大工の学校 

築き人(きづきびと)を志す、職業能力開発校の徒然日記
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成し遂げるために必要なこと(守破離とは)

2018年09月23日 | お知らせ
さてさて,わが校では朝礼に学生たちが3分間スピーチを順番に行っております。

当然,教員たちにも順番が回ってくるわけですが僕も自分の民間時代の経験談というか失敗談を披露したりしてました。(大抵失敗談ばかりですが・・・)

来週 一年生たちは市内を中心に各企業へインターンシップに行くことになり,いよいよ就活が始まろうとしています。

そこで,こんなメッセージを伝えようと思っております。(要するにスピーチの原稿書きということです)



守破離という言葉をご存知ですか?
これは茶道をはじめ華道や武道といった,日本に古来からある武芸の道の習得までの手順を現した言葉です。
しかし,人生という道においても同様です。

まずは「守」です。これは最初は先生や先輩の言うことを守り,真似るということです。一説ですが学ぶということばは真似るということが語源ともいわれます。

では,どれだけの期間「守」であり続けること必要なのか?という疑問ですが概ね10000時間です,これはその物事に真剣に向き合った時間です。

外国語や楽器の習得などのいわゆる習い事にも同じことが言えるようですが,仕事に関しても通じることだと思います。

10000時間を一日8時間労働に換算すると1250日です。 年間250日働くとして5年間となります。

卒業まで,2年間おそらく真剣に建築に取り組み これからも頑張っていくであろう皆さんのことですから,卒業してから3年間
辞めずにがんばれということには根拠があるということですね。

次に「破」です。破壊の破なので,少々物騒な言葉が習得に必要?と思われるかも知れませんが,これには理由があります。

いままで,型にはめるよう,はまるように10000時間頑張ってきましたが,それはすでに自分のものになっているということです。

それを守るのではなく,破り捨て超えていかなければ成長はありません。よく伝統を守るといいますが,それで無くなっていった伝統は数知れないものだと思います。

伝統は受け継ぎ常に新しいものを加え重ねていくことが大事です。
それは時に「型破り」といわれるかもしれませんが,枠を超え型を破った人間のみが成功しているのです。

最後に「離」です。これもあまりいい意味で使われる言葉では無いですよね。

「離」とはそれまでの道から離れ,独自の世界を築き上げるということです。例を挙げるとすれば柔術を柔道に昇華させた加納治五郎先生が有名でしょうか?

なぜ,術ではなく道なのか?
術とはそのことを成し遂げる手段です。目の前の課題をひとつづつクリアしていくために必要なことです。

建築でいえば,木を刻み,コンクリートを打つ技術そのものということでしょうか?でも道は違うわけです。

その人の人生をかけた家を建てる,みんなが便利となる橋を架ける。夢だったり幸せだったりその先にある目的のためにしているわけです。


少し話はそれましたが,これまで育ててくれた会社や先生・師匠を超え,離れていくということがお互いの成長に必要なわけですね。

それだけ「離」という言葉には責任があるということです。

最近ネットのニュースに若者の半数が離職を考えているそうです。それは転職サイトか何かが調べた結果なので離職を良しとする
ニュースを流すのは当然でしょう。

でも,その職を離れるということは,「守の五年」を経験し,型や殻を「破り」 師を超えることを行いましたか?
別の世界に飛び込むということは,また5年下積みから努力できますか?

もちろん道を引き返すことは大事です。でも人生のどこかで何かに我武者羅に頑張る10000時間を過ごした人だけが
その道をマスターできることだと思います。

その道が「大工道」や「建築道」だったらいいなぁ~




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