ある『物語』の断片

『物語たち』は語り始める。

還らないもの

2007-11-02 13:17:05 | ある『物語』の断片
暖かい陽射しの中で
君の歌う声が聴こえる

か細くて
透き通るような
楽しそうな声

これが世界の終わりなら
捨てたものじゃないな

でも
本当に望むのは
別の形

瞼の裏に
あの場所が
フラッシュバックする

もう一度
違う結末を
イメージする

また
一から作り直しだ


――さよなら――


最後に
彼女はそう口にした気がした

僕は
顔を上げることができなかった

その言葉を聞いて
初めて

この世界を創り出したことを
後悔した