ある『物語』の断片

『物語たち』は語り始める。

後悔

2007-09-30 00:12:21 | ある『物語』の断片
傷付くことを恐れて、
とっさに思い付いた嘘。

やがて、それにも慣れて、
嘘が嘘でなくなり、
いつしか、自分自身も本当の出来事と見分けがつかなくなるほど
それは日常に溶けこんでいた。

そうだったはずだけど、
何気無い一言で
気付いてしまった。

積み上げてきたものが
壊れた。

そして、取り返しのつかない
その選択を悔いて

いつしか、僕はそこから一歩も動けなくなってしまった。

多義的

2007-09-24 12:42:15 | ある『物語』の断片
世界はたのしい
世界はかなしい
世界はうれしい
世界はせつない
世界はいとしい
世界はくるしい
世界はうつくしい
世界はみにくい
世界はまぶしい
世界はおそろしい
世界はすばらしい
世界はゆるせない

たぶん、どれもまちがってはいない
でも、どれも「正解」じゃない

それぞれの見る世界

「ただいま」

2007-09-21 00:05:54 | ある『物語』の断片
ここに来るのもいつ以来だろう

水筒の蓋を開けて
お茶を口の中に流し込み
一息つくと
五感が働き始めた

土のにおい
木漏れ日
蝉の叫び声
鳥の冴えずり



みどり

川の流れる音が
頭の中を洗い流してくれた

あぁ、戻ってきたんだな
誰もが、いつかは還るべき場所に