快読日記

日々の読書記録

読了『レベレーション(啓示)1』山岸凉子

2016年01月28日 | 漫画とそれに関するもの
1月27日(水)

山岸凉子の新作『レベレーション(啓示)1』(講談社)を読んだ。

主人公はジャンヌ・ダルク。
処刑されるジャンヌが過去を回想する形で語られる。
ややこしい歴史事項に関する簡潔な説明がわかりやすくてうれしい。

そして、なによりいいのは、要所要所に“現代の視点”が入るところ。
例えば、啓示を受けたというジャンヌの告解に対し、司祭が「神の声やお姿を見たという(略)者たちには共通した面がある/“逃げたい現実”…/を持っていた!」と語る場面。
引きが強い神憑りの場面なんて特にグイグイ行ってしまいそうなところを、こういう冷静で分析的なセリフがぽんと入る。
そうすると物語が多面的かつ立体的になって、味も複雑に、さらにコクがでる。
ただの“歴史物”ではなくなる。
山岸凉子のうまいところでもあるし、漫画ってこういう表現に向いてるメディアだなあ、と感服しながら就寝。