快読日記

日々の読書記録

「おろち-楳図かずおの世界-」

2012年07月07日 | 漫画とそれに関するもの
《7/6読了 小学館集英社プロダクション 2008年刊 【映画「おろち」 楳図かずお】》

「楳図かずおの傑作を、原作/映画の両サイドから徹底解説!」(帯より)

こんな本があったんですね~。知らなかった。2500円もする。
図書館で見つけ、後半の楳図インタビューと、楳図による「おろち」全話解説が目的で借りたんですが、
映画「おろち」の出演者・監督・脚本・美術・音楽の担当者へのインタビューが収められている前半も刺激的でよかったです。
この作品を映画にするんだ、セットを作るんだ、音楽をつけるんだ、とかいう立場から読むと、また数段深く濃く、そして多角的に読めるんですね。
映画は第1話「姉妹」と最終話「血」に基づいて作られているんだそうで、ちょっと見てみたくなりました。
木村佳乃好きだし。
(何かのドラマで男に絞殺される場面で彼女が発した「ぐへぇっ」という凄い声を聞いて以来)

「楳図作品の人間というのは、一つの独立した人格ではなく、外側に漂い出してしまう無意識みたいなものも含んだ上での存在だと思うんですよ」(41p 脚本家・高橋洋)

監督が決まる前にすでに脚本ができあがっていたという“楳図愛”なエピソードにもしびれますが、この脚本家が監督に言った「この作品はいびつで良いんですよ」というセリフも最高。
そりゃそうだ。だって人間ってのがそもそもいびつなんだもん。
そのいびつっぷりを、ときに爆発的におもしろく、ときに涙目になるほど恐ろしく、容赦なく描くのが楳図かずおなんだから。
人間を見つめる目が意外なほどクールで、情けや慈悲があまり感じられないところも特徴だと思います。

とりあえず「おろち」読み直してみなきゃ。

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