満飛のお仕事日記

総務・経理系のブログ

年次有給休暇についてのあれこれ

2010-02-03 09:11:10 | 社会保険・労働
THE・年次有給休暇
(1)繰越分と当年度分の年次有給休暇の請求の順位の定めはあるのか?
 年次有給休暇は、労働基準法115条により2年で消滅時効となります。
 実際に年次有給休暇を請求するにあたり、当年度発生分と前年度からのい
わゆる繰越年休とが混在している場合、どちらを先に請求することができる
かという点については、労基法上の定めはありません。したがって、労働契
約、就業規則あるいは労使協定で定めた方法によるものと解されます。

(2)年次有給休暇の買取
 法律で付与されるべき年次有給休暇について、事前に買取の予約をすること
によってその日数を減じないし与えないことは原則禁止です。昭和30年11月30
日基収第4718号によると「年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて
法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じ乃至請求された日
数を与えないことは、法第39条違反である」とあり、買取予約は次有給休暇の
取得を抑制するので、労働基準法違反となる旨を説明しています。年次有給休
暇は労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、ゆ
とりある生活の実現にも資するためという立法趣旨から当然のことといえるで
しょう。
 なお、労働者が年次有給休暇権を行使せず、その後時効でこれが消滅するよ
うな場合、残日数に応じて金銭の給付をすることは、事前の買取と異なるため、
必ずしも禁止されていません。また、退職時に未消化の有給休暇算日数を買取
ることも労働者の不利益になることはないため、違法とはならないでしょう。
ただし、どちらの場合も年次有給休暇の取得を抑制する効果を持たないように
しないと、基準法39条違反や136条違反となる恐れがあります。特に時効消滅し
た年次有給休暇の買取については、その請求権を阻害しないよう低価での買取
り、例えば平均賃金1万円の場合には、1千円でなどのような配慮が必要でしょう。
 この場合、規程のされ方にもよりますが、所得税法上は、時効で消滅する年
次有給休暇の買取制度については、給与又は賞与の取扱いとなり、退職時未消
化分の買取のみの制度の場合には退職所得として取り扱いとなるのが一般的で
しょう。

(3)年次有給休暇を取らなかった労働者に有利な賞与制度とすることの是非
 上記のような賞与制度は、労基法136条により違法となります。
 「実際に労働した者が、会社の利益に実際に貢献しているだろう」との考えか
ら賞与の算定の基礎に年次有給休暇を除いた実労働日を評価項目とする会社があ
ります。気持ちは十分にわかりますが、これは、労働基準法違反となります。違
法をならないようにするためには、年次有給休暇取得日を労働日として扱ったも
のを賞与算定の基礎とする必要があります。ですから、賃金規程または賞与査定
表により有給休暇を取得した労働者に不利な要因があることがわかるようなもの
は、労働基準法違反が明確となります。