ときぐろ日記

●ときぐろの育児日記。主に、アトピー+魚鱗癬を持つ「うちの王様」ユウの日々を書き留めています。

リニューアル「ときぐろCaLife[カライフ]」公開しています

2019年12月12日 02時04分44秒 | 育児

さてさて。

忙しさにかまけて、こちらは1年振りの更新となります。
何してたんだ私!
書きたい事は色々あるんですけどね。

もし更新を待っている方がいらっしゃったら、本当にすみません(いや、誰もいないでしょうけど)。

実は「ときぐろ日記」リニューアルを考えておりました。
ジャン! それがこちら。 

 

「ときぐろCaLife[カライフ]」http://tokiguro.com

 

 息子が生まれた当時の記事は本当にただの日記で、まとまった流れになっていません。おまけに空白の5年があったりするので、「ときぐろCaLife[カライフ]」はちゃんと系統立てて語っていこうと思います。

近況も入ると時系列はぐちゃぐちゃになるかもしれませんが、細かい事は気にしないという事で。 

まぁ呑気でズボラな生き方は何も変わらないので、人様の役には立たないかもしれませんが「肩肘はらず、気楽に病気と生きようぜ」的な空気が伝われば幸いです

それでもって、同じ病気で悩んでいらっしゃる方の心が楽になればいいなぁ……と(希望)。
ときぐろの雑記も今まで通り挟まる予定です(誰得?)。 

サイトのお引っ越しなんて大作業は私にゃ無理ゲーですし、執筆当時の雰囲気を残す意味も込めてgooサイトに置いておきます。消去する記事は出てくるかもしれませんけどね!

新サイトは割と自由にページが組めるので、写真やマンガなんかも挟めたらいいなぁ、と色々構想中です(だがしかし、最近ツイートばかりしててブログを書いていないという)。

 

そう、Twitterも始めたんですよ。気が向いたら無意味に呟いています。https://twitter.com/b0gjnrhk986fw6v

「ここに一主婦の私が混ざってていいの? 」というくらい、現在は大学生企業家達に囲まれています(笑)。あぁ若返る。
副業でライター・デザイン稼業をしているせいかな?

amazonの電子書籍(Kindle本)で、ちょっぴりオトナ?!なファンタジー小説『囚われの旅人は娘ではない[はみだしW-WOLF]』も販売しています。

こうしてみると、この1年、色々活動しているような気もしますね。錯覚かもしれませんが。

 

おかげさまで息子は公立高校に合格し、毎日ちゃんと登校しています。今のところ、春から1週間程度しか学校を休んでいません。
体調が悪くプールを休みまくって1単位落としかけた時は、ヒヤヒヤしましたけどね( ;´Д`)。

無事進級できるといいなぁ。ていうか進級してちょーだいっっっ!

というわけで、これからも温かい目で見守って頂けると嬉しいです。
「ときぐろCaLife[カライフ]」も、どうかよろしくお願い致します。


魚鱗癬の息子が高校受験……( ;´Д`)オロオロ、とりあえず塾

2018年12月10日 00時40分28秒 | アトピー・魚鱗癬

 皮膚のトラブルやアトピー・喘息、そして数々の感染症。
 魚鱗癬の息子が生まれてから色々振り回されてきましたが、気がつけば中学3年生の冬になってるじゃありませんか!

 提出物は出さないし、ノートは人間に理解できない宇宙語がちょろちょろ。本人いわく「面倒くさい」。テストの点もよくないけど内申点は輪をかけて低いという現実。
 しかも息子は魚鱗癬と喘息で病弱なので、1年間あたり総合計1ヶ月以上は確実に学校を欠席しています。
「あ、ここの単元習ってないねん。休んでる間に終わったみたいやな。教科書読んでおいたわー」
 こんなことザラですよ、ええ。
「どうする?この状態……公立高校目指してほしいんだけど……」
 中学3年間に積もり積もって、高校入試を前に青ざめる日がやってこようとは!

 ひとまず、塾代助成費の制度を利用して息子が塾に通い始めたのが中学3年生の夏(それまで塾に行くのを嫌がっていました)。
 個別指導でどの教科でも教えてもらう事が可能な「アップ学習会」を本人が気に入ったので、ここに決めました。チャレンジみたいに「ポイントためたらプレゼントゲット!」っていう制度があったのも大きいですね。
「習ってない単元で教科書読んでも分からんところはな、先生に言ったら教えてくれるねん」
「ほほう」
「テストの前日とかもな、理科やりたいって言ったら教科を変更してくれたわ」
「ほほほう」
 英語と数学しか教科選択してないけど、柔軟な対応だなっ!

 息子のように病弱で学校を休みがちな子供には、「アップ学習会」のような学習スタイルが合っているのかもしれませんね。

 ちなみに毎回のテスト結果は、同じ教科でも30点代が70点代になって再び30点代に戻ったりします。かと思うと次は60点代だったり。
「いっつも点差が激しすぎやろ。何コレ……」
「ほら、テスト範囲によって得意不得意があるやん?」
 そうかもしれんけど…息子よ、君の実力は一体どこを基準にしたらいいんだ?
 点数だと分からないので偏差値で確認。
「うん、中の下か! 多分ねっ!!」

 おい。公立大丈夫か?

 塾の効果があるのかないのか分からないし、学校の提出物も出さないなら塾はやめさせようかと思ったのですが。
「家では全然勉強せえへんからな。塾に行ってる間だけでも勉強するから、塾は続けた方がええんとちゃう? 学校の課題優先やけど」
 主人のお母さんがそうおっしゃるので、塾は続けることになりました!

 よく考えたら、息子の高校受験に対するモチベーションが上がったり、テスト結果に対する焦りが生まれたのは、塾に行き始めてからなんですよね。心理面では特にいい効果を得ていることに気づきました。
 それに塾でも個別面談があって、あくまでも本人の意思尊重ですが、偏差値や内申点を元に高校選びもサポートしてくれます。その後で学校の進路個別面談に出かけたらスムーズでした。



 点数どうこう、偏差値や内申点どうこう。色々ありますけども。
「つーか試験当日、元気に試験が受けられるのか?」
 これが一番の心配事です。
 息子は春と秋に体調を崩しやすいので、3月に実施される公立高校試験日はヤバいのです。はらはら。
 やむを得ない場合は別の日に受験可能(大阪府)ですが、一般試験より問題が難しくなるそうです。
 そ、それは避けたい。低い点数が更に低く……ひょぇぇぇっ!

 息子よ。
 ゲームしながら、落屑しかけの皮膚をむしってる場合じゃないぞ。

 って、そんなことしたら皮膚の割れ目から菌が入ってまた感染症にかかるやん。「あっ、血出た」とか平然と言ってる場合じゃない。やめて〜!! 

 息子は今日もマイペースです。 


 
 


ゆで卵の中華あんかけ=危機的状況から生まれた特価レシピ=

2018年11月02日 15時46分52秒 | お手軽レシピ

ゆで卵に中華の甘酢あんをかけたら美味しいんじゃないか……。
しかも安い!

そう思って作ったのがこのレシピ。
案の定、めちゃめちゃ美味しかったです。

うん、これはリピ決定だな!

作り方や分量は……ごめんなさい、かなり適当です。
それっぽい味になればいいのです!


写真のゆで卵が何故こんなお月様になっているかというと、これはたまたま偶然なんです。

実は、この前特価で買った卵1パック。自転車の揺れでヒビが入ってしまいました。
オールヒビですよ! オールヒビ(しくしく´д` ;)。

ああ、ブラックヒストリー……。

そこで「卵を消費せねば!」状態に陥り、卵巻きやら炒り卵やらしたのですが、ひび割れのマシな卵を「えーい、レシピが思いつかん。ゆで卵にしちまえ!」とめんどくさくなって茹でてしまったのでした。
すると案の定、卵の中からぽわっと白身がはみ出してしまい、殻を剥くとこぉんなお月様に……。
まぁ、かわいい(?)からいっか。


↓↓↓↓↓はい、気をとり直して作り方は下記の通りです。↓↓↓↓↓

ゆで卵の中華あんかけ

【材料】2〜3人前
・ 卵    2〜3個
・もやし 1/2袋
・人参   1/5本
・すりごま 適宜
・しょうゆ 適当
・酢    適当
・砂糖   適当
・片栗粉  大さじ2くらい?
 ・水    150〜200mlくらい?
※しょうゆ・酢の代わりにポン酢を使ってもOK!
※もやしの代わりに玉ねぎを使ってもOK!



1.卵はゆでて半分に切り、少し深めの皿に盛ります。
2.もやしはざっと洗い、人参は短冊切りにします。
3.フライパンに油を引いて熱し、人参を中火よりちょっと弱めの火で炒めます。つぎにもやしを入れて強火でさっと炒めます。
4.具材に火が通ったら水を加え、しょうゆ・酢・砂糖を混ぜて味を整えます。
5.GOODな味になったら、少量の水(分量外)に片栗粉を溶いて、フライパンの中身をかき混ぜながら回し入れます。そのまま混ぜて中火で煮沸したら、すりごまを振って軽く混ぜます。
6.皿に盛った1.のゆで卵に甘酢あんをかけて完成です。


魚鱗癬+喘息+アレルギー+…=息子の持病。

2018年05月13日 12時16分59秒 | 育児

 1月終わり頃のこと。学校から職場に連絡が入りました。

「保健室のKです。5時間目の授業中、ユウ君が頭痛と腹痛、吐き気を訴えて保健室に来ました。顔面蒼白だったのですぐトイレに行かせると嘔吐しました。今は保健室で寝ています」 
「はい? 」
 私は頭が真っ白になりました。
 そういえば今朝、息子が「ちょっと気持ち悪い」と言いながら家を出て行ったことを思い出したからです。

 あああ、やっぱり体調が悪かったのか。学校に行かせるべきじゃなかった……。

「喘息は? 喘息は出ていますか?」
 気になるのはやはりそこ。
「いいえ。喘息は出てませんし、ゼイメイもありません。熱もありません」
 保健室の先生はテキパキと状況を説明してくれました。
「ただ……」
「ただ?」
 私はハラハラしながら先生の言葉を待ちました。
「激しい頭痛と吐き気が続いています。今すぐ迎えに来れますか?」 
 キター! やっぱりそうキタか。
 駆けつけたい気持ちはMAXですが、どんなに急いでも学校まで1時間はかかります。その旨を言うと、保健室のK先生はきっぱりとおっしゃいました。
「1時間ですか。ユウ君の痛みが激しいのでそんなに待てません。救急車を呼びます」 
「救急車……」
「はい。呼びますから、保険証を持って直接病院に来て下さい。搬送先が決まったら携帯に連絡します」 
「分かりました。お願いします」


 私は電話を切ってすぐに職場を出ました。 
 電車に揺られること数十分。悲観的な妄想がたくさん頭をよぎりました。
「また変な感染症にかかったんかな。去年も謎の病気で3週間も学校休んだし……」
 第一に思ったのがそれ。
 息子は魚鱗癬という遺伝性の皮膚疾患を持っていて、皮膚がひび割れているせいで感染症にかかるリスクが高いからです。
「実は頭を打ってて、内出血とかでその後遺症が出てきたとか?」
 ありそう。病弱なくせに元気が有り余っているから、いかにもありそうです。
「まさか脳腫瘍ができてて、脳を圧迫して嘔吐に至ったとか……」
 知り合いの息子さんが脳腫瘍で亡くなっているのです。他人事じゃありません。


 息子が救急車で運ばれたのは、いつもお世話になっている府立病院でした。ここなら診察券もあるし息子のカルテもあります。
「すみません。遅くなりました」
 私が府立病院の救急窓口に駆けつけた時、息子は救急のベッドに横たわって点滴を受けていました。K先生も一緒です。
「お母さん。ユウ君、痛み止めの点滴で大分元気になりましたよ。採血して結果を待っているところです」
 先生に手招きされて駆けつけると、息子はいつも通りに声をかけてきました。
「あ、お母さん」 
 しんどい感じじゃない。確かに落ち着いてて息子は元気そうです。
 私は少しホッとしました。 
「朝からしんどかったん?」
 息子に声をかけると、息子は洪水のごとくしゃべり始めました。
「なんか目の奥が痛くて、5時間目の理科の時めちゃくちゃズキズキして頭痛かってん。視界がぐにゃって歪んでな」
 で、保健室に顔出してからトイレに駆け込んで嘔吐。ベッドで休み、救急隊が来た時にもう一度嘔吐。
「吐いたら楽になったわ」
 息子の視界がおかしくなるのは、小学六年生頃から時々ありました。 今回は視界の一部分だけがぐにゃぐにゃと動いて見えたそうです。
「それは閃光暗点です」
 府立病院の先生がやってきて教えてくれました。
「偏頭痛の兆候として現れることがよくあります」
「え、偏頭痛……?」
 じゃあ息子は偏頭痛で嘔吐し、救急車で運ばれる騒ぎになったってことですか……。
「そうですね。血液検査に問題はありませんし、もし脳の内出血なら、この程度の痛み止めでは効きませんので」
 私、偏頭痛をなめていました。偏頭痛ってこんな大変な症状が出ることもあるんですね。
 友人の偏頭痛はここまでじゃなかったので、正直びっくりしました。
「もし痛みが続くようであれば、また受診して下さい。万が一ということもありますので」
 

「私も偏頭痛持ちだったんですよ」
 保健室のK先生がそう教えてくれました。
「だった…てことは、治ったんですか?」
「ええ。大学生頃から発作が出てませんし」
 治るんですね、偏頭痛って。 
 K先生は偏頭痛について色々教えてくださいました。
 発症したらその後は発作が出る恐れがあるので、常に痛み止めの薬を携帯した方がいいということ。
 ストレスや天気の変化等でも発作が起こる場合があるということ。発作の程度や頻度は人それぞれだということ。
 そして、学校にも何人か偏頭痛持ちの子供がいるということ。


 しばらく様子を見てから息子は帰宅OKになりました。
 よかったよかった。
 けど、帰りのバスで私は溜め息を一つ。
「魚鱗癬と喘息持ち(アレルギー体質)の上、今度は偏頭痛が追加か……」
 すっかり元気になった息子は、にこにこと私に聞いてきます。
「お母さん。喘息の薬と痛み止めの薬ってさ、一緒に飲んでも大丈夫なん? 家にサリドンあるやんか」
「あー、それ小児科の先生に聞かなあかんね」 
 自分の背負う病気の多さに悲観とかしないのね、あーたは。 


 で、それから約3ヶ月が過ぎ。 
「お母さん、花粉なんとかして花粉。鼻水止まらん!」
「マスクしとき。花粉症の薬も飲んどきっ」
「お母さん、今日喘息酷いかも……学校ムリ」
「ほな府立病院に行くで」
 春になって、花粉症と喘息に悩まされる息子の姿がありました。それと、魚鱗癬の鱗のような硬い皮膚を無心にむしる息子の姿も……。
「それはやめてや〜! 皮膚むしったら、その傷口からバイ菌が入って感染症になるんやで!」
「大丈夫やって。下に新しい皮膚がちゃんとあるから。無理にむしってへん。これ、いい暇つぶしやねんな」
 ……その姿美しくないからね? クラスのみんなが見たらドン引きだからね?

 あ。
 ちなみに、偏頭痛の発作は今のところ起きていません。


↓↓↓
息子の語り。音量が小さいので、聞ける方はどうぞ。



リンパ節炎で大騒ぎ

2017年11月22日 05時40分56秒 | 育児

「お母さん起きて。早く起きて!!」
  息子の緊迫感漂う声に揺すぶられ、私ははっと目を開きました。
 火事? ただならぬ事態?
「どうしたん」
 寝ぼけ声で尋ねると、息子は焦ったようにまくし立てました。
「しこりがあんねん。押したらめちゃ痛い。俺ガンかもしれん! 死ぬ! 明日医者連れてって!!」
 な、なんやて〜!
 深夜。私の予想とは別の意味で、ただならぬ事態に陥っていました。
「どこ? 見せて」
「ここ。右側だけぼこって盛り上がってるやろ。左側は何もないし痛くないねん」
 息子が指し示したのは右鼠蹊部でした。確かに、素人目にも分かるほど盛り上がっています。
 触ろうとすると……。
「痛いから触らんといて」
 息子に拒否され、「そんなに痛いのか」と思って触るのをやめました。 
「いつ気づいたん?」
「今」
「まず熱計ろう」
 熱はなし。喘息は…ちょい出てるかな。
「じゃあ、明日病院に行こな」
「うん」
 パニック状態から立ち直った息子は一つ返事でうなずきました。


 息子には冷静に対応したものの、私は内心ヒヤヒヤしていました。
 で、思わずスマホで検索。
「ユウ、そこリンパ節が通ってるからリンパ節炎かもしれんな」
 ちなみに、息子の左耳の後ろには1ヶ月以上前からしこりがあります。押しても痛くないので放置していましたが、ついでに検索してみると。
「ここもリンパ節っぽいなぁ。何?! 痛くないしこりの方がヤバイって?」
 多くのしこりは良性だけど、悪性リンパ腫の恐れもあるらしいのです。
「マジかっ」


 翌日、仕事帰りに個人医院に駆け込むと。
「リンパ節炎ですね」
 横たわった息子の鼠蹊部を診察しながら、先生は息子に向かっておっしゃいました。
「しこりが二つあるでしょ? リンパに菌が入って、これ以上体内に侵入するのをブロックしているから腫れるんですよ」
「そうなんですね」
 一丁前に対応する息子。
「リンパ節炎には様々な原因がありますからね。風邪菌やウィルス、もしくは別の病気。原因をつきとめようと思ったら、大きい病院で検査しないと分からないです。それに、リンパ節炎が治るのには少し時間がかかります」
 この時点で息子の体温が37.2度に上昇していたので、ひとまず抗生物質と鎮痛薬で様子を見ることになりました。



 薬を飲んで2日くらいすると右鼠蹊部の腫れが少し引いてきました。思わぬ副産物で、耳の後ろのしこりも小さくなってるじゃありませんか。
 息子は魚鱗癬で皮膚が割れているので抵抗力がなく、すぐ感染症になってしまいます。今回の大騒動も感染症が原因のようで……。 

 リンパ節炎自体は人に移らないので、熱がないことを確認して学校にもGO。
「腫れが大分引いてきてますね。抗生物質が効いたようです」
 再び医院を訪れ、もう一度抗生物質と鎮痛剤で様子を見ることに。

 数日後。
「お母さん、起きて」
 私はまた息子に揺り起こされました。
「今度は何?」
 また体調が悪くなったのか。私はヒヤリとしました。
「降臨ボス来てるからスマホ貸して」
「はぁ?」
 なんとアプリゲームの話。
「1時間しか降臨来ぇへんねん。だから早く!」
 息子にとっては大事なことなのかもしれませんが。
「さっさと寝えや!」
  私が布団を被りなおしたのは言うまでもありません。


 更に数日後。
「ゴホゴホッ。しんどい」
 今度は主人が風邪菌に感染しました。 




母の身長、遂に越す

2017年08月29日 00時35分02秒 | アトピー・魚鱗癬

 息子は現在中学二年生、尋常性魚鱗癬を持っています。
 皮膚がツルツルのスベスベになるので、息子は「夏が好き」と言います。

「お母さん、もう皮膚がザラザラになりかけてるわ」
 夏休みの終わり頃、息子はTシャツの袖をめくって上腕を突き出しました。
 鼓笛隊の練習に本番、キャンプと炎天下の中で動き回っていた為、皮膚は別の意味で真っ黒。健康的な色で何よりですが、皮膚には魚鱗がうっすら浮き出ていました。
「涼しくなってきた証拠やなぁ」
 相変わらず、息子の肌の調子で季節を感じる母です。

 余談ですが、おばあちゃんにもらったやずやのプルーンぷるーんコラーゲン
「ユウには内緒ね。これは女の子だけ」
 そう言われてこっそりもらったのですが、冷蔵庫で冷やした瞬間、息子にバレてしまいました。
「ふんふん、一日三本か」
 説明書(?)を読んだ息子は、その日から律儀に一日三本「やずやのプルーンぷるーんコラーゲン」を食べ始めました。
「オイッッ、それは母がもらった物やで。なんであんたが食べとるんやっっ」
 心の狭い私はもちろん突っ込みます。
「でもお母さん、この肌見て! これ食べ始めたら急にツルツルになったわ。凄いで! このゼリー」
 自分の腕を撫でながら、目をキラキラさせて効果の実感を語る息子……。
「まっ、いいけどさ。食べすぎたらあかんで」
「ちゃんと一日三本守っとるで」
 ……それ以上何も言えない私でした、はい。 




 最近、息子に身長を追い抜かれました。
「ちょっと待って、俺の方が高くない?」
 夕方家の中で立ち上がった時、息子がふっと気づいたのです。
「ウソ〜ッ」
 なかなか身長が伸びなくて心配していたのですが、ま、まさか本当に?!
「お母さん、ちょっと背筋伸ばしてや」
「うん」
 息子に言われるままピンと背筋を伸ばすと、息子も同じように立ちました。
「ほら、ちょっと俺の方が高い」
 ドヤ顔で息子は笑いました。本人が一番低身長を気にしていたので、よっぽど嬉しかったみたいです。
「大きくなったなぁ」
 しみじみ息子の頭を撫でると、息子は私の手をすり抜けてしまいました。
「やめてや〜。自分より身長高い奴の頭、撫でるとかさぁ」
 おっ、なんか照れてる…… 。
「でもお母さんは小さい方やからなぁ。お父さんくらい大きくなれるといいなぁ」
 次の目標を提示すると、息子は首を傾げました。
「お父さんは…大っきいからなぁ」 
 あ、無理って思ったな。こりゃ。
「偏食なくせば大きくなれるで。タンパク質取りやタンパク質」
 ここぞとばかりに言う私。
 というのも、息子は小食な上に肉も魚もあまり食べないからです。ウィンナーさえ拒否。そして味噌をつけたきゅうりとマヨネーズをかけたキャベツの千切りをモリモリ食べるという……。もちろん炭水化物系も大好きです。
 時々視界がザーッと砂嵐になって目が見えなくなるのも低栄養が原因のようで、最近は栄養状態の改善を意識しています。だから身長が伸びたのかもしれません。

 仲のいい同級生は現在178cm(保育園時代は小柄な子でした)。息子は156cmちょい。
 同じ目線で話せる日が来るといいですね(希望)。


海に帰れ

2017年06月08日 04時06分35秒 | アトピー・魚鱗癬

 かなり久し振りの投稿になります。
 何をしていたかというと……。

 はい、『ゾウリムシとミドリムシ』という下手くそな(学習できるようなできないような)漫画を描いておりました。微生物にちょっと詳しくなれるかもしれません。
 そっちが完結したので、現在は中学二年生の息子とコラボって別の漫画を鋭意(??)制作中です。


「漫画描いて漫画描いてって言われてもなぁ。もう自分で描いたら? 十四歳で少女漫画誌デビューした子もおるし」
キッカケは、私が息子に放ったこの一言。

「俺、絵描かれへん。美術苦手やし」
「そう? じゃあネーム描いてくれたら作画するけど」
 私がそう言うと、息子はガゼンやる気を出しました。
 やっぱり無理だの何だの言いながら上がってきたネームは……。
「文字ちっさ。画面もちっさ。女子か。こんなんで分かるかぁぁぁぁっ!!」 
「見えるやろお母さん。あっ、そこはそうじゃないって」
 親子でしのごの言いながら制作。 


「ユウ、できたで〜」
「うわ、お母さんすごい!」
「ほなcomicoに投稿しよか。読者さんに読んでもらえるといいな」
 そして縦読み漫画のサイトcomicoに、いざ投稿!

 タイトルは『トキトリケラ』
 実は我が家にトキとトリケラトプスの小柄なぬいぐるみがあって、息子はそこからネタを思いついたようです。

 
 しかして気になる読者さんの反応ですが……。


「お母さん、どう?」
 読者数は多くない。評価も全然。
 けど、何百人って方に読んでもらってコメントを頂いたことに、息子は小躍りして喜びました。
 日頃は読者という受け身の立場なので、こういうクリエイティブ体験で得る物もあったんじゃないかと思います。
 作り手になると物の見方も色々変わるでしょうし。

 それにしても。
「読者はユウの同世代か親世代。見事に読者層が分かれたなぁ。そして私には理解できないこのギャグセンス。同世代には共感できるんだ。へぇぇ」
 私としても色々発見でした。 








 こんな事をのほほんとしておりますが、息子の体調が絶好調だったかと言うとそうでもありません。

 喘息がしょっちゅう出て夜中に起きてくるし、魚鱗せんで皮膚も相変わらず黒ずんでボロボロ。
 中学校は体育がキツイので、マラソンする度に喘息が出るようです。
 職場にも喘息持ちの方がいて体育を時々見学してたそうなので、私は息子に言いました。
「しんどい時は先生に言って、体育休ませてもらいや」
 持病があっても皆と同じように頑張って欲しい。自分は特別だと思わないで欲しい。
 そんな気持ちはあるけど、無理しすぎて倒れたら学校側に迷惑かけてしまいますもんね。
「大丈夫やって。すぐに治るから」
 息子は自覚症状に欠けるので、いつもこんな感じ。
「大丈夫大丈夫言ってる奴が一番危ないんや」
 私は、 いっつもこんな感じ。
 この会話、息子が小学生の時からしてるような……。
 まあ、本当にしんどくてたまらない時は休ませてもらってるようなので問題はないかな? 

 小学生の頃は、担任の先生からクラスの子に魚鱗せんの説明をしてもらっていました。おかげで割と息子の病気を理解してくれてたんですが、進学した中学校は別校区。また一からの説明です。

 中学生ともなれば露骨なもので、同級生にいじられることも多いと息子は言います。

 先日おばあちゃん宅から歩いて帰る途中、息子はポロっと私に話しました。
「俺の皮膚こんなんやから、クラスの奴に『お前海に帰れ』って言われたわ」
 私は不安になって息子の顔を覗き込みました。
「いじめられてるん?」
 息子の表情は変わりませんでした。
「そういうんじゃないねん。俺いじられキャラやねん」
 すぐに否定して、息子は話を続けます。
「前はそんなん言われたらカッとムキになってたけど、最近は一緒に笑って受け流せるようになってん。『お前も○○に帰れ』って言ってやったら『あはははっ』で終わり」 
 言葉の額面通り受け取っていいのか、奥に何かあるのか。
「笑って終われるのが一番いいな」
 私はただ、そう返事をしました。

「それよりお母さん」
 息子はニッと口の端を緩めました。夕日の中、私の顔を見上げてきます。
「ん?」
 何かと思えば。
「『トキトリケラ』の続きのネタ、考えてんねん」 

 

 


謎の超絶ロング熱

2017年02月04日 09時49分59秒 | 育児

 喘息は出ませんでした。

 連日、夕方に熱が上がっては翌朝に下がる。時には翌日昼頃まで熱が続き、やっと引いたかと思えばまた上がる。
 熱は37.5度とか、上がっても38.5度くらい。いや、結構な熱か。

 始まりは九月十日土曜日…そう、二学期が始まってすぐの事でした。



 息子の皮膚は魚鱗癬。感染症にかかりやすく微熱を出す事も多いのですが、いつもすぐに下がります。
「お母さん。熱下がったわ! 学校に行ってきまーす」
  週明けの十三日火曜日。三日間続いた熱も引き、息子は教科書の詰まった学校指定の重いリュックとカバンを肩に引っ掛けて家を出ました。
 九月末開催の体育大会に向けて練習が始まり、帰ってきたら体操服はドロドロです。体調が不安定ながらも息子は「みんなに混じって、みんなと同じように頑張ってるんだな」と微笑ましく思いながら洗濯しました。

 で、十四日の朝になると。
「お母さん。今日は熱あるわ……」 
 小児科医院で「風邪っぽいね」と言われてもらった抗生物質を飲んでいるにも関わらず、息子の熱はまた上がり始めていました。 
「今日は学校に行かれへんね。ゆっくり寝とき」
「えー、暇や」
 息子は顔を歪めました。正直なところ微熱以外の症状がなく、本人的にはすこぶる元気なのです。
 親心としても「中学校を何日も休むと授業についていけなくなるのではないか」という不安があり、非常にもどかしい思いでした。
「今度の連休、富山のおばあちゃん家に行けるかなぁ」
 渋々布団の上に転がった息子の心配は、授業より旅行の予定でした。実家に用事があって、数日後の連休は息子を連れて行く事になっていたからです。
「サンダーバードに乗りたい。どーしても乗りたい。北陸新幹線も〜」
「うん。そう思うなら、本開くのやめよう」
 寝転がりながら本を読み始めた息子に、私は言いました。
「本読まんとちゃんと寝とけば、サンダーバードに乗れるんじゃない? 本陸新幹線は無理やけど、金沢駅で見れるかもね」 
「ううっ!! 分かった」
 息子は本を閉じて布団を被りました。

 ……ふっ、ちょろい! 



 しかし、どんなに寝てもどんなに薬を飲んでも、息子の熱の上下が落ち着くことはありませんでした。そのまま一週間が過ぎ、実家行きは中止。

 最初は「学校休めてラッキー」だった息子も、この頃になると「早く学校に行きたい。運動会の練習全然してないんやけど」と言うようになりました。

 本当に熱だけで、咳も食欲不振も下痢もなし。ある日は熱が37.2度だったので、私は思わず中学校に電話で聞いてしまいました。
「体温は37.2度ですが、熱だけなんです。喘息も出てないし元気なので、今日は学校に行かせてもいいですか?」
 「元気」をアピる私に、電話の向こうの教頭先生は「学校に来てもいい」とはおっしゃいませんでした。
「うーん」
 まずは可とも不可とも分からないワンクッション。
「熱があるんだったら、休んでいただいた方がいいんじゃないですかねぇ」
 次に、ソフトタッチで直球。
 ああやっぱりそうですよね……って感じで直球をキャッチした私。息子を学校に行かせよう計画は頓挫しました。
 本人は暇を持て余しているので「せめて小学生の時みたいに宿題だけでも」と思ったのですが、「元気になってから勉強して下さい」と言われてしまいました。いや、やる事がない息子は、ひたすら小説とマンガを読みまくってDVDを見ているんですが、それでよろしいのかと思いまして。



 そして週末、また小児科医院へ。
「まだ熱が上がったり下がったりしてるんかぁ。もう一週間やもんね。長いね。抗生物質やめようか」
 息子が幼い頃からお世話になっている小児科のおじいちゃん先生はそう言いました。
「学校どこ?」
「○○中学校です」
 先生に問われて真っ先に答えるのはいつも息子です。必要以上にハキハキしているので、私がしゃべる隙間なんかありません。
「学校でなんか病気流行ってない? 同じ症状の子はいた?」
「うーん、特に流行ってないかな。俺みたいにずっと休んどる奴もおらんし」
「熱だけ?」
「あっ、そういえば太もも辺りがちょっと痛いです」
「喘息は出てないの?」
「全くありません」
「胸の音聞いてみよっか」

 こんな調子で診察が進み、先生が私に向けて言った病名はというと。
「今マイコプラズマ肺炎が流行ってるんやけどね。熱が上がったり下がったりして、それが続くねん。でもこの子は咳してないからねぇ」
 マイコプラズマ肺炎を説明したプリントを手渡してもらいながら、診察が終わりました。
「もう一週間熱が続くようなら、また来て」 

 もう一週間、熱?!?!
 「まさかそんな事はあるまい」と思っていたのですが、甘かった!!
 本当にもう一週間、熱の上下が続いてしまったのです。
 お気楽な私もさすがに不安絶頂になって、マイコプラズマ肺炎から長期間に渡る熱の病気まで思いつく限りをググりました。
 すると、恐ろしい病名が出てくる出てくる……。頭がクラッとしました。

 うちはガン家系だしやはりそういう事もあるかもしれない「自分の子に限って」とか思うけど事実そういう子もいるわけで…あ、太ももが痛いって言ってたっけな骨肉腫とか子供は多いって言うもんな確かに原因不明の熱で風邪症状がないってなるとあ゛あ゛あ゛あ゛。

 はい、思考停止。



 やっぱり熱が続くし特大口内炎ができて痛がるので、いつも入院や時間外診察でお世話になっている急性期医療センター時間外窓口で診ていただきました。その時は検査もできず病名も分からず、怖い病気の恐れもあると言われ、ただ息子の様子を見守るしかありませんでした。

 こんな調子で、ひたすら医院や病院に出入りしていました。



 「やっぱり熱が続いてるし、明日○○小児科に行こっか」
「嫌や」
 今まで行ってたのに、息子は突然の医者拒絶。
「俺、もう中学生やで。子供ちゃうから小児科は嫌や、恥ずかしい」
 訂正。 息子は顔を真っ赤にして突然の小児科拒絶。
「でも小さい頃から診てもらってるし、ユウの身体の事は一番よく分かってくれてはるで?」
「嫌や、恥ずかしいわっ。ちっちゃい子ばっかりやんか」
 それはそうだけど。どうした? 何があった?
 身長はそこらの小学五・六年生よりよっぽど低いし声変わりもまだだし? バスに乗ればバスの運ちゃんが勝手にカードから子供料金引いてくれちゃうような外見の子だから、小児科でも全然違和感ないと思うんだけど? 身体は子供、頭脳は大人ってやつ?!
「確かに、いつかは小児科卒業せなあかんもんなぁ。どこの内科が評判いいか聞いてくるわな」
 そう言うと息子は笑顔になりました。
「頼むで、お母さん」 
 身体は小さくても、精神的には背伸びしてるのかも…です。 



 その翌朝、息子は突然高熱が出始めました。二週間熱がくすぶった挙句に爆ぜたのです。
 今までの元気が嘘のようにぐったりして、全身に小さく赤い発疹が無数に浮かび上がってきました。咳も出始めました。もちろん食欲なんかあるわけがない。

 これはヤバいぞ!!

 そして、こんな時に限って休めない用事があったりするものなんです(泣)。休む努力はしたのですが、代役がいなくて休めませんでした。
 逐一我が家に電話を入れて息子の状態を確認しながら用事をこなし、そそくさと帰宅して様子を見ると、もう可哀想なくらい発疹が増えて非常に痒そうでした。

 「ここの先生は府立病院とつながってるし、お勧めやで」と聞いた評判の内科に行きました。
 息子がぐったりしているので、内科の先生に息子の状態を説明するという出番が久しぶりにやってきました。
「この子は魚鱗癬で喘息持ちなんです」
 最後に私がそう締めくくると、先生は診察しながら眉をしかめました。
「はしかっぽいですね。でも子供の場合は大人と事情が違ったりするから、小児科に行って下さい。それにここは個人院だし時間的にも検査は無理です。大きい病院の小児科に行ってください」
「あ、やっぱり小児科なんですね」
 思わずポロッと言っちゃいましたよ、ええ。



 そういうわけで、急性期医療センター時間外窓口に電話しました。
「はしかだと隔離病棟への入院になるので、まずはベッドが確保できるか確認します。確認できたら連絡するので、それから来て下さい」
 数時間後に連絡があり、すぐさま「寒い寒い」と熱や悪寒で震える息子を連れて病院に向かいました。

 関西国際空港等ではしかが流行していた時期だったので、病院側はとても慎重です。
 息子は他の患者に接触しないよう建物の外で待機し、診察室へも外側に設置されたドアから入りました。
 大嫌いな採血に耐え、再び外側から診察室に入って、私と息子は若い先生から血液検査の結果を聞きました。
「僕は内科なんですが、はしかじゃないと思います。発疹の症状は似てるんですが、はしかは咳や鼻水がすごいんです。ウィルス性でもないですね。りんご病でも手足口病でもないです。子供特有の病気とかもあるんで、ちょっと小児科の先生を呼んできますね」
  さすがは大病院。その辺の連携はさすがです。
 そしてやってきた小児科の先生は、採血結果を眺めながら首をかしげました。
「確かに、はしかでもりんご病でも、手足口病でもウィルス性でもないですね」
 じゃあ、一体これは何という病気なのか。 
「細菌性の風邪です」
「え? 風邪? これが??」
 入院とか隔離といった単語が飛び交っていたので、重大な事態に陥ると思っていた私。ただの風邪と言われて「ポカーン」な感じでした。
「風邪といっても様々で、中にはこういった発疹の出る風邪もあるんです。種類が多すぎて、いちいち名前がついていません」
 つまり息子は、二週間も熱が上下した挙句凄まじい発疹に見舞われるというタチの悪い風邪にかかっていると……?
「薬もないので、自然に治るのを待つしかありません」
 小児科の若い先生はそうおっしゃいました。
「学校にはいつから行けますか?」
 とりあえず気になるのはそこです。
「発疹が治まってからですね」
「発疹はいつ治りますか?」
「分かりません」
 質問してから「そりゃそーだ。だって未知の風邪なんだから」と納得する私。
 ただの風邪で気が抜けました。下手なインフルエンザよりタチが悪いけど、何はともあれよかったです。ほんっとうによかったです。
 ひとまず入院騒ぎはなくなり、私達は無事帰宅したのでした。



 湿疹が出てから二日後、今までの超絶ロング熱が嘘のように息子は平熱に戻りました。湿疹が引くのに更に一週間を要し、息子の「暇暇音頭」も戻ってきました。
 最終的に三週間も学校を休んだ息子は、九月二十七日の登校初日に体育大会予行、翌々日に体育大会というハードスケジュールをこなす羽目になってしまいました。
「俺、体育大会の練習全くしてないんやけど。それにフラフラする」
  三週間も動かなかったのです。そりゃ筋力も衰えるでしょう。
「無理せんとき。先生にも言っとくから、しんどかったら見学させてもらいや」
「できるだけ頑張るけど、うん、そうするわ」
 私の言葉に、息子はホッとしたような表情を見せました。
 そして体育大会当日。延期になったせいで私は仕事が休めず見学できなかったのですが、本人なりに精一杯頑張ったようです。
「リレー、ビリから二番目やった。ビリじゃなかったで!」
 色々突っ込みどころはあるのですが、体育大会の様子を語る息子は、学校に行けて本当に嬉しそうでした。

 ただ問題は。

「俺、全く授業受けてないんやけど。習ってないんやけど」
 そう。体育大会が終わって二週間後の二学期中間テストです。
 学校側が対応してくださって、息子は補習を受けたようです。あとは教科書を読むくらい。で、テスト結果はいつも通りでした。
 ちなみに、がっつり通学して授業を受けた二学期期末テストも似たような結果だったので、授業の遅れを取り戻す努力を中間テスト前にしたのかしていないのか、果たして普段から天性の何かで勝負しているだけなのか…………………………それは闇……です。


 だけど。
 勉強ができてもできなくても、それより元気である事が一番だと感じた秋でした。


喘息と魚鱗癬と中一ユウの一学期

2016年07月24日 14時30分01秒 | アトピー・魚鱗癬

 あっという間に夏休みです。


 一学期は喘息も比較的おとなしく息を潜め、大きな発作もなく、息子は学校を一日欠席しただけで済みました。
 また、新しい学校で「魚鱗癬という持病を一からみんなに理解してもらう」という使命もあったのですが、「一泊移住でお風呂をどうするか」という問題以外は特に何もありませんでした。
「一泊移住の風呂は、基本みんなと一緒に入るんですけどね

 相談すると、体育会系バリバリの若い担任の先生は表情を曇らせました。受け持ちは体育で、担任を持つのは今年が初めてだそうです。
「魚鱗癬で皮膚の屑が落ちてくるし、この子がお風呂に入るとお湯が真っ白に濁ってしまうんです。六年生の修学旅行では、みんなと別で個室のお風呂に入れて頂きました」
 私が先生に説明すると、隣にいた息子も横から口を出しました。
「俺の皮膚ザラザラやから、みんなが俺の全身見たらびっくりするで」 
「何か言ってくるやつがおったら、先生が守ったる」 
 先生は息子から私に視線を移し、一呼吸おいて口を開きました。
「風呂と言っても、ゆっくり入る時間はないんですよ。体をさっと洗うくらいで終わりですわ」
「……はぁ」
「ですから、風呂はみんなと一緒でいいですかね?」
 先生の押しに、私は息子の顔を見ました。
「ユウはどうなん?」
「じゃあ、それでいい。みんなと一緒にお風呂に入るわ。シャワーだけにしてお風呂には浸からへん」 
 実際、何の問題もなく一泊移住を終え、息子は楽しそうに帰ってきました。
「カヌーとカヤックは違うんやで」
 そこから息子の話が始まって、青少年自然の家であったことや体験したことを生き生きと語ってくれました。




 暑くなってくると息子の肌のひび割れや黒ずみはなりを潜め、肌は焼けて別の意味で真っ黒になっていきました。
 なのでよく聞かれます。
「運動部?」
 ……と。
「いえ、科学部です」
 科学部は室内活動で週に一回あるかないか。……なのですが、別で活動している鼓笛隊のマーチング練習が外練なので、運動部に負けないくらい日焼けしているのでした、はい。

 問題は学力の方です。

 中学校は放課後に面倒を見てもらえる施設がなく、主人のはからいで、学校から徒歩三分のおばあちゃん宅で放課後お世話になっています。
「全く勉強せぇへんねんけど」
 仕事帰り。息子を迎えに行くと、おばあちゃんは心配そうに言いました。 
「いつも通りですね」
 と返す私。
「宿題が終わったか聞いても、『今日は宿題ないねん』とか『休み時間に全部終わらせた』とか言うねん」
「ユウは家でもそんな感じです。どこまで本当なんだか……ねぇ」
 語尾を強調しながら息子を振り向くと、顔を真っ赤にして「本当やもん」と憤慨するばかり。
 中間テストも期末テストも息子が勉強している姿は全く見受けられず、それでも息子は「テスト勉強してるもん!!」と主張するのでした。
 そしてテスト結果は、平均点。
「やることやってんのかやってないのか分からん……」
 口うるさく息子に「勉強しろ」と言うのは逆効果。
 私もどこまで信じていいのか分からないので、ひとまず追求することをやめました。

 ……そう、三者面談の時までは。
 


 クーラーの効いた教室で、担任の熱血体育会系先生と向き合う息子と私。
 目の前に広げられる、通知表とテスト結果のグラフ。
 緊張の雷が走ります。
「各教科に共通して言えることは」
 担任の先生は指折り数えながらゆっくりと話し始めました。 
「忘れ物に課題提出物忘れ、プリントやノートの管理ができていない。あと字が汚い」 
 ……やっぱりですか⁉︎
「小学生の時も同じことを言われていました」
 私の隣に座る息子はうなだれています。この三者面談を嫌がっているのは明白。
 先生は息子と私の顔を交互に見て言い切りました。
「これだけ忘れ物して提出物を出さずに平均点取ってる子、はっきり言って他にいないですわ」
  絶句。
 コウはミドリにしてトリはいよいよシロくヤマはアオくしてハナはモえんとホッす……じゃなくて。ショックで言葉が出てこない方の絶句です。
「へぇ?」
 今のセリフを古印体にしたい勢いで、私は息子の顔を見ました。 
「あはーっ」
 気まずそうに笑う息子。 
「通知表がこの数字なのは、忘れ物や態度なんかも加味されているからです」
 先生がダメ出しして、息子は背を丸め小さくなりました。
「お前、この成績見てどう思う?」
「はい、悪いと思います」
 先生に話を振られた息子は、蚊の鳴くような声で答えました。
「忘れ物したり提出物を出さない子って、正直それ相応の点しか取れないものです。だから頭は悪くない…普通だと思いますけどね」
 先生、フォローありがとうございます。
 しかし、そおいう問題ではないのです。
「『宿題終わった』とか『宿題ない』とか、騙したなおいっ‼︎」
 私は目で息子に訴えました。伝わっているのかいないのか、息子は相変わらず身を縮めるばかりで。


 とりあえず。
 息子は家で宿題ができない子なので(小学生の頃は、放課後のいきいき教室で宿題をしていた)、中学校で申し込みしているけどほとんど行ってない「元気アップ学習会」 で宿題させたいという話を先生にしました。
 でも先生の反応はイマイチ。
「あれは、勉強できない子が行く場所なんですよ。ユウはどうせ行っても○○君と喧嘩するだけやろ」 
 息子は沈黙したままでした。一方の私は、脳内にハテナマークが飛び散るばかり。
「……はい? いや、ユウは宿題できないし勉強できないんですが」
「この子は元気アップ学習会に行かなくてもいいですよ。おばあちゃん宅で宿題した方がいいです」
 何気にサラッと断られました。 
 そして先生、今度は息子に向かって言いました。
「ユウ、おばあちゃん宅で宿題しぃや」
「はい」
 ……解せない…………。
 小学校でもそうだったけど、息子は人間関係でつまずいているみたいです。これも大きな課題だなぁ……。
 仕方ないので、今後、息子には宿題を自己管理してもらわないといけませんね。 

 そして手渡された夏休みの宿題一覧表。
「なくすやろ? 三枚渡しとくわ」 
 三枚いただきました(笑)。
 宿題多いっっ‼︎ しかも二学期は八月二十五日から。
 大丈夫かこれ? 自己管理して宿題全部クリアできるのか息子よ⁉︎
 おまけに夏休みは鼓笛隊が忙しすぎて、ほとんど家にいない状態。向こうの勉強会で宿題を終わらせないとピンチだぞ、これ。

 後日、息子なりのペースで宿題をやってはいましたが、鼓笛隊の他の子の親は「うちの子はずーっと宿題やってる。もうほぼ終わりやで」と言っていました。
 我が家の息子はずーっと延々本を読んでいて(主にラノベ。最近『キノの旅』にはまっている)、その合間に宿題するレベル。
 いや、比べたら駄目なんですが、親としては焦ってしまいますよね。


 はて、息子はおばあちゃん宅で毎日何をやってるんだろう。
 おばあちゃんに聞いてみました。
 宿題や勉強は……相変わらずやってないようで。あ、でも時々ノートやプリントを広げているようで。
 英語の宿題やってたって? おお、懇談会でちょっとは反省したのかな??
「ユウは帰ってきたら、おじいちゃんに『ただいま帰りました』ってあいさつするねん。一緒に買い物に行ったら『おばあちゃん重いやろ』って荷物持ってくれるし、『肩こってない?』って肩揉んでくれるよ」
 そこは、おばあちゃん嬉しそうに言ってくださいました。
「神社の夏祭りにユウと行ってきたよ。クジ引いたけど、福袋の中身は小さい子向けのおもちゃばっかりやったわ。かき氷は落としてしまって」
 ちゃっかり、おじいちゃんおばあちゃんに甘えているようです。


 中学生になってもまだまだ子供の息子。
 友達のS君(小学五年生)に身長も体格も負けていたのですが、最近ようやく縦に伸びてきました。
「なぁなぁ、ユウのお母さん。どっちが身長高い?」
 この前、息子とS君が二人並んでいる時、S君に声をかけられました。今まで何度も聞かれ、いつも「S君の方が高いね」と言っていたのですが、今回は違いました。
「ユウの方が少し高くなってるね」
「やったぁ! よっしゃっ」 
 息子は思わずガッツポーズ。ずっと気にしてたもんね……身長。
 一方のS君は苦笑い。君は多分、もっと身長が伸びると思うよ。


 そんなこんなで息子の中学一年生一学期は過ぎていき、夏休みに突入しました。


 「お母さん、行ってきます」
 大きな荷物を背負った息子は、玄関で私を振り返りました。
「喘息の薬は持った? 日焼け止めは? 帽子は?」 
「うん、全部入れた」 
 決して身体が丈夫とは言えない息子ですが、真っ黒な顔でうなずき、走って鼓笛隊の強化合宿に飛び出して行ったのでした。 


一から始める中学生!

2016年04月10日 11時11分26秒 | アトピー・魚鱗癬

 四月五日は中学校入学式。
 校舎で満開に咲きこぼれる桜が美しい快晴の元、息子は晴れて中学生になりました。

 冬休みに引越して小・中学校校区が変わってしまい、校区外通学で小学校を卒業した息子。
 全く新しい校区の中学校に通学する為、残念ながら小学生時の友達は一人もいません。
 もちろん、息子の持つ遺伝性の皮膚疾患を理解してくれる先生や生徒もいません。

 また、全部一からのスタートです。

 同じ保育園に通っていた同級生は何人かいますが、果たして息子やその病気の事を覚えているかどうか……。



「あれ、入学式ですか? うちもなんです」
 朝、息子とマンション階下に降りた時。同じエレベーターに乗っていたスーツの似合う長身の女性が、にっこり気さくに話しかけてきました。
「あれ、お子さんはどこにいらっしゃるんですか?」
 入学式は保護者同伴なのですが、女性は一人でした。
「先に行くわって言われたんです」
 というわけで、私たちは一緒に学校へ。
「野球やってるんですか?」
 息子の丸坊主頭に、女性は質問してきました。
 返事しようとすると、息子の言葉が横から私を追い抜いて行きました。
「野球はやってへん」
 ……おい、ため口。
「へぇ。焼けてるから野球やってるのかと思ったわぁ」
「鼓笛はやってるで。お父さんに『この髪型にしなさい』って言われたからこの髪型やねん」
 誰に対してもオープンにしゃべる息子は、ここでも本領を発揮。私たちは和やかに中学校に向かい、途中で祖父母と赤ちゃん(年の離れた下の子だそうな)に合流した女性と別れました。
 


「あーあ。俺、あっちの中学校に通いたかったのに…」
 入学式に向かう途中、また息子がぼやきました。
「引きずるね……」
 まあ無理もありません。一旦は「あっちの中学校」に進学が決まっていたのですから。
 でも引越後の校区は「こっちの中学校」です。学校選択制になったとはいえ公立で他校区に進学する子は少なく、周りの子は皆「こっちの中学校」に通うのです。
 おまけに、私たちより先に引越したおばあちゃん宅は「こっちの中学校」から徒歩三分。「あっちの中学校」からだと数十分です。「あっちの中学校」はお父さんの出身校ではありますが、「こっちの中学校」に行った方がおばあちゃん宅に顔を出しやすいし、祖父母も嬉しいかなーって。
 ……うーん、「あっち」「こっち」書いてて頭がこんがらがってきました。



 気を取り直して中学校の門をくぐり、グランドへ。クラス分けの看板が五つ並んでいて、息子は五組に名前がありました。
「ガーン」
 クラス分けの看板で自分の名前を見つけた息子は、がっくり肩を落としました。
「どないしたん?」
「入学前の実力テスト、簡単やったし自信あったのに……点数悪かったんかなぁ?」
 ああ。
 テストの点数順にクラス分けされると思っているわけね。で、一組は頭がよくて五組は頭が悪いと。
「五組が点数よくって、一組が悪いのかもしれへんよ?」
 そう言うと、息子は「へへっ」と微笑して立ち直りました。
「まぁ、どのクラスもまんべんなく振り分けてるんじゃない?」
 私は付け加えましたが息子は聞いちゃいませんでした。
「あっ、もう集まらなあかん」
 気分をよくして、私の隣から消えるようにいなくなってしまいました。


 入学式は親バカよろしく息子の写真を撮りまくり、式後のクラス懇談会では教室の後ろから息子の丸坊主頭を眺めていた私。
 息子は後ろの席の子ともうしゃべっていました。
 さすがは口から生まれた子。「恥ずかしくて話しかけられない」という世界からは無縁なので、この調子なら大丈夫そうかな?
 担任は元気そうな保健体育の先生で、担任を持つのは初めてという方。副担任が二人もついていました。一組・二組は二クラスで副担任が一人なんですけどね。

 本日は慌ただしいので、息子の魚鱗癬については後日先生に話す事にしました。

 息子と教室を出る時、ある若いお母さんに声をかけられました。
「息子さん、野球やってはるんですか?」
「いいえ~。お子さんは野球してはるんですか?」
「そうなんですよ。野球部に入るって言ってます。息子さんはこれから野球するの?」
 ここで息子が会話に割り込んできました。
「野球はせえへんで。俺は吹奏楽部かパソコン部がいいなぁ。でも吹奏楽部は男が一人しかおらんかったから、ちょっと嫌やなぁ」



 この後は物品販売です。

「うわっ久しぶり」
「久しぶり。えっ、この子があの子~! 大きくなったなぁ」
「その頭、野球してるん?」
「してへんよ」
 保育園の同級生親子に久しぶりに会って、母親同士で盛り上がりました。
「懐かしいなぁ」
「三組にTちゃんおるで~」
「そうなんやぁ!」
 が、息子は。
「え…誰やったっけ……」
 はい、こんな調子でした。
 六年間も会わないと、やっぱり分からなくなっちゃうものなんですね。

 おしゃべりもそこそこに、息子と私は物品販売の行列に並びました。
「よし。アルトリコーダーは注文したしデザインセットも買った。後は体操服諸々やな」
 息子の通っていた小学校では「あっちの中学校」の申込用紙しかもらっていなかったので、「こっちの中学校」の体操服やらシューズやらサブバックやらは今日購入する事にしていました。
 他の子は小学校で事前に申込んでいて、本日は引き渡し。
 で、うちの場合は本日申込みから。

 ところが。
「お引き渡ししかしてないんですわ。注文用紙、小学校でもらってませんか?」
 はいい? 引き渡しオンリーですって??
 もちろん「こっちの中学校」の申込用紙どころかお知らせ類一切もらっておりません。入学説明会の案内はもらいましたが。
 だから中学校に電話して「体操服やサブバックの販売が今日ある」っていうから買いにきたのです。でも引き渡しオンリーだなんて、これっぽっちも聞いておりません。しくしく。
「注文用紙もらってないです。下さい」
「じゃあ、これを持って店に来て下さい。採寸後ネーム入れをしてからお渡しします」
「分かりました」
 頷きながら注文用紙の店舗案内図を見ると。
「……ちょっと遠い…」
 でもサブバックは翌々日の登校に必要だし、翌日は仕事で動けないので、何が何でも今日お店に行かなくてはっ!

 このように、校区外の小学校から進学すると公立は色々不便です。
 自分で進学先の中学校に問い合わせたり、同じ中学校に進学するお母さんに聞いたり、制服の採寸等もそれぞれの店に自分で行って注文。
 仕事を持つ身としては大変です。

 でもファイト!



「じーちゃ~ん、ばーちゃ~ん。中学生になったよ~」

 入学式の帰り、中学校から徒歩三分。
 真新しい教科書の入った重いバックを引きずって、息子と私はおばあちゃん宅に顔を出しました。
「おめでとう~、ユウ」
「これから頑張らなあかんな!」
 暖かい激励の言葉をもらい、息子は照れながらおばあちゃん宅を後にしたのでした。



 それにしても、入学式一日で四回は「野球やってるの?」と聞かれました。体操服を買いに行ったスポーツ店でも同様です。
 世の中「丸坊主頭=野球」という公式でも成り立っているのかもしれません。

 それに対して「皮膚ガサガサだけどどうしたの?」とは一回も尋ねられませんでした。
 全身に症状が出ていて見えないはずはないのですが、ほとんどの方が初対面だし、気になるけど質問を遠慮していたのかもしれません。
 最も息子本人に尋ねたら、堂々と明るく、マシンガンのように早口で教えてくれるでしょう。

「俺の皮膚? これ尋常性魚鱗癬っていって、全身こんなんやねん。でも移らへんから大丈夫やで。安心してな。秋から冬にかけて黒くなってひび割れてくるけど、夏はつるっつるで普通の皮膚になるねん。だから俺は夏の方が好きかなぁ。ほんでな、富山のばあちゃんにもらったクリーム塗ったらな、塗った所だけ翌日スベスベで普通の皮膚になってんねん。びっくりしたわ。あ、なんていう名前のクリームやったかな。ちょっと忘れたけど」

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【掲載写真解説】
「お母さん。遅刻して門が閉まってたら、この壁超えて入ったらいいんやんな?」
「それマンガのお約束。実際にやったらあかんやろ。てゆうか遅刻したらあかんって」
「俺十メートル級…いや五十メートル級!」
「なんか混じっとるなぁ」
 (花壇の隅でしゃがみ、目を輝かせてこちらに走ってくる息子)
「見てみて! 十円玉落ちとった。めっちゃ錆びとる」
「ほんまやねぇ……元の場所に戻しといで」
「ちぇっ」
「ちぇっ、じゃないし」