満飛のお仕事日記

総務・経理系のブログ

解雇無効に伴う解決金の税金

2009-06-17 15:18:41 | 税法
(1)事案の説明
 労働者が解雇され、その解雇が無効だということを訴え、その訴えが聞き入れら
れた場合、解雇された日から解決の日までの給与相当額が支払われることがありま
す。
 この訴えは裁判でも労働審判でも労働局の紛争調整委員会へのあっせん申請でも
基本的には同じです。

(2)解雇が無効になるとなぜ給与相当額が支払われるか
 訴えとしては、解雇が無効つまり、今でも従業員であるという「地位の確認」を
します。解雇無効が認められると、労働を提供することができたのに、会社のせい
でそれを履行できなかったため、労働の提供の反対給付である給料を請求できると
いう理屈だそうです。
 
【民法536条2項】
(債務者の危険負担等)
 第五百三十六条  前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰するこ
とができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者
は、反対給付を受ける権利を有しない。
 2  債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなっ
たときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己
の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければな
らない。


(3)上記給与相当額に所得税は課税されるのか
 給与相当額であれば給与所得として課税するのが正しいと思われます。
 その他に、解雇無効に伴う解決金や和解金などという名称で支払われる場合は、
次のように取り扱われます。

 ①給与及び賞与に相当するもののうち、期間的又は金額的に支給されていない
  部分の補てんと認められるもの……給与所得
 ②遅延利息に相当すると認められるもの…雑所得
 ③総額から上記①、②の合計額を控除したもの
  イ 不当解雇に基づく精神的苦痛に対する慰謝料等……非課税所得
  ロ イ以外のもの……一時所得
 
【所法9①十六】 損害保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(こ
れらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資
産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの


定年後に再雇用された場合の有給休暇

2009-06-02 10:35:38 | 社会保険・労働
(1)基本的な考え方

  定年後に再雇用された場合の有給休暇については、再雇用前からの勤続
 年数に基づいた年次有給休暇が付与されます。

  ----------  
  (根拠:昭和63.3.14 基発150号)
  【継続勤務の意義】
   継続勤務とは、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいう。
   継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断すべき
  ものであり、次に掲げるような場合を含むこと。この場合、実質的に
  労働関係が継続している限り勤務年数を通算する。
    イ 定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用してい
      る場合(退職手当規程に基づき、所定の退職手当を支給した
      場合を含む。)ただし、退職と再採用との間に相当期間が存
      し、客観的に労働関係が断続していると認められる場合は、
      この限りでない。
    (以下、略)
              -------------------
 (2)いつ付与されるか
   特段の規定がない限り、継続的に雇用されていたとみなした場合に
  よる付与日に付与されます。
   例えば、毎年4月1日に付与している場合で、6月30日に定年退
  職、7月1日に再雇用の場合は、翌年の4月1日に継続勤務されてい
  たとみなした場合の日数の有給休暇が付与されます。もちろん6月30
  日現在の残日数も時効になるまでは、引き継がれます。

 (3)有給休暇の消滅時効
   直接は関係ありませんが、覚書として・・。
   有給休暇の時効は特段の定めがないかぎり、2年です。
   根拠は労働基準法第115条