“円安の加速”が止まらない。日本銀行は5月29日、利回りを指定して国債を無制限に買い入れる「連続指し値買いオペ」を始めた。連続オペは初めてで、31日まで続けた。無理やり長期金利を抑え込む異例の対応は、さらなる円安を招きかねないが、日銀はあくまでも景気の下支えを優先する構えである。
一方、6月15日には、アメリカの中央銀行(FRB)は0.75%の利上げを決めた。通常の3倍の大きさで、約27年半ぶりの上げ幅である。利上げは景気を冷やす効果があり、アメリカの景気が強い証拠であろう。
外国為替市場では、金利の高いドルを買い、金利の低い円を売る動きが強まり、円安が加速している。急激な為替変動に対して経済界からも懸念の声が上がっており、何らかの手を打ってくるのではないかという観測が消えない。
実際に日銀には、金利の抑え込みに動きたくても動けない事情がある。それは、金利が高くないと機関投資家などが国債を購入してくれず、国債の消化が出来ないのでやむなく日銀が飼っている。ただ、国債金利が上昇すると財政悪化を招き、政府が約束している財政健全化が果たせなくなる。
政府が2025年度の黒字化を目指す国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、令和26年度にも黒字化すると試算している。 プライマリーバランス(PB)とは、社会保障や公共事業といった政策的経費を国債という借金に頼らずにどれだけ賄えるかを示す指標である。政府がPBの黒字化にこだわるのは、日本の財政事情が先進国で最悪の水準にあるからである。
私は難しいことは分からないが、将来的に人口減少で一人当たりの国債残高が大きくなっていくことに間違いなく、最終的に金融政策の決定は、日銀ではなく政府が決めることだと思っている。だから、国力や経済力を示す為替相場は、最終的に国民がどんな政府を求めるかにかかっていると思っている。だから、前菅義偉首相のいうとおり、政治が国を作っているのである。
「十勝の活性化を考える会」会員