ある『物語』の断片

『物語たち』は語り始める。

深海

2007-11-19 13:07:12 | ある『物語』の断片
暗闇に
支配されてしまった

不安の中で
助けを呼び求める一方で
むしろその不安定さに
酩酊して
脱出することを
自ら拒む

落下する時の、
心地好さに似たような

それでも、
あの言葉だけが
あの声だけが
繋ぎ止めている

少しだけ
痛む

だから
まだ
消え去ることができずに

暗闇の中を
泳ぎ続けている

曇り空のように
映る水面
その先へ

ほんのわずかの
光を求めて