. As you can see,
It plays a supplementary role in the progress of the play and also plays a role of the colos,
On the stage it is a premise that "does not exist". I think this is also very interesting.
 
ぜひ、一度日本にいらっしゃる間に、彼の舞台をみなさんにも見ていただいて、
歌舞伎を中心とした日本の芸術の豊潤さをしっていただければと思っています。
ちなみに、歌舞伎座のチケットHPはこちらなので、ご参考までにどうぞ!
 
By all means, while you are in Japan, I hope you will see his stage,
I hope that you will appreciate the abundance of Japanese art mainly in Kabuki.
By the way, the ticket HP of the Kabukiza is here, so please for your information!
 
 

 

【速報!】吉右衛門さん、ついに名作「奥州安達原」に登場!!11月歌舞伎座顔見世です!そして12月国立劇場に登場!

2017-09-02 09:19:18 | 吉右衛門さん関係

 

さて、11月顔見世歌舞伎座の公演概要がでました(^_^)/

今回はなんと、藤十郎さん、菊五郎さん、幸四郎さん、仁左衛門さんと並ぶ壮観さ!!!

吉右衛門さんは昼の部の、傑作の誉れ高い「奥州安達原(おうしゅう・あだちがはら)」で

安倍貞任役で登場されます!

私も、吉右衛門さんに関する論文を歌舞伎学会で発表して、この舞台の彼のすばらしさについて

たくさん書かせていただいたのですが、まさに渾身、文字通りの名作なので、

こちらもぜひぜひたくさんの方にご覧いただきたいと思います。

戦争とは、愛とは、平和とは、そして民族の壁を超えるにはどうしたらいいのか____

現代の混迷した世相にもまさに訴えかける、近松半二畢生の大作です!

 

 

そして、こちらは国立劇場12月公演です。

「梅の由兵衛(よしべえ)」というお話ですが、

ちょっと私も見たことがない・・・・というより、復活狂言なので、あたりまえですね。

初代の当たり役でもあり、吉右衛門さん念願の登場となります。

こちらもいろいろ調べてみて、研究し、またあらためてみなさんにご報告しますね!\(^o^)/

 

とにかく、12月まで大車輪で活躍の大播磨、お体に気を付けて頑張っていただきたいですね!

 


えっ、そんなのあり?!爆笑・感動・ラブ&ホラー!?なんでも満載の秀山祭夜の部「再桜遇清水」は必見です!

2017-09-02 08:41:52 | 吉右衛門さん関係

さて、実は今回、超ダークホースだったのが、秀山祭夜の部「再桜遇清水(さいかいざくらみそめのきよみず)」!!!!

吉右衛門さんが30年以上前に、こんぴら歌舞伎の金丸座で上演するために、「松貫四(まつかんし)」のペンネ―ムで

お書きになったのを、戸部和久さんが補綴してお書きになったのが、今回の上演台本です。

これが実は大変に面白くて、笑って泣いて感動できて、

しかも最後には大どんでん返しの恐怖(!?)が待っているという

超・ジェットコースター歌舞伎なのです!!!!

あらすじは、もうとってもお話したいですが・・・(笑)(笑)(笑)

あえて、ネタバレしないでおきます!!!とにかく劇場で見てください(^_^)/(^_^)/(^_^)/

特に、いま熱烈恋愛中のカップルのみなさんにおすすめの、「デートムービー」ならぬ「デート歌舞伎」です。

ディズニーランドもいいけれど、この歌舞伎をみてもらって、

お互いの愛をしっかりたしかめあっていただきたいですね(^_-)-☆

 

というのは、ほかの人がこれを書いたのなら

「ふーん、そうなんだ、なんかてんこ盛りな内容だよね(^_-)☆」なんですけど、

これを、天下のきっちーさまが書いたので、仰天!!ビックリすることだらけです!!!

「ええええっ?!!これが吉右衛門さんの(女の人に対する)ホンネなの~!?」」

「えええええっ?!これは歌舞伎で誰をいったいモデルにしてるんだろう?!」

「わぁ、このセリフ、吉右衛門さんにいわれたら、もう悶絶しちゃうよね♡♡」

というセリフのオンパレード。

もう~たまりません♡ もう大播磨ったら♡♡♡

ファンのみなさま、妄想モードでぜひぜひこの舞台をご堪能あれ(^_-)-☆

 

もちろん、このヒーロー・ヒロイン役を演じている

染五郎さん、雀右衛門さんも大変魅力的ですので

こちらも必見の舞台です!!!\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/

 

 


匂いたつ男のエロティシズム~九月歌舞伎座秀山祭昼の部「幡随長兵衛」 夜の部「逆櫓」~吉右衛門さん、フェロモン爆発!

2017-09-02 08:06:43 | 吉右衛門さん関係

(※松竹(C)歌舞伎美人のHPよりいただきました)

 

見てください、この匂いたつような色気とリリシズム!

吉右衛門さんが主宰する「九月歌舞伎座秀山祭」が1日初日を迎え、さっそく行ってまいりました。

結論からいえば、もう「男のエロティシズムとダンディズム」いっぱいのすぐれた舞台の誕生です。

ぜひたくさんの方に見に行っていただきたいと思います!

 

やはりなんといっても、すばらしいのは、昼の部の「幡随長兵衛」!!!

私が見た中でも、過去最高の長兵衛を、吉右衛門さんがみごとな描写で演じておられました。

まず、客席から登場するときの圧倒的な華やかさとカリスマ性が、吉右衛門さんの場合図抜けていることが素晴らしい。

また、江戸一番の大立者という風格が、ごく自然にそなわっているのが見事です。

「この江戸じゅうにゃ、俺を待っているひとがたくさんいるのだ」というセリフが、

彼でないと、まったくリアリティをもって伝わらないのですね。

そして、二幕目の、長兵衛の家での、女房お時とせがれ長松に対する、長兵衛の述懐は、

今回さらに進化と工夫をとげ、見事な成果をあげています。

「おい長松、おめぇは、こんな稼業はついじゃいけねぇよ」というせりふ、

昔は吉右衛門さん、もっとなかせよう、なかせようとしていたんですが、

今回は、江戸の青空のごとく、からりとさわやかにいってのけたので、

かえってそれが悲しみを際立出せて、泣かせてくれました。

水野十郎左衛門(染五郎さん好演)との対決も、しずかな緊迫感にみちており、

ときどきぎらりとするような殺気をはらむのが、またこのひとらしくて素晴らしいですね。

まさに、江戸の香りのする大歌舞伎といえます。

まわりも歌六さん、又五郎さん(二役ご苦労様)、魁春さん、錦之助さん、

歌昇さん、種之助さん・・という手堅いかおぶれで、

黙阿弥のセリフの良さをぞんぶんにこの劇団で味わうことができました。

「湯殿の長兵衛」の場面も凄艶な最期、死にゆく長兵衛を抱える人々が、ピエタのように美しかったです。

 

そして夜の部の「逆櫓」の樋口次郎兼光!!

久しぶりにみたので、ちょっと物語を思い出しながらみていましたが、こちらも大変傑出した出来栄えなので、

好劇家のみなさんは必見ですね!

まず花道の出が素晴らしいのはいうに及ばず、時代と世話、両方のセリフの活殺自在な大播磨・吉右衛門さんの魅力が

舞台いっぱいに横溢していて、圧巻です。

また、舞台のすみずみにまで、吉右衛門さんの神経がゆきわたっているのがわかります。

「権四郎、頭が高い!」と喝破するときの迫力はさながら鬼神マルスのよう。

終盤の立ち廻りでも、地の底から吹き上がるマグマを感じさせて、思わず背筋が凍り付くようでした。

歌六さんの権四郎がすぐれた出来栄え。本当のわが孫・槌松への想いと、現在の血のつながらない孫への愛惜の想いが

ドラマに奥行きをもたせています。

 

この二本の歌舞伎は、現代の歌舞伎の最高峰のものであり、今日の歌舞伎の水準ともいえる好舞台といえるでしょう。

その他の作品については、また別のページにて。

劇場へ急げ!!!!