ある『物語』の断片

『物語たち』は語り始める。

終焉

2007-12-31 16:22:33 | ある『物語』の断片
一つの時代が
終わる瞬間

泣きそうになりながら
それでも笑顔を浮かべて
彼は栄光の証を掲げた

勝者も
敗者も
全力を尽した

一つの時代が
終わる瞬間

彼の笑顔は
喜びも悲しみも
全て包みこんで

決して消えない
体の傷痕も
全て包みこんで

時代を締め括った

郷愁

2007-12-30 17:13:19 | ある『物語』の断片
理想の最後を目指した

結局、
理想には至らなかった

それでも
あの物語の結末には
満足していた

前しか見る余裕が無い
満たされていた日々


あの日々の僕は
時折思い出したように
僕の心に問掛けてくる

今のままで、
本当に良いのかと。



そろそろ
答えを出さないといけない

可変

2007-12-27 09:47:39 | ある『物語』の断片
いつも同じ柄の服を来て
いつも同じ友人と会って
いつも同じ景色を眺める

変化に乏しい日常

それでも少しずつ
周りは変わっていって

ある日突然
その変わり様を見せ付けられて

その時間の長さと
変われなかった自分を
思い知るだけ



ただ

遠い昔の約束と

空に投げ出した
スポーツシューズと

虚空に取り残された
あの日の心だけを
自分の中に留めて

今この瞬間から

少しずつ
変えていくだけ

追い付いて
追い越してみせるだけ

冬眠

2007-12-26 01:40:29 | ある『物語』の断片
ふわふわな心も
踏み固められて
泥だらけになって
守り続けた色も
ぼやけてしまう

白と黒のコントラスト

でもそのうち
溶け出して
泥だらけのままでも
姿形を変えても

懐かしい仕草を残して
戻ってくるはずだよ

白と黒の中に

緑と黄色のコントラスト

改行の修正など

2007-12-20 13:17:51 | 連絡事項
「改行が多くて読み辛い」というご指摘があったため、
過去の作品の改行を修正しました。
もしまだ読み辛いようでしたら、お知らせ頂ければ幸いです。


追記:
12月分の作品の改行を再度修正しました。
あと、ブログのデザインも変更。

風船

2007-12-19 00:05:23 | ある『物語』の断片
無理しなければ
長く楽しめたはずなのに

欲張り過ぎて
膨らみ続ける世界

まるで他に選択肢など
元から存在しなかった如く

身の程もわきまえずに
あの星に届く日を夢見続けて
生き急ぐ少年の如く

パチンと弾けて
泥の中に投げ出されて
事を終えた後の虚無感の如く

そうした姿を
まるで待ち望んでいるが如く

膨らみ続ける欲望

セピア色

2007-12-18 16:29:56 | ある『物語』の断片
いつもと違う口紅の色
いつもと違う笑顔の色
いつもと違う瞳の色

それが意味するものを
気付かない振りをしたまま

その日が破滅するのを
気付かない振りをしたまま

今でも
忘れた振りをしたまま

古ぼけた電灯の
照明で浮かび上がる
何度も蘇る言葉と
醒めたコーヒーの色