令和2年6月11日付け北海道新聞(6面)の記事に、映画監督兼作家 森達也氏が、次のように書いていた。
『 戦後75年。つまり戦後の時代を人に例えるなら75歳。これから後期高齢者の時代を迎える。さすがにもう無理はできない。いろいろガタはきている。
でも同世代は、例えば吉永小百合さんやエリック・クラプトン。まだまだ現役だと胸を張ることはできる。思い起こせば65歳から74歳までの前期高齢の時代は、ほぼ安倍政権の時代と重複する。
いろいろ揺さぶられた。改憲が典型だが、道徳教科化や愛国心の強要など、戦前への回帰傾向が強くなった。
でもなんとか堪えた。踏みとどまった。まだ終わっていない。いや終わられたら困る。時代は常に連続している。これまでも、そしてこれからも。
だからこそ慎重に足をめたい。正しい方向を模索したい。だって少しでも角度を間違えれば、その誤差は時の経過とともに大きくなる。
戦後75年。ならば僕は問いたい。その戦争をあなたは何と呼びますか。政治家や皇族が使う「先の大戦」というフレーズが典型だが、日本が枢軸国側として参加したこの戦争は、まだ固有名詞を獲得できていない。
太平洋戦争や第2次世界大戦、大東亜戦争や十五年戦争など、呼称はいくつかある。でも統一されていない。
言い換えればこの国は、いまだにあの戦争を歴史として自らに刻んでいない。つまり終えていない。だから戦後75年という呼称がタイトルになる。
そもそもあの戦争はなぜ起きたのか。議論はいまだに続いている。決着できていない。
(中略)
この国は今も昔も組織の方が強いが、「個」がとても弱い。その帰結として同調圧力や忖度が発生しやすい。
集団は、敵を求める。そのほうが連帯を深められるし、為政者にとっては支持率も上がる。こうして芽生えた他国や多民族への敵意や憎悪は際限なく肥大し、自衛を大義にしながら戦争になる。
もし個が強ければ、国の暴走に対抗できる。でも、ならばこの国の個は戦前に比べて強くなっているだろうか。僕にはそう思えない。世界一ベストセラーが生まれやすい国との説がある。
誰かが買うから私も買う。誰かが読むから僕も読む。よるべきは大きな組織。個の声は自ら封じてしまう。
戦争中は皇国兵士で、戦後は企業戦士。共通することは、滅私奉公。つまり、個を捨てて(自分が帰属する)組織に奉公する。ならばこの国は同じ過ちを繰り返す。
でも75年目を目前にして、新型コロナという状況をこの国は迎えた。このウイルスはクラスター(集団)を直撃する。だから集まることはできない。会社や役所なども従来の形を変えざるを得ない。
ならば特に集団化が顕著だったこの国の人々の意識は、集団から個へ移行するだろうか。そう思いたい。でも現状においてまったく予測できない。
75歳。まだまだ老け込むことはできない。時代は常に連続している。実は区切りなどない。個が試される時代になる。
そしてその試練をクリアできるなら、この国の戦後はようやく終わり、新しい時代が始まる。クリアできなければ、曖昧な呼称の戦後はさらに続き、同じ過ちを繰り返す可能性がある。』
この記事を読んで、次のように思った。日本人は、“長いものに巻かれろ”といわれるように強い者に就く傾向があり、御上に立てつくなともいわれる。
この御上(おかみ)とは、天皇や為政者、政治にたずさわる職員などに敬意を示す呼称であるが、会社の上司にあまり立てつくとしっぺ返しを食らうときもあるので注意しよう。
ただ人生は一度だけなので、“自分らしく生きること”が大切である。また人生には、運・不運がつきものだが、運を呼び込むのはあくまでも自分の努力が大きいので、不断の努力が大切だと思う。
戦後のことだが、中東シリアでは8年前に内戦が始まってから、現在も被害は留まることがない。親を失った子どもたち、戦争に駆りだされ負傷した子どもたちも、人生の貴重な時間を奪われている現実がある。
2011年の内戦開始から8年目を迎えるシリアは、現在は複雑な勢力図となっている
シリアの内情は混乱を極めており、終わりの見えない内戦状態
解決のためには、シリアの国や政府、国際機関や周囲の国々の協力も必要だが、内戦が激化する可能性もあり、解決の糸口が見いだせない状況
(出典:外務省「わかる!国際情勢「アラブの春」と中東・北アフリカ情勢」)
「十勝の活性化を考える会」会長
注) 戦後
戦後は、戦争の終結後の短期または長期的な期間を指す言葉・概念。
戦争では多くの破壊や社会システムの大変革が行われるため、戦争が終結した後は社会体制などが新しく作り直され、価値観まで変化する。
このため、大きな戦争を一つの時代の区切りとして、戦前・戦中・戦後という区分をする。 「戦後」はしばしば、戦争による混乱を抜けきっていない時代という意味合いを併せ持つ。 しかし、終わりを設けず現在までを含めることもある。
(出典:『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋)
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