快読日記

日々の読書記録

「週末、森で」益田ミリ

2011年09月15日 | 漫画とそれに関するもの
《9/14読了 幻冬舎 2009年刊 【漫画】 ますだ・みり(1969~)》

名作との誉れ高いこの作品、帯にも「共感度120%」「アラサー、アラフォーの胸をワシづかみ」と書いてあります。
それは楽しみじゃ。
でもこれ、心をワシづかみ、って言いたかったのかな。
ちょっと心配になるけど期待は高まります。

ある日突然、東京のアパートを引き払い(その理由が面白い)、都心からそんなに離れてなさそうな田舎に引っ越した早川さんと、そこへ遊びに来る都内在住の友達(せっちゃん、マユミちゃん)の話。
3人とも30代半ばの未婚女性で、仕事を持っています。
で、この早川さんの口から湧き出る名言・格言がいちいち素晴らしいんです。
たしかにそうだなあ、とは思うんですが、
早川さん、語りすぎじゃね?
そんなに達観しなくてもいいんじゃね?
自分だけ涼しそうな場所から言ってね?
と、わたしみたいなひねくれ者は思うわけです。

わたしが共感したのはむしろ、せっちゃんとマユミちゃん。
ああ、口に出すことはないけど、みんなこういうことで悩み、傷つき、心中で毒づいてるよね、と肩のひとつもたたきたい気持ちです。
2人は職場でムカついた後、早川さんのご神託を思い出し、「そうだよね」と切り替えて、自分を励まし、折り合いをつけていく。
この2人にはかなりシンパシーを覚えます。
そして、この作品の読み方としては、それでいいんじゃないか、と思うんです。
誰もが早川さんになれるわけじゃないんだから、結局みんな浮き世であちこちに頭をぶつけたり膝をすりむいたりしながら年を取っていくわけで。
そしてそれでいいわけで。

だから、共感度120%かどうかはともかく、友達の話を聞いてるようなリアリティと等身大っぷりがよかったです。
この作品、若い女の子や、50代以上の先輩女子、そして男性はどう読むのか、少し聞いてみたい気もします。

/「週末、森で」益田ミリ
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