夜の7時を回った。パーク内にあるホテルで夕食を済ませたレイはようやくアトラクションの波に解放されて心から安堵のため息を漏らす。
「楽しかった?」
「まぁ。子供になった気分」
あの父親が明るい人間だったらここへ連れてきてくれただろうか。考えて、またため息。
「どうした?」
「ううん。こういうところっていい年した人もはしゃぎまわっていて、楽しそうで。素敵よね」
ガラスの向こうでは夜のパレードが始まっている。瞳に反射する光が綺麗だとはるかは思った。
「また、今度はみんなで来るか」
「そうね。でもしばらくはいいわ」
「そう?」
「えぇ。どうせ私はアトラクションには乗らないもの」
レイはわかりやすい。明らか引きつっているか、瞳が輝いているか。お気に召すものとそうじゃないものなんてすぐにわかった。でもイヤと口に出さないのだから乗るしかなかったけれど。
「あ、そうだ」
わすれないうちに。かばんから綺麗な包装紙に包まれた小さな箱を取り出したレイは
「一応、物もあげておかないと」
と言ってはるかの前にそれを差し出した。
「今日はもらってばかりだな」
両手で受け取ったはるかはリボンを解く。
中身はマニキュアだった。
「マニキュア?」
色はきつくない。うっすらしているかしていないかといったい色だろうか。とにかく綺麗な桜の色だ。
「えぇ。はるかさんつめ綺麗だけれど、していないでしょ?みちる…さんがしないのはわかるけれど。はるかさんがしたらいいんじゃないかと思って」
細かいところまでよく見ていることだ。それが単純に嬉しかった。
「サンキュー。つけてみちるに見せびらかすよ」
「どうぞ、ご勝手に」
視線がパレードへと戻る。それから二人は黙ってパレードを見送り、花火を見届けると静かに席を立った。
「楽しかった?」
「まぁ。子供になった気分」
あの父親が明るい人間だったらここへ連れてきてくれただろうか。考えて、またため息。
「どうした?」
「ううん。こういうところっていい年した人もはしゃぎまわっていて、楽しそうで。素敵よね」
ガラスの向こうでは夜のパレードが始まっている。瞳に反射する光が綺麗だとはるかは思った。
「また、今度はみんなで来るか」
「そうね。でもしばらくはいいわ」
「そう?」
「えぇ。どうせ私はアトラクションには乗らないもの」
レイはわかりやすい。明らか引きつっているか、瞳が輝いているか。お気に召すものとそうじゃないものなんてすぐにわかった。でもイヤと口に出さないのだから乗るしかなかったけれど。
「あ、そうだ」
わすれないうちに。かばんから綺麗な包装紙に包まれた小さな箱を取り出したレイは
「一応、物もあげておかないと」
と言ってはるかの前にそれを差し出した。
「今日はもらってばかりだな」
両手で受け取ったはるかはリボンを解く。
中身はマニキュアだった。
「マニキュア?」
色はきつくない。うっすらしているかしていないかといったい色だろうか。とにかく綺麗な桜の色だ。
「えぇ。はるかさんつめ綺麗だけれど、していないでしょ?みちる…さんがしないのはわかるけれど。はるかさんがしたらいいんじゃないかと思って」
細かいところまでよく見ていることだ。それが単純に嬉しかった。
「サンキュー。つけてみちるに見せびらかすよ」
「どうぞ、ご勝手に」
視線がパレードへと戻る。それから二人は黙ってパレードを見送り、花火を見届けると静かに席を立った。