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『プレゼントをあげる⑧』 はるレイ?

2006-01-27 21:23:43 | 創作・はるレイ
「遅くてよ」
ただいま、とインターフォン越しに聞こえたはるかの声にみちるは低い声で応えた。
『帰りの高速が混んでいたんだ。それより、ちょっと手伝って欲しいんだ。出てきてくれない?』
お土産でも大量に買ったのだろうか。ショールを羽織って仕方なく玄関の扉を開けて駐車場へと向かうと、はるかが人差し指を唇にくっつけていた。
「何?」
とっさに声を潜めてみる。
「起きないんだ。疲れきっているから抱いて連れて行くから。悪いけれど荷物を持って」
助手席にレイはいるらしい。ゆっくりと開いたドアを覗き込むと、ぐっすりと眠っている疲れた顔の幼馴染がいた。普段、こういうところで寝たりするような子じゃないから、疲れもピークなのだろう。しょぼしょぼと家に帰った美奈子が知ったら殴りそうだ。
「よっ」
ひざ下と背中に手を入れてそっと抱かれたレイは、そんなことじゃ起きませんという感じでスヤスヤ寝息を立てている。
「あ」
はるかの爪が綺麗な桜色をしていた。マニキュアだ。
「何」
「…」
とりあえず黙ってレイとはるかの荷物をかばんから取り出した。


自分の部屋に連れて行こうとするはるかを背中からにらみつけて、自分の部屋に寝かせたみちるは、言い訳だとかお土産話なんかを聞くのを明日に回して追い出した。何もしてないからな、と呟くはるかにそんな心配するだけ無駄だと言いたくなる。相手が別の誰かならともかく、レイなのだ。浮気心を持っていようともレイがお断りだろう。
「…しわになっちゃうでしょう、もう」
綺麗な服が台無し。髪留めを解いて、服を脱がそうと思ったけれどこれじゃ動いてくれない。
仕方がないのでそのままにした。ほたるよりもたちが悪い。疲れて熟睡なんてよほどだろう。案外すごく楽しんだ疲れかもしれない。そう思うと少し嫉妬する。付き合いの長い自分が一度も一緒に遊園地に行ったことがないのに、はるかにその権利を奪われるなんて。でも、いろんな意味ではるかが適任だったと思う。そこは嫉妬するけれどあの人には勝てない。
「お休み、ベイビー」
夢の世界でもアトラクションに乗っているのかしら。




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