久し振りの更新になってしまいました(^_^;)。
2週間ほど前のことです。
「子供の声が大きいから注意するんだけど、どうしても小声にならなくって……」
私がふとこぼすと、その方は言われました。
「耳、ちゃんと聞こえてるの?」
一瞬「え? まさか」と思いました。こちらの言っていることは子供に通じているし、ちゃんと的確な答えも返ってきます。まさか聞こえていないなんて、私は考えもしませんでした。
「一度、きちっと調べてもらったら? 耳の奥に耳あかが溜まってるのかもしれないし」
子供は魚鱗癬で耳あかが溜まりやすい性質なので「それもそうだ」と思い、耳鼻科で耳あかを取ってもらい、きっちり聴覚を測ってもらうことにしました。
予想通り、右耳から超巨大な耳あかが出てきました。しかし左耳は全く溜まっていませんでした。あれあれ不思議。左耳だけ、家でちゃんとほじれてたのかな?
その後で聴覚の検査がありました。音が聞こえたらボタンを押すっていう、例のアレです。
「ひょっとして、テレビの音も大きいんじゃないですか?」
ふいに医者に聞かれたので、私は咄嗟に頷きました。
「そうです、そうです。音を大きくしたがるんです」
医者は「いいところに気がつかれましたね」とおっしゃいました。
「声が大きい、テレビの音を大きくする……こういう時は、耳が聞こえにくくなっている怖れがあります。ちょっとした行動にも注意を払う、これは大事なことなんですよ。よく気づかれましたね」
気づいたのは私じゃないんですけどね、とは心の中だけで呟くことにする私。しかし、医者がそのようにおっしゃるということは、何かあったということなのでした。
医者はパネルに検査結果のグラフを差し込んで説明して下さいました。
「ここを見て下さい。健常者は10~20Hzで反応するのですが、この子は30Hzで反応しています」
検査の結果、子供は高音と低音が聞き辛い状態であるということが分かりました。
原因は鼓膜のたわみ(へこみ)です。通常、鼓膜は太鼓の皮のようにピンと貼っているからこそ、よく音を拾うことができます。ところが鼓膜がたわんでしまうと、音を拾いにくくなってしまうのです。
「この症状は、学校の検診でも発見できないことが多いんですよ。本当によく気づかれましたね。いつからなっているのか分かりませんが、幸い軽症ですよ」
医者はしきりに感心していました。
「どうして鼓膜がへこむんですか?」
疑問が湧いた私は医者に尋ねました。
「ほら、電車や車でトンネルに入ると、耳がツンとなるでしょ。この子の耳は、常にあの状態で鼓膜が内側に引っ張られているのです」
例を交えながら、医者は丁寧に教えて下さいました。
「元凶は鼻ですよ」
「耳じゃなくて、鼻ですか?」
私の頭は?マークでいっぱいになってしまいました。医者はにっこり笑って「ええ、鼻です」と繰り返しました。
「この子は、鼻が悪いですね」
「はい。アレルギー等でいつも鼻水が出ています。でも、なかなかティッシュで鼻をかもうとしないんです」
「それですよ」
医者は言います。いつも鼻が詰まっているから、空気が鼻に抜けない。だから鼻とつながっている耳の鼓膜がツンと張ってくぼみ、結果たわんだ状態になってしまうのだと。
「鼻を治療すれば、個人差はありますが1ヶ月ほどでよくなるでしょう」
治療すれば治る、と聞いて私は胸を撫で下ろしました。魚鱗癬のように先天的なものだと治しようがないのでは、と不安になっていたからでした。
ところがところが。
鼻の薬はおいしくないので、以前は全く飲んでくれませんでした。悩みを医者に打ち明けると「アイスや牛乳と一緒なら、苦みが包み込まれてマイルドになりますよ」というアドバイスを頂きました。
どうにかこうにか牛乳を用意しまくって薬を飲ませたおかげか、まめに鼻をかむよう促したおかげか、次第に子供の鼻づまりは改善されていきました。一週間後に医者に行くと、「見た目はほとんど治っていますね」と言って頂くことができました。
よかった~。
しかし子供の声は相変わらずでかいのでした。この子の声のでかさは、ひょっとして聴覚と関係ないのかも!?
……どうなんでしょうね。
ともかく完治したわけではないし、また鼻が詰まって鼓膜がたわんでしまうといけないので、まだ安心はできません。
「夏は治療が不要なお子さんも多いですよ」
医者にはこのように言って頂いたので「もう来院しなくていいよ」と言ってもらえるように頑張ろうと思います。
さて、ここで振り返ってみて下さい。お宅のお子さんはどうですか?
異常に声が大きくないですか? 注意したら小声になれますか?
やたらとテレビの音を大きくしようとしませんか?