快読日記

日々の読書記録

読了『総特集 坂田靖子~ふしぎの国のマンガ描き~』

2016年03月19日 | 漫画とそれに関するもの
3月18日(金)

坂田靖子の作品を「紅茶の味」と表現していたのは高橋源一郎だった。
今の漫画家はコーラだったりアンバサ(懐かしい)だったりする、すっきりかつ深みがある坂田靖子は紅茶だ、みたいな話だった。
なるほど~と激しく同感して、以来、印象が変わらない。
じわじわ好きになって、飽きがこない。

昨年がデビュー40周年なんだそうで、『総特集 坂田靖子~ふしぎの国のマンガ描き~』(河出書房新社)を読み終わる。

大島弓子同様「一度姿を見てみたい漫画家」だったんだけど、なんと若かりしころ萩尾望都と並んで撮った写真がでていてドキドキする。
確かに自画像に似ている。

驚くのは伝説の同人誌『ラヴリ』の話。
仕事云々関係なく、とにかく漫画を書く!というのがすごい。

萩尾望都の「誰にでも描けそうで描けない」とは坂田靖子の特徴をズバリ言い当てたいい表現だと思う。

坂田靖子の漫画でいつもハッとするのが、広い空間の描き方だ。
本当に視野いっぱいに広がる。
あれは一体なんだろうとかねがね思っていた。
海外旅行なんかによく行くんだろうなあ、という予想は大はずれ。
一度も行ったことがないんだって。
あのイギリスもあのアジアもイマジネーションで描いている!
だからこその名場面なんだなあとうっとりする。

萩尾望都にあてたファンレターや作品リスト、坂田作品を取り上げた批評の再録なども充実。

カバー外すと現れる表紙もめちゃくちゃいい。